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情熱大陸と不妊治療 最後の砦に思う事

先日、情熱大陸に加藤レディースクリニックの加藤医師が出演され、番組予告の段階から、Twitter(現X)ではそれなりに話題になっていた。

ただ放送後、Twitter内では賛否両論が巻き起こっていた。

医療関係者は、加藤レディースクリニックの内部が見られたことに対する反応が多くみられたが、不妊治療当事者間では、通院していた頃を懐かしむ人がいる反面、内容の薄さに落胆する声も多くみられた。

番組の内容としては
2人の女性の症例(確か30歳と38歳だったと思うが、記憶違いがあるかもなので年代で表記)と加藤医師の生い立ちや故郷訪問の話でまとめられていた。
30代前半の女性に関しては、パートナーに精索静脈瘤が見つかったものの、大学病院で手術後、1回の体外受精で妊娠。
30代後半の女性に関しては2回目の体外受精で妊娠。 アシステッドハッチングの透明体全除去など、加藤レディースクリニックの培養技術があわせて紹介されていた。

「不妊治療の最前線に立つ医師」というキャッチフレーズも相まってか、Twitter内では番組に対する期待もかなりものだったのではないかと思う。

もしかしたら、加藤レディースクリニックだからこそ、不妊治療の大変さをもっと語ってもらえる、体外受精を繰り返してもなかなか妊娠出来ない辛さを取り上げてもらえるのではないか?そんな思いもあったのだろう。

「最後の砦」と番組内で紹介されている割には、難渋した症例や40歳を超えた人の紹介がなかったことも、視聴者の思いとの乖離につながったのかもしれない。

このような番組の場合、クリニックの宣伝も兼ねているため、ネガティブな内容は番組内で取り扱いにくく、正直なところ、治療に難渋している患者の取材許可を取りにくいという面もあったと思う。

また、情熱大陸という番組自体が「人」にフォーカスする番組なため、その人の思いを中心に番組が作られ、30分番組という事もあって、不妊治療を深く取り上げるには難しさがある。

ただ不妊治療当事者のモヤモヤした気持ちもわかる。
年齢関係なく何度体外受精にチャレンジしても妊娠せずに辛い思いをしている人は少なくない。だからこそ、「1回や2回の治療で簡単に妊娠するかのように印象付けられてほしくない」という思いは当然出てくる。

ナレーション(+字幕)だけでもいいから難治性不妊の症例を紹介してもよかったのではないかと思う。それがあるかないかだけでも番組の印象は大きく変わったように感じる。

ここから先は、私が情熱大陸をみてちょっと…と思った点について綴っていこうと思う。

不妊治療に関しては様々な考え方や方針があり、KLC(加藤レディースクリニック)の「自然に沿った治療」という考え方が必ずしもベストの選択とは限らない。

KLCの治療方針が合う人もいれば合わない人もいる。

ただ、この番組を通して不妊治療を知った人の中には、「出来るだけ自然がいい」と考えてしまう人もいたのではないだろうか?

そんな点も踏まえながら書いていきたいと思う。

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この先の内容
・KLCは本当に最後の砦なのか?
・薬を使わない不妊治療が本当に適切なのか?
・無麻酔採卵のメリット・デメリット
・KLCを最初のクリニックとして選ぶ?選ばない?


KLCは本当に最後の砦なのか?

番組内でKLCは不妊治療クリニックの中でも最後の砦であると紹介された。そして、不妊治療当事者の中でも、KLCを最後の砦と認識している人も少なくない。

KLCが最後の砦と言われる所以はいくつかあるが、その中でも培養技術の高さをあげる人が多い。他院でなかなか胚盤胞まで育たない、育っても良好胚にならない…そんな場合、KLCへの転院を考える人は少なくない。

そういう意味では最後の砦のひとつなのかもしれない。ただKLC以外にも培養技術の高いクリニックはいくつもある。培養技術だけで判断するのではなく、治療方針が自分にあっているかどうか見極めることもクリニック選びでは重要なポイントになってくる

それ以外にも、KLCの治療数は国内でも圧倒的である。それゆえ「最後はKLC」と思う人が多くいるのかもしれない。

しかしKLCを受診したからと言って必ず妊娠に至るわけではなく、またKLCで妊娠に至らない、KLCで胚盤胞まで育たなくても、他院で胚盤胞まで育ち、妊娠に至る例もある。

なかなか妊娠に至らない場合、「KLCにいけばなんとかなるのではないか?」というご相談を受けることも少なくないが、必ずしもすべての人にとってKLCがベストな選択だとは限らない。

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