問題になった結婚式撮影のツイートを見ていると、撮影業界をもっと知ってもらう努力をしないといけないなと思う
こんにちは、フリーランスフォトグラファーのまちゃるです。
さっそく本題に入りますが、かなり前の話ですが、X(旧Twitter)を見ていると結婚式本番の撮影で、トラブルにあったというカメラマンのツイートが流れてきました。
元ツイートはいろいろな問題があり、削除されてしまっていますがだいたいの経緯は以下の通りです。
①A氏(ツイート主)は式場所属または提携のカメラマン。いつものように式撮影にのぞんだところ、撮影には新郎新婦が出張撮影サービスで探したという別のカメラマンB氏もいた
②式が始まると、B氏はバージンロードで長時間撮影したり、新郎新婦や参列者の前を平気で横切るなどの行為を行った
③その結果、会場全体の様子が分かるようなA氏の引きの写真にはB氏がかなり映り込んでおり、写真アルバムに引きの写真が使えない等のトラブルとなった
④その様子をA氏がツイート。業界や一部カメラマンの間で議論となる
当然、B氏というカメラマンの問題行動にはTwitter上で批判が集まり、プチ炎上しました。
これに加えて、式場側の対応やA氏の対応にも一部疑問が呈されましたが、私自身はこの1つの事例は今の撮影業界が抱える大きな問題を顕著に表していると思います。
まず第一に、「撮影機材が発達したおかげでカメラマンとしてお金を稼げる可能性が増えたが、撮影時のマナーや仕組みを理解していないカメラマンが増えた」問題です。
これは今回のような結婚式関係の撮影、七五三・お宮参りなどの神社撮影、観光地での撮影許可問題などが挙げられます。
端的に言えば「写真を撮る技術はあるが、撮影場所のルールを理解し、適切な申請や対応が出来ていないカメラマンの増加」という問題です。
その結果、今回のように結婚式そのものをぶち壊しかねないような撮影方法を取ったりというトラブルが起きています。
(今回の場合、撮影技術自体も大丈夫なのかというレベルではありましたが・・・)
第二に、「ブライダルや神社撮影など独特のしきたりを持つ分野が生まれ、一般的な出張撮影カメラマンや利用者との乖離が生まれている」問題です。
結婚式や七五三などの節目の撮影は、多くの方は一生に何回も経験するものではありません。その一方で、ブライダルや神社撮影のカメラマンはけっこうな割合で、式場や神社と提携して独占的に撮影を行い、その分野の撮影のエキスパートとなっていきます。
(中にはその式場や神社の専属ということも多くあります)
これ自体は写真のクオリティを高めるという面ではプラスに作用していますが、その反面でその業界に疎い人たちからは理解が難しく、一定の価値観に凝り固まってしまう危険性もあります。
結婚式場への外部業者(カメラマン・衣装・美容師などなど)の持ち込み料金しかり、式場や神社敷地内で提携業者にのみ活動を認める点などです。
もちろんこれは、提携業者の利益を守り、マナーの悪い業者や撮影トラブルの回避に役立つ面もありますが、一般の利用者にそういった点が十分に説明されていることはまれです。
写真業界に限らず、専門家が関わる仕事の分野と言うものはなかなか一般の方(その業界に日ごろ関わらない方)には分かりづらく、独特の規則やしきたりは理解されないものです。
その点、フリーランスとして活動してきた自分もカメラ業界そのものを一般の方に知ってもらう努力をしなければいけないなと思っていますし、どうやったら多くの方に理解してもらえるのだろうと試行錯誤している段階です。
さらに言えば、カメラや写真業界はプロとアマチュアの垣根がいい意味でも悪い意味でもほとんど無い業界です。
アマチュアの方も少し踏み出すだけでお金を稼ぐことができ、特殊で相当専門的な分野を除いて副業カメラマンも多数いるというのが現在の写真業界になります。
参入しやすいというのは業界全体のレベルアップには役立ちますが、一方で写真を業として請け負っていくだけのコンプライアンスの習熟(撮影許可や著作権・肖像権、契約関係など)、税務・営業関係への理解、コミュニケーション能力などが不十分なまま、撮影技術のみでプロカメラマンとして活動するカメラマンも少なからず存在します。
免許がなく、強力な業界団体のもとに統制されているわけでもない写真業界ですので、それぞれのカメラマンが時代に応じたルールやマナーを守り、常に学びながら写真を趣味で撮る人、写真を撮らない人たちにもそれらを発信し、理解を深めていく大切さを感じます。