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韓国はJホラーの活かし方を知っていた【映画「オクス駅お化け」】

日韓合作として制作された作品で気になっていたが、Jホラーの良さも久しぶり活かされたような良い映画だった。

ホラー演出の多いエンタメに寄った映画だとばかり思っていたが00年代のJホラーの雰囲気も思い出す硬派なドラマになってる。現代への味付け方も流石だった。

『オクス駅お化け』は、韓国の都市伝説を題材にしたホラー映画で、実際にあった事件に基づいて作られています。この映画の原作は、韓国の人気ウェブトゥーン(Webtoon)「オクス駅お化け」で、オクス駅(옥수역)というソウルの駅を舞台にした怪奇現象を描いています。原作のWebtoonは、読者に大きな恐怖感を与えた短編ホラーで、公開当時大きな話題を呼びました。

あらすじ・ストーリー

映画『オクス駅お化け』は、オクス駅で発生した怪奇現象を調査する男女が、次々に恐怖の体験に巻き込まれていく姿を描いています。深夜の駅で女性が謎の影に追われている様子をカメラに捉えたことがきっかけで、彼女を探すことになった主人公たちは次第に危険な目に遭うことに。映画では、駅に現れるお化けの正体や、駅に隠された過去の事件の真相が徐々に明かされていきます。

感想

ジャケットから想定していたオクス駅の女性はフリであり実は稼働しているホームの地下の廃駅に地縛霊がいたという二重構造な話。

最初は表で見える現象が起きるオクス駅の上の話から始まり、真実に近づくたびに地下の見えない存在や廃駅に迫っていくという地下鉄駅全体の不気味さを利用した硬い構成だった。

序盤はオクス駅の新興開発によって生き埋めにされた事件が稼働するホームでの不審な死の呪いとされていたが、実はオクス駅の前の地には児童養護施設があり児童の臓器売買で稼いでいた証拠を隠滅するために井戸の中に生き埋めにしたのが発端だったという。

この辺の背景もかなり陰湿な話だったが、その事件は戦後の日本に起きた事件をモデルにしたらしい。

児童の霊も呪っていたのではなく、唯一生き埋めの前に井戸から地上に呼ばれた少女に倣って死の危険から解放されることを望んで傷をつけていたという哀しい話。

数字で呼ばれたら井戸から引き揚げてもらえるかもしれないという望みが、子供の思考力の曖昧さで「引きずり落とすこと」に変わっていたという話も単なるホラーにしない妙。

脚本や演出も合作ではあるが本筋は日本人側に委ねてたような感じだったと思う。全体的な話の構図や仕掛けはリングとも似ている。

呪われた印が掴まれた跡ではなく見えやすい傷にすることで、不謹慎に誰でも真似できるようにミーム化していたのは現代ぽい作りだったろうか。公開されてた時は本当に傷を真似して投稿していた人もいたとか。

日本が劣る現代演出の見せ方で、見ている方も当事者にさせるのは韓国らしい作りだった。

後半からは明らかになった呪いを作為的に伝染させるヒトコワぽい展開に。最も悪役だった社長に移すことで韓国らしい下剋上のカタルシスに終わったが、紡いできた土着背景の見せ方が良かっただけにああいう着地になっていく辺りは残念だったかな。

企画から制作年数もそこそこかけられたらしく最近の邦画にはない質が感じられる良い合作映画だった。そもそも駅を設定にするホラーは日本ではクレームが来るので作りにくいらしく、本物のモデルの駅を使えることで硬いドラマにできたらしい。

実際にある駅の構造だからこそ見えない土着背景から想像させられることも増える。

ホラー演出が少なすぎるという批判もあるがむしろ多すぎるがために安っぽくなるのかと思わされる作品だった。邦画は期待できなくなってるのでこういう合作は増えてほしい。




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