「電力会社の憂鬱」第7話
地域経済連合会
地域経済連合会、通称「地経連」の職員は有力会員会社からの出向者とプロパー職員の寄せ集めである。
枢要ポストは出向者、特に会長、副会長、専務理事の出身会社が中心となる。
現在は西日本電力が会長会社なので、出向者数も圧倒的に多く、仕事に対する取組みの温度差も出る。
出身会社の役員に恥をかかせてはならないという使命の職員に、どうしても仕事が集中するという構造になる。
秘書広報課長の伊賀は、席を温める時間がなかった。
学生時代、スキー部で鍛え体力には自信があったが、職場環境の違いからかこれまでとは全く違う疲れ方をしていることを自分でも気づいていた。
「忙しい人事部から出向なので、しばらくはゆっくり出来るだろうと高を括っていたが、10倍くらい忙しい。」
泣きそうな気分だった。
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