見出し画像

「審査が通る企画書は10分の1?」編集者が惹かれる企画書の共通項

皆さまから企画書を送って頂き、拝読する日々を過ごしておりますが、
数年前と比べて企画書のレベルが上がっているように感じます。

最近では、10個の企画書に目を通したら1つは印象に残りますので、今回はそういった企画を書かれる方々の共通項をご紹介します。

①読書量がすごい

とにかくよく本を読んでおられます。その逆は、売れている本や検索で引っかかったような本を、類書として並べただけの企画書です。試しに感想をお聞きすると「よく覚えてなくて…」という方もおられますが、なぜ覚えていない本を類書と言えるのでしょうか?

②差別化できている

類書を全てを十把一絡げにして「ここが差別化ポイントです」とアピールする方がおられますが、それで納得する編集者も少ないでしょう。差別化できている方は、たとえば類書を5冊読み込んだら、その5冊がそれぞれどう違うかを説明できたりします。

③著者略歴が500字以内

企画の魅力もそうですが、自分の魅力も短く伝えたほうがいいです。短い方ほど「凄さ」が刺さります。どうしても長くなってしまう方は、どのみちAmazonでは500字くらいまでしか入力できないので、まずはここを目安にするのはいかがでしょうか?

④経歴的に無理がない

極端な話ですが、特に経済を学んだことがなく、たいした投資経験もなく、ろくに成功もしていないのに、『金持ち父さん貧乏父さん』を読んで感動したという男性が、お金持ちになる本の企画書を持ってきたときは引きました。ご自分の魅力と企画のウリをマッチさせましょう。

⑤目次案が多め

目次案が非常に多く、とてもページ内に収まり切れないという企画書をよく見かけます。ただ、これは自らの引き出しの多さをアピールするためでもあるので、短いよりはマシです。ただし「一番伝えたいのはコレだ」を1つ、最低でも3つ以内に絞っておいてください。

⑥読書ターゲットが明確

よくあるのは、たとえば話し方の企画書で、読者対象を「営業マン」「講師業」「口下手な人」「初対面に弱い人」などを並列させているケースです。これでは誰に届けたい本になっているのかわかりません。惹かれる方は企画書のウリがはっきりしているので、結果ターゲットも明確です。

⑦武勇伝や自慢話とは無縁

武勇伝になっている企画書も多く、特に営業系やお金系ではこの傾向が強いです。ご本人にそのつもりはないのでしょうが、読者は基本「読みたいものを読む」ので、他人の自慢話には興味がないとお考えください。

⑧販促についても考えている

版元の僕が書いてしまうと誤解が生じかねないですし、もちろん版元も書店も頑張って売りますが、その本だけを売っているわけではありません。「自分が本を出したらこのように販促します」とアピールできる方は強いです。

以上です。まず⑤は全く問題ありません。
①②は読書量と客観性の問題でしょう。

③④⑦は自己PRについてですが、編集者に限らず「他人の話を聞きたい」という人間はそういないでしょう。自分のウリは短く伝えたほうが残ります。
その際、自分のウリと関係ないものをアピールしても意味がありませんし、かといってウリがいかに凄かったかを聞きたいわけでもないのです。

⑥のケースはすごく多いのですが、読者ターゲットを広げたからと言って売れるわけではありません。それよりも明瞭さが大事。企画の面白さを短く伝えて頂ければ、ターゲット層は自ずと出てきます。

⑧は単純な話で、AさんかBさんかで迷った際、Aさんは「書店や版元で頑張ってください」でBさんは「私も頑張って売ります」だった場合、誰だってBさんを選ぶでしょう…ということです。

こう書くと、自分と他者とのバランスがよく取れている方、自分を客観視できる方の企画書が、10分の1になれるということなのかもしれません。

#出版社 #出版 #出版企画書 #企画書 #企画 #編集者 #書籍編集者 #著者 #作家 #著者デビュー



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?