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【エグゼクティブの成功マインドを磨くCEOコーチング:シーズン1-7】インボルブメント-人を巻き込み、動かす(後編)

(1)まずは、出会って、つなげよう


こんにちは。
エグゼクティブ専門コーチの久野和禎です。
 
前回に続き、今回は「人を巻き込み動かす力」(インボルブメント)について取り上げていきます。
最初に、学生時代に拙書『ゴールドビジョン』を読んで学んでくださった方の事例をご紹介しましょう。
その方は、ついこの間まで大学生だったにもかかわらず、その後起業して、女性起業家向けのアワードを受賞したりと、20代のうちに経営者の間でも注目の存在になっています。
 
その方と一対一でコーチングをしたわけではありませんが、あるとき、「人の力を借りるのが一番大事なんですよ」「人に引っ張り上げてもらえるような自分になってくださいね」という話をしたことがあります。彼女がそれをそのまま実践したかどうかはわかりませんが、私には「人を巻き込み動かす力」をいかんなく発揮しているように見えます。
 
では、彼女のように「人を巻き込み動かす力」は発揮するには、どうすればいいのでしょうか。
ここでは書籍の中で紹介している「7つのステップ」(7つの力)を簡略化してご紹介していきます。
 
個人として前に進むためには、現状を打破しなければなりません。人は放っておくと現状に甘んじてしまうので、現状から抜けるために新しい出会いを求めていくことになります。
このことを私は「出会う力」(ステップ1)と呼んでいます。適切な場所で適切な人たちと出会うために必要な力です。いまいる場所で出会ったとしても同じ場所に滞在し続けてしまうため、自分が進みたい方向の人に出会わなければ、現状を突破することはできません。
 
適切な場所で適切な人に出会ったあと、そこに根を下ろすきっかけをつくるには、出会った世界で人と人をつなげることが求められます。それが「つなげる力」(ステップ2)です。
やや技術的な話になりますが、人と人をつないだり、コンセプトとコンセプトとをつないだりすれば、新しい世界で根を下ろしやすくなります。

(2)なぜ、ルフィも信も「宣言」するのか


根を下ろし始めると、周りの人は「どんな人なのだろうか」とあなたに興味を持ち始めます。仮にA地点からB地点に移行して、B地点にいる人たちから興味を持たれて「どういう人なんですか」と声をかけてもらうには、「信頼される力」(ステップ3)がなければなりません。
 
そして、「推薦されるだけの力を身につける」ことと、「推薦されやすい状態になっておく」ことが求められるようになります(「推薦される力」〈ステップ4〉)。
推薦される際は、口から口へと伝わっていくものですが、ある人が「あなた」を「誰か」に紹介しようと思ったとき、「どうやって紹介したらいいかわからない……」となることは少なくありません。困った相手が「どう紹介したらいいでしょうか」と直接訊ねてくることもあるくらいですから、「こういうふうに紹介してください」と言えるように、自分自身の「タグ」を用意しておくに越したことはありません。
 
ここでいう「タグ」とはどんなものでしょうか。
漫画を例に考えてみましょう。私は『週刊少年ジャンプ』を読んで育った世代ですが、最近になって読み直したものの1つが『ワンピース』です。また、『週刊ヤングジャンプ』で連載されている『キングダム』も読んでみたところ、ある共通点に気づきました。それは、どちらの主人公も「自分はこういう存在である」と自ら発信している点です。
 
『ワンピース』の主人公・ルフィは、「海賊王に俺はなる」と言っていますし、『キングダム』の主人公・信は、「俺は天下の大将軍になる男だ」と宣言しています。2人ともまだ「海賊王」にも、「大将軍」にもなっていないにもかかわらず、そうやって言い切ることで、その宣言が「タグ」となって流通していきます。
 
周囲も最初はバカにするかもしれませんが、やがて「あっ、彼はそういうのを目指しているのか」という認識に変わって、仲間が集まってくる――。どういう人かわからなければ応援できないけれど、どういう人かわかれば応援することが可能になる。
つまり、人を巻き込み動かすためには、「タグ」を流通させる必要があるのです。ここまでが「人を巻き込み動かす力」前半部分になります。

(3)信頼されたあとは、ビジョンに共鳴してもらう


後半は、「ビジョンに共鳴してもらう」ステップです。
ちなみに、「海賊王に俺はなる」と、自分のゴールドビジョン、夢を外部に伝えるよりも大切なのが、自分の無意識に伝えていく作業。
その作業を行なった結果として、自分の考え、自分のタグがバシッと外部へも伝わっていくからです。自分の無意識に伝えれば、その無意識は相手に伝わります。ビジョンに共鳴してもらうには、とくに自分自身に「伝える力」(ステップ5)が必要なのです。
 

次の「植える力」(ステップ6)は、営業に従事されている方であれば必読の内容になります。

当たり前の話ではありますが、人は説得されるのが嫌いです。たとえほしくても、説得されるくらいなら買いたくないと思ってしまうのが人なのです。
たとえば、「この家電ほしいな」と思って量販店に行ったところ、ものすごい勢いで営業されると、「あっ、今日はいいです……」と言って帰ってきたり、別の量販店に行って買う。そんなことが起こり得るのは、人というのは説得されるのが嫌いだからではないでしょうか。

職場でも、先輩から「こういうふうにしたほうがいいよ」とアドバイスされると、内心自分でもそう思っていたとしても、「自分には自分のやり方がありますので!」と突っぱねて、あとでこっそり修正する……、そんな経験はないでしょうか。自分で弱点を見つけて、修正する作業は意欲的にできても、人に指摘されると嫌になってそっぽを向いてしまう……。人にはプライドもありますし、納得してアクションするためにも自分で決めたいと思うものなのです。
 
では、どうすれば、相手に納得した形で応援してもらえるのでしょうか。
少し比喩的ではありますが、植物を植えると、少しずつ時間をかけて伸びていきます。人の場合も、そのプロセスを丁寧に踏んでいく必要があります。つまり、こちらから説得するのではなく、あなたが植えた植物が伸びていって、それを相手が自発的に見て、相手の中で納得感が醸成されるのを待つステップが、この「植える力」と次の「育てる力」になります。
 
具体的には、時間的にも間隔をあけながら、少しずつ「情報」を植えていく。「自分のビジョンはこうですよ」「ぜひ、力を貸してください」と、ときどき情報を伝える。商品であれば、「これ、すごくいいんですよ」と少しずつ伝えていきます。
情報社会のなかでは、伝えるのをやめると、みなさんすぐに忘れてしまいますから、ときどきリマインドするわけです。そして、あなたが説得するのではなく、相手自身が自ら考えたうえで判断したなら、その決断は簡単には揺るがない強固なものになります。

(4)自力より「他力」が大切!?


冒頭でご紹介した女性起業家をはじめとして、あっという間に出世したり、注目される人というのは、7つのステップすべてをやっているかは別として、必ずそのいくつかを実践しています。隠れてこそこそやっているわけではありませんが、普段の生活、普段の仕事における人との関わり合いのなかで行なっているので、久しぶりにあった人は「どうしたのだろうか」と不思議に思うのです。
 
今回お話ししたすべての要諦を一度でつかむのは難しいかもしれません。まずは「人を巻き込み動かす力」の雰囲気だけでも感じていただき、少しずつでも「人を巻き込み動かす力」のメカニズムを理解して実践するなら、大きく失敗することなく、人から応援してもらったり、引っ張り上げてもらえるようになります。
 
最後にお伝えしたいのは、本当に成果を上げたり、成功していくためには、「他力」を大いに味方につけないといけないということです。私たちは学校で勉強しているころから、「物事は自力でやらないといけない」と思って生きているふしがあります。
「自力」の反対は「他力」です。「他力本願」は他力だけを頼っているわけですが、私がお伝えしたいのは、自力も大事だけれど、他力も大切だということです。「自力本願」だけでは物事は動かないからです。
本音で言うと、他力のほうが大事だとも思っています。他力を味方につけられるということは、他者から信頼される力、ビジョンに共鳴してもらえる力を備えている必要があり、そのベースには「自力」があります。ですから、「人に引っ張り上げてもらえるような自分」になっていただきたいと思います。
 
今回お話しした内容は、いまいる場所から人生を切り開いていこうとしている「個人」の話であると同時に、「リーダーシップ」の話でもあります。完全に同じというわけではありませんが、メンバーに信頼され、応援されるようになってから、自分のビジョンを語るという順番は一緒です。
 
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。
また次回お会いできるのを楽しみにしています。

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