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フェムテック東京2023年へ フェムテック展に思う事

10月05日~10月07日まで東京の国際展示場で開催されていた、フェムテック東京2023年へ行ってきました。

最近、徐々に認知を拡大している「フェムテック」
どのような商品やサービスがあるのか、全体の雰囲気や気になったものをレポしていきたいと思います。

前半は会場の雰囲気や気になった商品やサービスレポ
後半はちょっと辛口総評になります

全体の雰囲気

別棟で開催していた関係か、入口は一般的な展示会ではあまり見られない、ポップで華やかな雰囲気でした。


「#広げようフェムテック」がテーマだったように気軽に来場できる雰囲気がありました。

↓のような写真スペースも


出展は、月経・生理・妊活・不妊治療・更年期・女性のヘルスケア全般というような感じ。
ただ出展内容は正直かなり偏りがあったように感じました。

またあちこちのブースで商品紹介から、女性のヘルスケアの啓発まで幅広いミニセミナーが開催されていたのも他の展示会ではあまり見かけない風景でした
(セミナーは別エリアで開催していることが多いので)

気になった展示

ここからは私が気になった展示を紹介していきます

・ベビーライフ研究所

シリンジ法のキットmeeta。

開発に携われた方のお話を聞くことが出来たのですが、シリンジの形状やパッケージなどに様々なこだわりが。
特にこのシリンジの形状に関しては、精液全てを残すことなく注入できるようにこだわって作られたのだとか。

採取容器にも様々なこだわりがあり、なるほどとうなずくことばかり。

また使用後の処分にまで気を使われており、外装パッケージは何が入っているかわからないデザインにし、シリンジも注射器の雰囲気を極力なくした作りになっているようです。

3個入りから販売されており、楽天等ネットで購入することが可能です

・三井メディカルジャパン

骨盤臓器脱のフェミクッション。
かなり以前から販売されている商品であり、新しく開発された商品ではないようですが、骨盤臓器脱というと手術のイメージしかなかったため、このような選択肢があることを初めて知りました。

また話を聞いて驚いたのは、まだまだ骨盤臓器脱の認知が低いこと。手術を躊躇われる方含め、尿漏れや腟内の違和感で悩まれている方にこのような情報が届けばと思います。

・サントリー

腸活アプリ
個人的には腸活にはあまり興味がないのですが(笑)、このアプリは面白い!と感じました。

アプリを使って腸の音を測定し、そこから腸の状態がわかるというもの。
また腸の状態を整えるアドバイスが届き、それを実行してまたアプリで確認と言う流れ。

腸活すれば〇〇という怪しさもなく、繰り返すお腹の不調に悩んでいるなら試してみたい内容でした。

食べ物によってお腹が緩くないやすい私は早速試してみようと思います。

・あすか製薬

痛くないホルモン検査

現在毛髪でエストロゲンやプロゲステロンが測定できるキットを開発中とのこと。
血液検査の数値との相関性は気になるところですが、販売されたら検査してみたいなと思っています。

・MediScan

呼吸で診断する乳がん検査

がんの一次スクリーニングは某検査キットが話題になっているので、慎重にはいきたいところですが…

痛くないのはかなり魅力的。精度も感度も問題なければ利用してみたいなとは思います。
呼気からバイオマーカーを検出するという原理らしいのですが、そのあたりの詳しい説明は出来ないようでした。

将来的には論文等でデータを見てみたい商品です。

ソニーグループ

混んでいて実際に体験は出来なかったのですが、更年期のホットフラッシュ対応の冷却装置が出ていました。襟元に取り付ける仕組みのようです。

今年の夏は、ホットフラッシュに悩まされたのでかなり気になる商品でした。

+Kampo

個人にあわせたパーソナル漢方。頓服ではなく錠剤なのが気になったポイント。頓服は飲みにくいという人(私ですが…)も錠剤なら飲みやすくなるだろうし、錠剤で個別対応してもらえるのはありがたいなと。

ソフィー

妊活おりものシート

SNS上でもかなり以前から話題になっていたソフィーの妊活おりものシート。ただ雑貨扱いのためか、詳細なメカニズムについて話せないとのこと。

正直、期待値が高かっただけに…詳しい説明が聞けなかったのは残念。メカニズムがわからないと、ご相談時にもあまりお勧め出来ないですから…

こちらに関しては、販売してから排卵検査薬と比較してみたいと思います。

商品ではありませんが、ネクイノさんの生理痛体験コーナはかなり興味深いものでした。

男性だけではなく、女性も体験することで、生理痛は千差万別という認識を広めることが出来るなと思います。(ちなみに私は生理期間がかぶっていたので体験しませんでしたが、生理中でも体験可能だそうです)

男性の分野も

目についた範囲では2ブースほど男性に関するブースもありました。一つは精索静脈瘤の手術をされているクリニックの出展。色々と話を聞きたかったのですが、残念ながらスタッフの方がいませんでした。

更年期分野はこれから?

今回、実は楽しみにしていったのが更年期分野のフェムテックでした。しかし残念ながら、更年期分野で興味を引いたものはソニーの冷却装置のみ。

もう少し類似の商品が出ているかな?と思ったのですが、残念ながら見当たらずでした。

更年期分野に関しては、悩みや課題がきちんとヒアリングされて表面化していないのかな?とも感じます。

ホットフラッシュだけではなく、肩こりや頭痛、睡眠障害、気分の浮き沈みなど様々な症状に悩まされます。クリニックを受診するのはもちろんですが、日常の中でこれらの症状軽減をサポートするようなフェムテックが出てくると良いのになと思います。

一般的な感想はここまで。ここから先は、少し辛口で今回のフェムテック展で感じたことを綴っていきたいと思います


ワクワク感がなかった

最初にざっと会場を巡って感じたのは、目新しさがない!という点でした。月経関連の吸水ショーツも、腟ケア関連も、オンライン診療関連も正直見飽きた感が…

何より、既存の商品をいかにフェムテックに絡めてマーケティングするか?そういうブースが多かったように感じます。

そうそうこういう商品欲しかった!これは面白い視点!というのがほとんどありませんでした。

今あるもので、極力お金をかけずにどうやってフェムテックブームに乗っかるか?そんな裏事情が見えたようにも感じました。

フェムテックなのかフェムケアなのか

今回の展示会に限った話ではありませんが、フェムテックと銘打ちつつも、8割、9割はフェムケア系が占めていたように感じます。

法規制も含め、様々な諸事情によってテック分野が伸びにくい背景があるのでしょうが…
とはいえ、フェムテック展なのに…と思っていたら、来年からは「フェムプラス」という名前になるようです。(来年度の看板が出ていました)

現状の展示内容を考えれば、フェムプラスの表記の方がしっくり来るのでしょうが、ますます来年以降はフェムケアによった展示会になりそうだなというのが正直な感想です。

技術で女性の健康をサポートするという当初のフェムテックの思いが薄れないことを願うばかりです。

やはり怪しいものは紛れ込んでしまっていた

そして昨年に引き続き、やはり怪しげなものや根拠が不明瞭なものも一定数ありました。

こればかりは完全に排除することは難しいんでしょうね…と思いつつ、展示会出展が怪しげな商品やサービスへのお墨付きにならなければいいのですが。

特に骨盤底筋関連や腟ケア関連、子宮関連に怪しげなもの見受けられたように感じます。温活をしようが、腟活をしようが、子宮をほぐそうが(そもそもほぐせるのか?)、女性のヘルスケア課題の改善にはつながりません。

以前よりは、注意喚起を促す専門家が増えたにも関わらず、何年たっても、これら怪しいものは減りませんし、このような商品やサービスを求める人も一定数います。

なぜ何年たってもこのような状況が変わらないのか?もしかしたらこの根本に目を向けない限り、女性のヘルスケアを取り巻く怪しげな商品やサービスは減らないのかもしれません。

最後に…

今回のフェムテック展で強く感じたのは、「今一度女性のヘルスケア課題と向き合わないといけない」という点でした。

特に企業には今ある商材だけでフェムテックブームに乗っかるのではなく、「女性の健康課題を解決する。」という視点にもう一度純粋に向き合ってほしいと感じます。

当日のセミナーではフェムテックをビジネスチャンスにしないでほしい…なんて声もあったようですが、そのような声が結果的に、消極的なフェムテックを生み出しているのかもしれません。

ビジネスチャンスがなければ企業は投資をしません。そして企業がフェムテック分野に投資しないからこそ、余計に怪しげな商品やサービスがフェムテック市場を占めてしまっているのではないかと感じます。

怪しげな商品やサービスがフェムテック市場を占拠しないためにも、フェムテックに本気で参入する企業が出てきてほしいものです。

そしてフェムテックの流れを東京だけで終わらせるのではなく、このような技術やサービスを求めている人々へ広まることを願っています。

医療アクセスが地域によって格差がある日本において、本当にフェムテックが求められているなのは、もしかしたらクリニックが多い都市部ではなく地方なのかもしれません


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kazuyo usui 不妊カウンセラー・臨床検査技師
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