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【シーズン4-8:エグゼクティブの成功マインドを磨くCEOコーチング】「周囲」とうまくつきあう④~子どもに事業 を継がせるか否か

(1)人間関係は世界共通のテーマ

こんにちは。
エグゼクティブ専門コーチの久野和禎です。
 
シーズン4のテーマは、「つきあい上手になる考え方」。
私たちはいろいろなものと上手につきあう必要があります。上手につきあおうとする過程で、さまざまな壁にぶつかりながらも、なんとか乗り越えていきます。壁を乗り越えたあと、「もう少しやりようがあったのではないか」と感じる一方、結局答えがわからないまま、再び同じような場面に直面したときに「これは前と同じだけど、どうしたらいいんだろう」となって、未解決のまま先に進むことが多いのではないでしょうか。
 
この連載で私がお伝えしていることが絶対的な答えだというつもりはまったくありません。ただ、脳や心の働きという視点に加え、たくさんの人にコーチングする過程で私が学んだこと、経験してきたことを共有することは、みなさんの役に立つと考えています。
 
この連載のベースとなっているポッドキャストの番組は、「CEO」やそれに準ずる人たち、組織のリーダーに向けたものですが、人間関係や人づきあいの問題は、世界共通のテーマ、普遍的な課題でもあります。
 
前置きが長くなりましたが、今回の対象は「子ども」です。
事業のオーナーは、子どもに事業を任せるかべきか否か、子どもが事業を継いでくれるのか否かといった問いや課題に直面することがあります。「承継するものはないので心配ない」という人も、今回の記事のエッセンスを感じ取って、ご自身の状況に置き換えてみてください。

(2)日本人は進化している!?


私が経営者からお聞きする「子ども」の話は、たとえば、「子どもに継がせたほうがいいのか」「継がせないほうが幸せなのではないか」といったものや、「(建築関係の会社で)現場の人たちを束ねるうえで、男のほうがいいと思うけれど、娘しかいない」といった内容です。
 
日本には古くから「世襲」という言葉があり、いまも業界によってはその慣習が残っています。世襲的なものが存在することの意義の1つは、システムの維持です。慣れ親しんだ状態である「コンフォートゾーン」を維持することに意味を見出した時代が長く、これまではそれが合理的だったのでしょう。
 
でも、ずいぶんと状況は変わってきています。
私が接する経営者の多くは、「子どもに継がせることが幸せにつながるとは限らない」と考えるようになっています。「うちの家業はこれだから、お前もこの仕事をするんだ」という慣習から解放されつつあるといってもよいでしょう。
 
昔であれば、「娘しかいないんです」となれば、一緒に家を継いでくれるお婿さんを探すのが多かったのかもしれませんが、いまの経営者たちは「それもどうなのか」と言っています。
私は「それもどうなのか」と悩むようになっていることは、日本人の進化だと思っています。
日本には解決すべき課題がたくさんありますが、精神的な意味では自由になっている側面があるのではないでしょうか(それは別の意味での「束縛」とも考えられるので、単純に「進化」とは言い切れない部分もあります)。
 

(3)子どもの「コンフォートゾーン」を尊重する


ここからは、「コンフォートゾーン」を軸に考えていきましょう。私がCEOコーチングで行なっていることの1つは、「コンフォートゾーン」を動かすことですが、「動かないで困っている」「動かしてほしい」という場合にずらしていくのであって、本人が望まないのに勝手に動かすのではありません。
 
子どもは「自分のコンフォートゾーンを尊重してほしい」と思うのが普通であり、「子どもなんだから継ぐのが当たり前ではない」ことに、経営者たちも気づいています。そもそも、親が経営しているときの「コンフォトゾーン」と、子どもの「コンフォートゾーン」が重ならない限り、子どもが事業を継ぐのは難しいでしょう。もちろん、完全に重なることはありませんが、多くの部分が共有される必要があります。
 
経営に限らず、子どもの教育とか、子どもの将来を考えたときに、子どもの「コンフォートゾーン」を尊重して、子どもが望む方向に、子ども自身がコンフォートゾーンを動かしていけることを学ぶように促すのが、親の役目です。
 
しかし、親自身が「コンフォートゾーン」の動かし方を知らなければ教えようがありません。私自身のことでいえば、両親の片方は、いろいろと言わずに私の「コンフォートゾーン」を尊重してくれました。ただ、もう片方の親は表面上は「自由にしていいんだよ」としながらも、内心では「コンフォートゾーン」を束縛したいと思っていました。
 
もう21世紀も20年以上経ちますので、親は自分自身とのつきあい方を学んだり、現状維持したいと考えるのが人間である、ということを理解する必要があります。その性質を味方につけるか、それを敵にしてしまうかによってずいぶん結果は違ってくるでしょう。
 
親は子どもに対して期待してもいいし、するべきだとも思いますが、子どもの「コンフォートゾーン」を尊重して信じなければなりません。彼もしくは彼女が、これから「コンフォートゾーン」を自分の望む方向に広げていけると親が信じて、そのことを教えられるなら、きっと感謝されるだろうと思います。
 
身近な人々との関わり方は、みなさんの人生の豊かさを直接的に決めることになります。面倒になって諦めたくなるときもあると思いますが、粘り強く、お互いのためにいい方法を模索して取り組んでみてはいかがでしょうか。
 
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。
次回またお会いできるのを楽しみにしています。

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