ミニマムな2分間ループで可愛いタイムトラベルものに【映画「リバー、流れないでよ」】
ストーリー
山口純太監督、上田誠脚本による映画「リバー、流れないでよ」は、京都の貴船町にある旅館を舞台にしたタイムループコメディです。物語は、13:56に始まり13:58にリセットされる奇妙な2分間のタイムループを中心に展開します。旅館のスタッフと宿泊客はこのループに閉じ込められ、同じ2分間を繰り返し経験しながら、なぜそれが起こるのかという謎を徐々に解こうとします。
人物と展開の関係性
主人公のミコト(藤谷リコ)は、同僚や旅館の客とともに、断片的な時間ではあるものの、それぞれの仕事をこなそうとする。ループが続くにつれ、登場人物たちはそれぞれの目標に向かって努力する。ある者はユーモアのため、ある者は自己反省のため、またある者はミコトのボーイフレンドのように人生を変える決断を熟考する。この映画は、気楽な瞬間とより深い感情的な裏話とのバランスをとっている。
なぜ 2 分間のタイム ループなのか?
この短いループ (わずか 2 分) を選択したことで、登場人物が状況に適応しようと奮闘する中でコメディ的な緊張感と混乱が加わり、限られた時間というプレッシャーの中で彼らがどう反応するかがより鮮明になりました。
他のタイム ループ映画と異なるのは、その短さです。登場人物は、この短い時間枠内で、即座に考え、間違いを犯し、個人的な葛藤を乗り越えようとします。このループは、通常とは異なる制約の下での登場人物の力関係や関係性を探求するレンズを提供します。
またこの短いループにより、小さな行動が大きな意味を持つ説得力のある物語が生まれ、観客は毎回の小さな変化がキャラクターの性格のさまざまな側面を明らかにする様子を楽しみます。
瞬間を繰り返すというアイデアにより、キャラクターが繰り返し目標を達成しようとするが、状況が滑稽なほど制約され予測できないというコメディー設定が可能になります。
感想
2分間の繰り返しという短さかつ貴船という小さいけど神秘性の宿る場所で織りなされる設定もよかった。あそこ貴船鞍馬の範囲には水神様から天狗の伝説まで見えない力や神が宿っている。
中盤から主人公の縁結びの願いによってループしているように見せる展開や客人の逃避的な願いなどもコメディの範囲で重くならず、終始ミニマムで可愛い作品になっていたのは新鮮だった。終盤に向けてもベタな仕掛けで畳まれる分突っ込みどころはあるが、貴船や作品世界観がそれを許せるような気持にさせる。
京都舞台だから京都弁セリフにしなかった演出も地味に良かったと思える。ループのタイミングもきっかり2分ワンカットで撮っていたらしいが、説明も多い分そこに方言も乗っかられるていたら見てる方はもう少しカロリーも重く感じてたと思う。それでも中盤飽きが来てしまったが変に京都色まで入れられなかった分、最後まで軽やかに駆け抜けて観れたのは良かった。