小説を連載させていただきます。
テーマは電力会社の企業体質・企業文化です。
昨今の電力会社、特に原子力発電に対する逆風は目を覆うものがあります。
ショッキングな東京電力福島第一原子力発電所事故、その後の事故処理。
現場の事故対応をディスターブする本社役員の発言がテレビ会議で飛び出していました。また最近では、関西電力の金品授受に続く一連の不祥事もありました。
原因は、電力会社独特の企業体質・文化に起因するものと考えております。
現場の技術者には何の関係もなく、彼らは黙々と使命感を持って日々の発電所運営に取り組んでおります。このことは、映画「fukusima50」でも見事に描かれておりました。
現場の技術者の名誉挽回も兼ねて小説を書きました。
次回から配信いたします。
原子力に反対する人は何に反対すれば良いのか、賛成する人は何を改めれば推進できるのかおわかりいただけるものと思います。
電力会社に就職希望の若い人たち、家族が電力会社に勤めているが、何をしているのかサッパリわからない、という方には外から見えにくい電力会社の一側面だけでもご理解いただけるものと思います。
出版も検討しましたが。。。
出版も検討し、いくつかの出版社にも相談いたしました。
内容をご評価いただいた出版社もありましたが、私のような実績のない人間は自費出版からということでした。
小説を書いて評価いただければ印税のようなものをいただけるという素人考えは脆くも崩れ去り、逆に相当の初期費用が必要とは。。。
世の中甘くないとあきらめかけている時にこのプラットフォームを知りました。まさに「救いの神」です。「これしかない!」思い込んだら命がけ気質が行動を開始いたしました。
ごめんなさい。有料配信とさせていただきます。
物語は25話程度になる予定です。
100円/一話で設定させていただきます。
なんでこんな面倒な設定に、という声も聞こえそうですが、単行本を買って読みだしたものの面白くなくて、そのままポイ!というご経験はどなたにもあるはずです。素人が初めて書いたものなので、それを防ぐためにいつでもやめられるようにしたつもりです。
最後までお付き合いいただいて、単行本1冊分と考えました。
タイトル
「電力会社の憂鬱」(400字詰め原稿用紙370枚)
25話完結の予定です。
あらすじ
主人公、海野雅治は、西日本電力日本海原子力発電所の安全担当次長。普段は膨大な技術案件に追われながら、国・自治体・地元との対応に当たっていた。人懐っこい海野の性格の甲斐あってか、非常に良好な関係を築き上げていた。
技術的には、加圧水型軽水炉のアキレス腱といわれる「蒸気発生器」の安全対策が喫緊の課題であったが、関係個所から厳しい叱責をいただきながらも運転を停止することなく安定稼働を続けていた。
ただ外部からの厳しい要望には耐えられるが、自分たちの立場を守るために現場に押し付けてくる本社からのプレッシャーには常々抵抗し、跳ねのけることもしばしばであった。
日々24時間365日交代勤務にあたる現場技術者の負担は相当なもので、都会のようにストレスを発散させるようなものは何もなく、彼らとのショックアブソーバー役となる海野自身の精神も次第に摩耗していく気がしていた。
そんなある日、同期の坂本人事部長から一本の電話が入る。社長の小村がリークしたと思われる、西日本電力の将来の社長候補6人の名前が、週刊誌に掲載されたというのだ。坂本のほか、企画部長・秘書部長・経理部長・東京支社長、そして海野である。このことを知った瞬間に坂本は強権である人事権を駆使し、ライバルを追い落としにかかる。自分の子飼いの部下をライバルの近辺に配置し、大ミスを誘発させる作戦である。
この坂本の策略にはまり、次々とライバルたちが失脚していく。
残りは海野である。
直属の人事課長を海野の下の事務次長に配置し、海野の失敗を誘発させろという命令である。原子力発電所の運営にあたる海野にまで手をのばせば一体何が起きるか。。。もちろん坂本は計算づくであった。
坂本は山本に命令する。「事故が起きた時がチャンスだ。お前が海野の破滅を確信するまでは事故は収束させるな!」ライバルを蹴落とすためには、原子力発電所であろうと彼にとっては道具にすぎなかった。
19〇〇年2月、日本海発電所2号機蒸気発生器細管破断事故発生。
過去に経験したことのない、非常用炉心冷却装置が作動する大事故である。
しかし事態は坂本が策略した通りにはならなかった。山本は海野の人間性に心から心酔し、何よりも地元出身の技術者が海野に心を寄せているのを知ったのである。逆に坂本の策略が表沙汰になり、坂本が候補者から去ることになる。海野を慕う人たちによって、ギリギリのところで未曽有の原子力災害を免れたのである。
その後、海野は順調に出世し、副社長まで上り詰める。本社からの過剰な管理に大きな問題があることを認識した社長の小村に認められたのである。
小村の厳命で、独立性の高い「原子力本部」を立ち上げ、自由闊達な原子力現場作りを目指すが、そこでまた日本海3号機事故。死者まで出す大事故で、今度は管理が緩み過ぎたための反作用と考えられた。
そこに原子力現場には、これまで以上の厳しい管理が必要と考える新しい強敵が現れ、小村と海野の構想は挫折し、元の木阿弥となる。
最後に海野は思う。
「古来より人間は自然の恩恵にあずかり生きてきた。日が落ちれば眠り、昇れば起きだし働く。自然が育んだ土に種を撒き、雨乞いをして食をみたす。この自然の摂理は神の領域である。この神の領域に少しだけ足を踏み入れて、より利便性の高い生活を目指そうとするのが『科学技術』である。
神の領域に足を踏み入れようとするものは、他にも増して敬虔で謙虚であるべきである。誰しも神社に行けば、手を合わせるし拝礼もする。
『科学技術』の中でも原子力などという高度で危い技術を扱おうという者は特に修験者のような清廉さが求められる。ましてや、権力欲、出世欲、支配欲、金銭欲、色欲などに駆られた人間が足を踏み入れようとすると、たちまち神の怒りに触れる。」
東京、福島間は300㎞。
ここから都心まではわずか100㎞。東日本大震災の比ではない。
海野は震えが止まらなかった。
主な登場人物
西日本電力
日本海原子力発電所次長 海野 雅治(うんの まさはる)
社長 小村純一郎(こむら じゅんいちろう)
経理担当副社長 南川 健一(みなみかわ けんいち)
原子力担当副社長 豊田 隆一(とよだ りゅういち)
営業担当副社長 徳山 繁(とくやま しげる)
人事担当常務 石田 誠二(いしだ せいじ)
人事部長 坂本 利己(さかもと としみ)
人事部課長 山本 隆司(やまもと たかし)
人事部副長(人事) 伊賀 誠(いが まこと)
人事部員 有村 夢子(ありむら ゆめこ)
人事部員 高宮 理子(たかみや りこ)
原子力管理部長 白井 航(しらい わたる)
企画部長 中原 賢治(なかはら けんじ)
経理部長 神田 豊(かんだ ゆたか)
秘書部長 天童 真司(てんどう しんじ)
東京支社長 村田 圭司(むらた けいじ)
日本海発電所運転課長 武村 一郎(たけむら いちろう)
資源エネルギー庁長官 中村 修(なかむら おさむ)
浜波地区区長 武村 源治(たけむら げんじ)
浜波地区 武村 克己(たけむら かつみ)
最後に
この物語はフィクションです。登場する会社・団体・個人などは全く架空の
ものです。また事故などの表現は、すべてインターネット等で、公知の事実を参考にしております。
ご期待ください。ね。
是非サポートをお願いします。小説の構想はまだまだありますので、ご購入いただいた費用は、リサーチや取材の経費に使わせていただきます。