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学校の動物を幸せにする⑨

「小学校の動物だから、診療費なんて取らないで診るよ!」

人として素晴らしい獣医さんだと思います。
しかし、僕たち学校動物担当者が実情を調べて行くと、この行為は全く無意味なのです。
それどころか、残念なことに有害とさえ言えます。
立派な行為なのは確かなのですけど…。

学校動物の飼育者は誰か?
お世話をしているのは担当教員や児童です。
餌代などはどこから出ているかと言うと、各市町村からなのです。
それぞれで費用はまちまちです。
餌代だけ出している、治療費も出している、不妊手術費(予防費用)も出している、という3つに分けられます。
これら費用の多寡と名目は、前年度の予算使用状況と希望により決定されます。

小学校では雌雄わからずウサギを飼育することがあります。
繁殖力の強い動物なので、ねずみ算式に増えてしまいます。
(ウサギなのに<ねずみ算>とはこれ如何に?)
そうならないように不妊手術が必要です。
通常であれば1~3万円ほどの費用がかかる処置です。
また、生きていれば体調を崩すこともあります。
爪切りもしてあげなければいけなかったり、歯を切ってあげなかったりもします。
一年を通して健康維持や治療費で、数千~数万円かかるかも知れません。
これらの費用は各市町村が支払うものなはずです。
しかし、それが設定されていない場合があるのです。
なぜこんなことが起きてしまうかというと、市町村はそれぞれの費用がかかることを知らないのです。
なぜ知らないかというと、教員が肩代わりをしたり児童や保護者がカンパをしたりして、市町村にまで話がいかないためです。
そしてもう一つが、冒頭に出てきた獣医さんです。

僕たち学校動物担当者がしなければならない仕事は、その素晴らしい獣医さんに「無料の診療はしないでください」とお願いするという、なんともやりきれないものでした。
「そんな恰好悪いことできないよ」
「ずっと続けているからね・・・。今さらそんな事言えません」
「手続きが面倒だからねぇ」

なんだか僕たちが悪者のような気さえしてきてしまうのでした。
それでも学校動物の地位を向上して状況を改善するには、市町村の協力が必要なのです。
一体どうしたものか?
なかなか難しい仕事に頭を抱えたくなってきました。





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