関数解析3(有界作用素全体のなす空間)


定義3.1(オペレーターノルム)

$${T: V\rightarrow W}$$:有界作用素に対して、次のように定義される$${|T|}$$を$${T}$$の作用素ノルムと呼ぶ。

$$
|T| := \inf\{C \ge 0 | \forall v\in V, |Tv|\le C|v|\}
$$

注意3.2(オペレーターノルムの同値な表現)

$${T: V\rightarrow W}$$:有界作用素に対して、次が成立する。

$$
|T| = \sup_{v\in V \backslash{0}} \frac{|Tv|}{|v|}\\
= \sup_{|v|\le 1} |Tv|\\
= \sup_{|v| = 1} |Tv|\\
$$

定義3.3(B(V,W))

$${V,W}$$: ノルム空間 に対して、$${B(V,W) }$$を次のように定義する。

$$
B(V,W) := \{T:V\rightarrow W | \text{bounded operator}\}
$$

定理3.4

$${V,W}$$: normed space に対し、
$${(B(V,W), |\cdot|)}$$はノルム空間となる。

証明:

ノルム空間の3条件を確かめる。

  1. $${T\in B(V,W)}$$に対して、

$$
|T|= 0 \Leftrightarrow \forall v\in V,, |Tv|=0\\
\Leftrightarrow \forall v\in V,, Tv=0\\
\Leftrightarrow T=0.\\
$$

2. $${T\in B(V,W)}$$, $${\alpha \in \mathbb{K}}$$に対して、

$$
|\alpha T| = \sup_{|v| \le 1} |\alpha Tv|
= |\alpha| \sup_{|v| \le 1} |Tv|
= |\alpha|, |T|.
$$

(この計算によって、$${\alpha T \in B(V,W)}$$も示している。)

3. $${T,S \in B(V,W)}$$を固定する。
$${\forall v \in V}$$に対して、

$$
|(T+S)v| = |Tv + Sv|\\
\le |Tv|+ |Sv|\\
\le |T|,|v| + |S|,|v|\\
=(|T|+|S|)|v|.\\
$$

これより、

$$
T+S \in B(V,W)\\
|T+S| \le |T|+|S|.
$$

が言える。

命題3.5

$${V_1, V_2, V_3}$$ : normed space.
$${T\in B(V_1,V_2), S\in B(V_2,V_3)}$$に対し、次が成立する。

$$
ST \in B(V_1, V_3), \quad |ST| \le |S|,|T|
$$

証明:

$${v\in V_1}$$に対して、

$$
|(ST)v| = |S(Tv)|\le |S|\,|T|\,|v|.
$$

従って、 $${ST\in B(V_1, V_3)}$$ 及び、 $${|ST| \le |S|,|T|}$$が示された。

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