視機能が勉強や人間力の発達を促してくれるワケ
前回は子どもの見る能力が、運動パフォーマンス向上にも非常に重要である事を記事にしました。
今回は、視機能が学習能力の向上に非常に大事である事を記事にしていきたいと思います。
目が発達しないと読み書きできない
小学生になると、授業で黒板をみたり、教科書をみながら勉強していきます。黒板をみて、ノートに板書する。普通に考えるとそこに難しいところなんてどこにあるの? というぐらい当たり前にやっている動きになります。
しかし、この黒板をみてノートに写す動作は、目の動き、視機能が十分に発達している必要があるのです。
例えば黒板を見るとき、机に座った状態でものを見る必要があるので、書いてある文字をしっかりと認識するための目の動き(追従運動)が必要になります。また、板書するためには黒板をみて近くのノートを見る動作を繰り返す必要があります。この時の目は、遠くのものにピントを合わせる動きと近くのものにピントを合わせる動きを交互に繰り返えしています。この距離感の違うものにピントを合わせる動きを浅深視運動といいます。この動きを繰り返す必要があるのです。
子どもはこの眼球運動がまだ発達しきれていません。なので先生が黒板に書いているものをうまく書ききれない、書くことに意識をむけすぎてしまう子も少なくないのです。
写すことだけに意識を向けすぎてしまうと内容の理解が進みません。結果勉強に対してのモチベーションが低下してしまいます。その結果が勉強する際の意欲に影響したり、学習能力の低下につながってしまうのです。
目の動きは人間性も育てる
また眼球運動の発達は、脳の前頭葉を高める機能を持っています。脳の前頭葉の役割は何かというと、理性を司る場所になります。
例えばですが、スーパーで子どもが自分の欲しいものを買ってくれなくて床で転がって泣いている場面にでくわした事があると思います。子どもが自分の欲しいものを買って欲しいとねだる理由の一つに、前頭葉が発達していないために自分の欲望を理性で抑えられない事が原因になります。この前頭葉は眼球の運動と非常に深いリンクがあり、視機能が高まる事で思いやりや理性といった人として生きるために必要な前頭葉がはったつしていく事ができるのです。
昔よりも視機能を育てる機会が減ってしまった
この様に眼球運動は非常に大事な運動となります。しかし一方で、近年の子どもは昔の子どもほど視機能が発達していないという事が報告されています。その原因の一つが、子どもを取り巻く環境が昔とだいぶ変化してしまっている事があります。
昔の子どもは外で遊ぶ事が多く、自然の中で遊ぶ機会が今よりも非常に多くありました。外での遊びは虫取りをしたり、鬼ごっこをしたりと、自然と目で対象物を追いかけたりする事で無意識に視機能を高める遊びが非常に多くあったのです。
一方、最近の子どもは屋内で遊ぶ事が多くなり、スマホやタブレットを見る機会が多くなりました。スマホやタブレットでは狭い範囲で奥行きのない画面を見る形になるため、眼球を動かすことや奥行きのピントを合わせる事が無くなってしまいます。結果、視機能を発達させる機会が少なってしまうのです。
スマホやタブレットが全て悪いわけではないですが、昔と比べて環境的にも視機能を発達させる機会が少なくなってしまっていると感じています。そのため、目の動きを促すビジョントレーニングや、目と身体の関わりを発達させていく発達遊びはご家庭に取り入れていったほうがいいと考えています。
次回はその目の動きを取り入れた遊びを紹介していきたいと思います。