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「電力会社の憂鬱」第17話
抵抗勢力
「原子力本部設置検討会」は、海野が主査。
事務局長に企画部長の依田が当たることになった。
企画部は、組織計画を所管しており、これだけ大きな組織改革となると関与せざるを得ない立場にある。
社長の意向ということもあり、メンバーは本社全部門の部長と管内全域の支店・支社長ということになった。
検討会議の頻度は、月に2回。
半年という社長の厳命なので、12回限りというものである。
第1回の「原子力本部設置検討会。」
総勢60名以上という大会議である。
依田が口火を切った。
検討会の趣旨、小村社長の意向を伝えた後、
主査である海野に発言を求めた。
特に、海野の「原子力本部像」を語って欲しいという要望である。
海野は管理部門からの反発を覚悟し、語り始めた。
「原子力現場は、他部門が考える以上にストレスの溜まる職場である。」
国・県・地元からの過酷な要求への対応。報道関係者からの厳しい追及。
原子力各部や管理部門からの圧力。
そのストレスを解消することもままならない職場環境。
結果、職員が疲弊しきっていること。
切々と訴えた。
「指導監督官庁や協定に縛られた相手方は仕方ないが、せめて社内からの圧力や無茶なプレッシャーは止めてもらいたい。
そのため新原子力本部は、別会社とは言わないが独立性の高いものにする。
要は管理部門の仕事も含めて、原子力に関することは全て本部が決める。
目指すは、職員のストレスフリーである。」
海野は回りの反応を伺ったが、みんな目を伏せたままであった。
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