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USPTOへのDIY商標出願の記録

米国カリフォルニア州で日本製品の輸入販売業を営んでいる杭原です。販売代理店事業や米国進出支援等を通じて、日本製品の米国での販売拡大に取り組んでいます。

今回は、自社ブランド品の米国での販売に伴い、USPTO(United States Patent and Trademark Office)への商標出願を自ら行った際の記録です。

なお、あくまで私の体験を記すもので、正確さを保証するものではありません。また、自ら申請できるのは米国居住者のみのため、日本居住者が申請する場合には代理人が必要となるようです。

1.目的

日本でOEM製造した自社ブランド品の米国での販売を企画しており、そのブランドロゴの商標出願を行いました。ブランドを保護したいという意図ももちろんありますが、今回の商品はマーケットプレイスでの販売をメインに考えており、Amazonでの販売にあたり商標出願が必要というのが一義的な理由です。商標登録がされていなくても、商標出願中であればAmazonにブランド登録が可能なため、出願中Statusを作ることがひとまずの目標でした。

商標の保護により重きをおく場合、やはり専門家への相談をお勧めします。特に、この後に触れる出願プロセスで発生するいくつかの分岐点において、何が商標保護に最適かを慎重に検討する必要があると感じました(言い換えると、今回の私はとりあえず一通りのプロセスを済ませることを優先しました)。

2.3つの分岐点

実際に商標出願を進める中でポイントと思われたのが以下3点です。

①TEAS Plus or TEAS Standard

商標出願にあたっては、その商標が実際に使用されるカテゴリー(Class)を指定し、その中でどのような商品・サービスに使用されるかを記述(Description)します。

TEAS Plusでは、ID Manualという既に定義された記述集の中から該当するものを選んで出願します。以下のページから、キーワードで検索することができます。

一方、TEAS Standardでは独自の用語を使って記述することができます。

USPOTのTrademark出願画面

申請費用はTEAS Plusが$250、TEAS Standardが$350。TEAS Plusの方が登録までがスムーズであるとの情報もあり、今回はTEAS Plusを選択しました。
冒頭で記述した通り、どのClass、Descriptionが商標保護に最適か、案件によってはよく検討が必要なポイントだと思います。

② Mark Type

手続きを進めていくと、出願の対象となるMark TypeをStandard CharactersかSpecial Formから選択することになります。
Standard Charactersは文字列そのものを保護し、Special Formは特定のデザインやスタイル、つまりロゴを保護します。
両方登録するのがベストではありましたが、今回はSpecial Formを選択して登録を行いました。

USPOTのTrademark出願画面

③Filing basis

商標をどのような前提で出願するかを、以下から選択します。

  • Section 1(a) Use in Commerce

  • Section 1(b)  Intent to Use

  • Section 44(d)  Foreign Application

  • Section 44(e)  Foreign Registration

USPOTのTrademark出願画面

Section 1(a)は既に商標がアメリカで使用されている場合、1(b)は将来的に使用する意図がある場合、44(d)は他国で商標出願中の場合、44(e)はアメリカ以外の国で商標登録されている場合です。

専門家ではないため深入りは避けますが、商標を使用しているかどうかに関わらず早く出願した者が優先される「先願主義」の日本とは違い、米国は実際に商標が使用されていることが条件となる「使用主義」です。

Section 1(a)を選択すると、次にSpecimen(使用証拠)を提出することになります。

USPOTのTrademark出願画面

Section 1(b)を選択すると、この時点でのSpecimen提出は不要ですが、いずれ商標登録までに使用証拠の提出が必要になります。出願→商標が登録可能であることのUSPTOからの通知→使用証拠を添付した使用宣誓書の提出、という流れになるようで、一般的には1(a)よりも登録までの期間は長くなるようです。

3.その後

上述のプロセスを経てオンラインで出願を提出すると、シリアルナンバーが発行されます。順次審査されるようですが、2024年6月時点で2023年10-11月の申請が審査されており、しばらくは待ちの状態です。

USPOTのTrademark出願画面

USPOTの審査官が割り当てられたら、必要に応じてメール電話でのやり取りを行っていくようです。USPTOで勤務している友人曰く、申請時は自力で行い、後からエージェントに依頼するケースもあるとのこと。

ちなみに申請を行うと、公開情報をもとにさまざまな業者からメールが届きます。監視サービスを謳っていたり、公式と誤解させるような紛らわしいものだったり、何とかして欲しいところです。

しばらくは待ちの状態ですが、また追ってアップデートできればと思います。


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