【シーズン3-14:エグゼクティブの成功マインドを磨くCEOコーチング】人を巻き込み動かすための7つの力②~信頼される、推薦される
(1)信頼される力の鍵を握る「無意識」
こんにちは。
エグゼクティブ専門コーチの久野和禎です。
シーズン3では、書籍のタイトルにもなっている「ゴールドビジョン」についてお話ししています。前回、7つの力で構成されている「人を巻き込み動かす力」の1つ目と2つ目の力についてお話ししましたので、今回のテーマは3つ目と4つ目の力になります。
3つ目は「信頼される力」です。
この記事の元になっているポッドキャストの番組を一緒に作ってきたディレクターが「信頼されるのには時間がかかりますよね」と話していましたが、そのとおりだと私も思います。
では、どうすればよいのでしょうか。
「信頼されるというのはどういうことなのか」を突き詰めて考える際にポイントとなるのが、「無意識同士のコミュニケーション」です。
自分の中に「無意識くん」、もしくは「無意識さん」がいて、相手にも「無意識くん」、あるいは「無意識さん」がいて、無意識同士がやりとりしているのではないか――。証明するのは非常に難しいことではありますが、言葉にしていない「何か」が伝わっているのを感じたことが、みなさんもあるのではないでしょうか。
「それって何ですか」という問いに対しては、いろいろな説明があり得ますが、私は「無意識同士のコミュニケーション」という言い方をしています。
(2)自分に対する「確信」とは何か?
「信頼される」というのは、相手が「この人なら大丈夫!」と思ってくれることであり、そのためには、信頼される対象である本人が「確信」をもっていなければなりません。その確信の度合いが高ければ高いほど、無意識同士のコミュニケーションによって「確信」が伝わり、相手も「この人は大丈夫だな」と感じるわけです。
逆に、確信がない状態で、いくら「大丈夫です!」と言葉で伝えたところで、相手は「この人、大丈夫かな……」と思ってしまうでしょう。
「自分に対する確信」を考えるうえで欠かせない要素が、本連載でもお話ししている「エフィカシー」(自己評価)です。「自己評価」といっても、自分のゴールに関係のない分野の自己評価は高くなくても構いません。自分が興味のないことであれば、「それはできません」で済む話だからです。
一方、「自分がやろうとしていることに対する自己評価」、つまり「ゴールや目標に対する自己評価」については、高いに越したことはありません。
自己評価が高ければ、ゴールに向かって進む過程で、周囲の人も「この人は大丈夫」と考えてくれるようになります。
ゴールを達成するためには「スキル」や「知識」も大切ですが、自己評価については、「いま、できる」ことがポイントなのではなく、「いまはできないけれど、いずれできるようになるんだ!」と思えるかどうかが大事になります。
みなさんも、相手が「いずれできるようになるんだ!」と確信をもっているなら、「まだちょっと足りないところもあるし、勉強や経験が必要だけれど、この人だったらきっと大丈夫!」と感じるのではないでしょうか。これこそが「信頼される力」なのです。
「いずれできるようになるんだ!」というのは、わざわざ言葉に出す必要はありません。初対面の人に「私はこういう目標をもっていて、できると思っているんです!」とは言わないですよね? 言わないけれど、無意識同士のコミュニケーションによって「この人は大丈夫!」と思ってもらえるように、自己評価を高めていくことが肝要なのです。
(3)推薦される力
4つ目の「推薦される力」をお話しする前に、ここまでの流れの復習をしましょう。
前提として、人の力を借りなければ、成功や幸せは手に入りません。
そのうえで、ゴールを達成するには、「いまいるコンフォートゾーン」から「ゴールが実現した世界のコンフォートゾーン」に移る必要があります。「コンフォートゾーン」は「人」でできているため、「ゴールが実現した世界のコンフォートゾーン」側にいる人たちと出会い、人と人をつなげることで人間関係をつくっていかなければなりません。
ここまでのプロセスでポイントとなるのが、前回お話しした「出会う力」と「つなげる力」です。
「ゴールが実現した世界のコンフォートゾーン」の一員になるためには、信頼されないといけません。
「この人は本物だな」「この人はしっかりとした人だ」と思ってもらえるか否かは、あなた自身が自分の目指していることに対して、どれほどのエフィカシー、自己評価、決意、確信をもっているかによって決まってくることを、「信頼される力」の項目ではお話ししました。
ここからが「推薦される力」の話になります。
「ゴールの世界のコンフォートゾーン」の扉を開け、一歩入ったくらいのところにいるあなたに向かって、ゴールの世界の人々は、「あなたと知り合えてよかった。ありがとうございます。ぜひこちらに来てください」と言ったあとで、次のように言うでしょう。
「私の仲間たちに会ってください。どのように紹介したらいいでしょうか?」
そうなんです。
このように言われるタイミングがあるんです。
もしそうであるならば、「こういうふうに言ってください」という言葉を用意しておいたほうがいいですよね。この部分が「推薦される力」の本質である「タグ」の話です。
あなたのタグは何ですか? あなたはどのような人だと言われたいですか?
あなたがどういう人であって、どういう人になりたいと思っているかを伝えられるシンプルな言葉を見つけると、迎え入れてくれた人も、他の人にあなたのことを紹介しやすくなります。
タグがないと受け入れてもらえないわけではありませんが、タグがあることでスピードが変わってきます。
「○○会社の○○部の○○です」というのも、実はタグの1つです。いろいろな情報が入っていますので、それはそれで悪くはありませんし、役立つ場合もたくさんあります。
ただ、それはあなたがこれからなりたい姿を現しているわけではないかもしれません。「ゴールの世界のコンフォートゾーン」にいる人たちが「なるほど!」と思ってくれる内容かどうかは、よく吟味する必要があります。
人にはいろいろな顔があって、いろいろなことをやっていますので、すべての情報を1つのタグに詰め込むことは不可能です。」世の中にあるキャッチコピーと同じように、あくまでも一側面を切り取る形にはなります。
ですが、ぜひ「もっと話を聞きたい」と思ってもらえるようなタグを見つけることはできるものです。
自分の言葉で自分のことを表現できていれば、スタートラインとしてはよいでしょう。たとえば、マーケティングの仕事をしている人だったら「マーケッター」と言えば最低限のことは伝わります。得意分野があれば、「デジタル領域のマーケッター」とか、「スポーツ分野を専門としているマーケッター」とか、「○○の企業で、○○プロジェクトをやったマーケッターです」という言い方でもいいでしょう。
活かし方に工夫は必要ですが、昔の話を持ち出しても構いません。
たとえば、「高校時代に野球をやっていて、甲子園に出場したんですよ」という「タグ」にもメリットはあります。
いずれにしても、「推薦される力」にはタグが必要になります。相手に伝わらないタグは使えませんし、ありきたりなものだとインパクトに欠けてしまいます。
聞いた人が「なるほど!」と思って、「こういう人に会ったよ」「こういうふうに名乗っている人に会ったよ」と言って流通するような内容、記憶に残る内容がよいのですが、そうそう見つからないので、試しながらやってみるしかありません。
(4)一歩先の自分をタグで表現する
タグについては、いまの自分自身を表現するよりも、一歩先の自分を表現することをおすすめします。まだ完全にそうなってはいないけれど、そうなろうとしている自分をタグの中に詰め込んでいくイメージです。長いと覚えられないので、10〜15文字くらいでもよいでしょう。
ちなみに、「CEOコーチング」は私のタグです。「CEOコーチング」と言えば、「社長にコーチングをしている」ことが伝わりますよね。
実際には1つではなく、いろいろなタグをつくっていくことになりますが、いいものを見つけることができれば、一生それでいけることもあるでしょう。いずれにしても、タグについては研究していく余地がたくさんありますので、ぜひみなさんも考えてみてください。
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。
次回またお会いできるのを楽しみにしています。
追伸、『フィードフォワード』が増刷になりました。
地道にコツコツと必要な方に届いているようです。
ありがとうございます。
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