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発達運動学を知ると、自分の可能性に気づくことができる

僕は理学療法士として人の身体のケアを行なっているのですが、この数年は発達のことを学びながら人の身体を見ています。


リハビリ業務に携わる人でも、発達学で人を診るということはあまり腑に落ちない人が多いと思います。実際僕の周りでも筋力訓練がリハビリにおいて優先に捉えている印象があり、発達運動学を学ぶのは資格を取るときの国家試験対策に暗記していた方がほとんどだと思います。


もちろん僕も筋力訓練は必要に応じて行うので、筋力をつけるという考えは大事だと考えています。


それでも、自分の経験から、ただ筋力を鍛えるよりも、発達運動学の観点で人を評価した方が、その人の改善点が把握しやすく、介入後の結果も良好なことが非常に多いと感じているからです。


今回は発達運動学が人の動きを見るときに非常に大事であるということを書いていきたいと思います。



大人になっても発達し続けている

なぜ発達運動学が人の動きを見るために重要になるのでしょうか。


その疑問に応えるためには、まずは発達とはどういうことなのかを考えていく必要があります。


動きが発達することを簡単に述べると、「より身体のコントロールが精密になっていくこと」だと考えています。


産まれてすぐの新生児の動きは、自分自身の動きをほとんどコントロールすることができません。

足をばったばったと力強く動かしたり、手をバタバタと動かすだけの単調な動きしかできません。


しかしその単調な動きからも、新生児は多くのことを学んでいます。身体を動かすことで自分自身の体を感じ、自分と外界の区別がつく様になってきます。区別がついてくると自分以外のものに興味を示し、物やおもちゃをつかもうと赤ちゃんなりに試行錯誤を始めます。そして身体を動かし続けることでより細かく身体を動かすことを学習し、自分の身体をコントロールすることを学んでいくのです。


この過程を繰り返すことで、子どもは大きくなるにつれ、寝返りから四つ這い、歩行へとより身体のコントロールが必要な動きを学習していくのです。


この様に、身体をよりコントロールし動作が円滑になっていくことが発達だと僕は考えています。


そして大事なのは、身体の動きが発達するのは子どもだけではなく、私たち大人も身体の動きは発達し続けるということです。


脳の中の動きをコントロールする領域は、身体を動かすことで日々変化しています。この運動を司る領域が変化するからこそ、脳梗塞などの脳機能に問題が生じる疾患になってしまっても、歩く能力を再学習し、歩ける様になるのです。


なので、大人や高齢者の動きを見ていると、動きの中でうまく発達できていない部分がわかります。そこに対して動きがうまく発達する様に関わると、動きが変化し、痛みが良くなったり身体を動かしやすくなったりするのです。


正しく動かすと身体は快適になる

大人でも動きが発達するのを、僕自身がいつも体感しています。


僕の日課で、色々な動きを通して自分の身体を動かして動きを学習する時間を作っています。


その様に動きの学習を意識しながら身体を動かしていると、筋力を鍛えているわけではないのに色々な動きができる様になってきました。


最近できる様になったのは逆立ち。この30数年魔たくできなかったのがようやく10秒以上できる様になりました。たかが逆立ちぐらいで大袈裟なと感じるかもしれませんが、運動音痴で全然動けなかった僕からしたら、30すぎでも色々な動きができることが大きな喜びになるのです。


この様に発達運動が大人になっても動きが変わることを知ると、歳をとってもまだまだ身体の動きは快適になっていくことがわかるし、自分の身体の可能性に気づくことができます。


自分の身体はまだまだ変化していくことを実感すると、自分に限界がないことに気づかされます。行動に移せば移すほどに身体が変化していく。そのことに気づくと動きだけではなく考え方や行動にまでいい変化がおきます。


大人にこそ知って欲しい発達運動学。今後は親や大人に向けても発信していきたいと思います。

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