かざあな

フリーライター・校正業のかたわら、三姉妹を育てる主婦。兵庫県神戸市在住。

かざあな

フリーライター・校正業のかたわら、三姉妹を育てる主婦。兵庫県神戸市在住。

最近の記事

「春馬くん」を語らないメディアを悲しむ。

三浦春馬くんが旅立ってしまって半年以上が経つ。まだ私の心は癒える気配がない。 年末年始、新聞やテレビの片隅に、春馬くんの生きた証にふれるものはないかと探したが、「亡くなった方々」という寂しい一覧表にわずかな記事を見つけたのみ。 あれほどの俳優が、映画やドラマなら必ず主演、バラエティに出てもメインの扱いを受ける大スターが、なぜ「自死(の疑い)」というだけで、そもそも居なかった人のように、透明人間のように扱われるのか。彼の周りで、彼を讃え、もてはやしていた人たちはどこへ行った

    • 三浦春馬くんは、村上春樹「ダンス・ダンス・ダンス」の五反田君ではないのか

      俳優の三浦春馬くんの訃報を聞いてから、心にぽっかり穴が空いたような日々を過ごしている。 元来、芸能人には何の興味もなくて、ドラマでいくつかの作品を観たことがあった三浦春馬くんのことも、「痛いくらい澄んだ眼をした人」というほどの印象しか無かった。 訃報を聞いて、いろいろな報道に触れたり、彼が残した動画をくまなく観ているうちに、意志の強い澄んだ瞳の奥に隠されていた苦悩が溢れるように浮かび上がって来て、同時に、強い既視感を覚えた。彼の抱えていたらしいどうしようもない絶望感と焦燥

      • スーパーのレジ台を舐めるのが日課だった子供は、どんな母になったのか。

        理由のない強迫観念に駆られ、母に連れられて行く「コープさん」のレジ台を、必ずこっそり舐めてから通過していた4歳の私。機械油のような「ヒヤキオーガン」のような無機質な味わいは、40年近く経った今でも舌に染みついている。 今の子供たちはあまり「自家中毒」にならないらしい、とネットの情報で知ったときは、思わず「ずるい…」と呻いた。 保育所に通っていた頃、2ヶ月に一度は「自家中毒」で医者にかかっていた。4、5歳の頃の記憶といえば、台所の隣の畳の部屋に布団を敷いて寝かされ、波のよう

        • 他人の家の中は、なぜこうも魅力的なのか。

          見知らぬ他人の家の中が見たくてたまらない主婦。その動機は何なのか。見たい家と興味のない家の違いは何なのか。自分の家はなぜ魅力的に思えないのか。自分の深層心理を初めて紐解いてみる。 鼻炎の子供を耳鼻科に連れて行く道中、車の中からよく見かける家がある。県道沿いのなんということもない一軒家。玄関の扉が、風通しのためにいつも少しだけ開けてある。 上がり框に、決して趣味がいいとは言えない玄関マット。昭和からずっと変わらない引き戸の靴箱。その上には誰かのトロフィー。薄暗い廊下の奥に、