見出し画像

「電力会社の憂鬱」第12話

記者会見

海野は日本海発電所に到着後すぐに中央制御室をねぎらい、所長室に入って事故顛末書に目を通した。
そこに事務次長の山本が駆け込んできた。
「所長、お疲れ様です。
もうPR室の仮設会見場に記者が押し寄せているらしいです。」
報道発表は山本の仕事だが、さすがに本件は自分が出ない訳にはいかないだろう。
しかし夜中の12時である。
「わかった。コーヒー一杯だけ飲ませてくれ。」

山本と連れ立ち、会見場に入るやいなや、2人は驚いた。
パイプ椅子の後ろ側に、テレビカメラが10台以上並んでいる。
通常は公共放送と地元ローカル局の2台くらいだが、席に着くとライトが眩しくて前がみえない状態であった。
記者の数も異様に多かった。 

ここから先は

3,435字

¥ 100

期間限定!Amazon Payで支払うと抽選で
Amazonギフトカード5,000円分が当たる

是非サポートをお願いします。小説の構想はまだまだありますので、ご購入いただいた費用は、リサーチや取材の経費に使わせていただきます。