なぜ経理や労務などのバックオフィス業務が中小企業で軽視されるのか?
中小企業の社長の多くは経理や労務などのバックオフィスの仕事に興味がない。
営業や工場(生産)の人からも軽視される。
理由は単純で、
①売上をあげないコストセンターだから
②誰がやっても同じと思われがち
③ややこしい、わかりづらい
からである。
先日、下記のような投稿をしたので、まとめてみようと思う。
経理や労務などのバックオフィスが「誰がやっても同じ」と軽視される理由は何か?
その主たる理由は売上をあげないコストセンターだからであり、
独自性や差別化が求めにくい職種だからである。
そのせいで、実際はそれなりに専門性や経験が必要だが、なぜかAIやITで自動化できると思われがち。。。
バックオフィスが軽視される理由
①売上をあげないコストセンターだから
会社は大きくても小さくても大雑把に以下のような仕事がある。
・営業
・生産
・事務
もっと分類していけば新商品サービス開発やマーケティング、人事や採用その他もろもろたくさん分類されるがわかりやすくいえば、モノやサービスを作って売り、書類をやりとりする
これがビジネスの基本である。
その中で直接的に売上を作るのは営業、その売るものは生産なのに対して事務だけは何も貢献していない。
社長からしても、営業の売り方、モノやサービスは何を提供したら売上があがるかに一番の興味がいく。
請求書や入金確認など事務の仕事は売上に直結しないので目がいきにくい。
場合によっては②のように誰がやっても同じと思いがち。
②誰がやっても同じと思われがち
請求書を出して、入金を確認する(経理)
新入社員が入ったので、入社手続きをする(労務)
備品が少なくなってきたので発注する(総務)
お給料の計算をする(労務)
会計帳簿をつける(経理)
人によってミスが多い少ないはあるかもしれませんが、基本的に誰がやっても同じと思いがちな仕事が多い。
ミスが少ない人が優秀で、ミスがなくなる仕組みを作ってくれと私でも思う(笑)
だからといって人数を増やしてダブルチェックしたところで売上や利益が増えるわけではない。
人を雇う余裕があるなら営業や生産を強化したいと思う。
結果、合っていて当たり前、間違っていたらその人の能力が問われるという構図になりがち。
③ややこしい、わかりづらい
税法、会社法、労働基準法をはじめ法律がしっかりしている分野が入るのがバックオフィス業務の1つ。
経理系のプロだと思われがちな税理士、労務系のプロだと思われがちな社会保険労務士など、国家資格の所有者がいるのもこの分野。
(思われがちと書いたのはちょっと違うから)
ややこしいことをいう経理とは距離をおきたいもの。
売上や利益にも貢献しないし、誰がやっても同じ、間違ってなければ良いので、任せたというのが社長の本音(笑)
バックオフィス業務は意外と難しい
以上のような理由から、ITやロボット化されやすい業務というイメージを持たれがち。
特に②が顕著で、誰がやっても同じで、人がやるとミスが起こるなら、ミスしないロボットにやらせたほうが良いと思う。
これは半分正解で半分不正解。
ロボット化に必要なのは、単一の業務フロー。
Aの場合はA
A+Bの場合はAB
A+B+CはABC
と決まっている仕事は簡単。
でも、、、経理の仕事は、
同じ飲食店での食事でも目的によって会議費や交際費など科目が変わる。
これをロボット化するためには、こういう場合は目的を入れようね!とか、
もう〇円以上は交際費ね!とかルールを決める必要がある。
前者は人が入れ、後者はロボットが行う。
ただ、税法の規定によれば後者は間違いで、前者が正解である。
例なので、些末な問題に思えるかもしれないが、実はこういう人間が判断するものが多数あるのがバックオフィス業務。
法律で決まっている事項が多いのにも関わらず、人間の判断が入ることが多いのは、裁判でもケースバイケースで判断するのを見れば納得かなと。
一方で、ITやロボットを入れることで、ぐっと効率化することが可能なのもこのバックオフィス業務。
昔は伝票を手書きし、その上で会計ソフトに入力するのが一般的でしたが、今は会計ソフトに直接入力するのが一般的。
一歩進んで、ネットバンクの手続きをしてある銀行は、CSVで取り込むのが一般的に。
そのあたりも、自動でCSVを取りにいき、会計ソフトに取り込む!ということができれば経理の手はまだまだ空くはず。
とはいえ、取り込んだのが正しいかは、さっきの飲食代の話のように、まだまだ人間の確認が必要。。。
例が小さな話だけど、専門性も経験もとても必要な部署がバックオフィスである。
ちなみにTwitterにも書いたけど、IT化やロボット化しやすいのは、業務フローが確立されているかであって、売上に貢献しているかではない。
実際に自動化しやすい部分が多いのも事実。
ただ、売上をあげないコストセンターは自動化できて、売上を上げるプロフィットセンターは自動化しずらいというのは先入観。
例えば営業でいえば、SEO、SNS、LP、ステップメールの組み合わせで自動化して莫大な収益をあげてるケースもある。
バックオフィス業務も付加価値を出そう!
一方で、バックオフィス業務が軽視される原因の1つに、バックオフィス業務で働いている人が付加価値をつけてないケースも多い。
例えば、経理であれば、毎月の収支、資金繰りなど、経営に直結する業務をまとめているわけなので、経営者が見たい資料の宝庫である。
また労務関係も労務トラブルを未然に防ぐなど、経営者の悩みを解決できる業務をやっている。
しかし、機械のように作業をし、付加価値を出すという頭がない人が多い。
そうなると、現実には難しくても、AIやIT、ロボットにやってもらっても同じと思われ軽視されるのも致し方ないところもある。
Aと書いてあるものを右に移し、Bと書いてあるものを左に移す、そんな仕事を重要視する人はいないので。
まとめ
個人的にはバックオフィス業務が軽視されている現状が好きではない。
とても重要な仕事だし、付加価値をいくらでもつけられる仕事である。
しかし、実際にバックオフィス業務の代行業をやってみて、
軽視されているから単価が安く、経営者の興味も引けず、限られた予算の中でやるから時間や人員を避けず、付加価値を出すまでに至れていない。
この現状を考えると、付加価値を出す前に、業務効率化をして、単価が変わらないなか、こちらの工数を下げていく必要があるのではないかとも思っている。
ただ、願わくは、
経営者に重要性に気づいてもらい、経営に生かしてもらいたいと思う。
私自身、5社の経営にかかわっていて、自分の専門分野以外の商品やサービスを取り扱っている会社があるが、曲がりなりにも成り立っているのは試算表を見ながら経営をしているからである。
今、試算表も見く社長の勘で経営でき、社長のカリスマで労務トラブルもない会社であれば、バックオフィス業務を付加価値のある業務にできれば、より一層成長できるはず。
そんな想いもあって、より一層バックオフィス業務を価値のある仕事にするために仕事をしていこうと思う。