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残念な形で打ち切られたが、現代の闇から答え合わせにはなる【映画「闇金ドッグス」シリーズ1~3】

今月に入りAmazonプライムに密かにシリーズが追加されてきたので見たがよかった。現時点で3までの視聴の感想になる。

書いている今の2週間後にはパート4~6の追加予定で、おそらく年内かけて最後までシリーズで入れてくれるみたいなので紹介しておく。自分は1作目しか見ていなかったから助かる。

ストーリー

2015年に公開されたこのシリーズは、日本の悪徳金融業界に巻き込まれた人々が直面する結末を強烈に描写し、すぐに注目を集めました。三部作の各作品は、手に汗握るアクション満載の物語を披露するだけでなく、個人を高利貸しに向かわせる厳しい経済現実に対する社会評論も提供しています。茂がこの冷酷な環境を切り抜けていくにつれて、映画は経済的絶望で繁栄するシステムにおける被害者意識と共犯者意識の間の危ういバランスを浮き彫りにします。

評判

闇金ドッグスシリーズは、日本の都市部の経済苦境を背景に、道徳の退廃を容赦なく描いた作品です。このシリーズは、金、強欲、権力に支配された世界での生存と破滅の狭間を描き、観客の共感を呼びました。


闇金ドッグス (2015) 推し活と芸能搾取

あらすじ
若くしてヤクザの親分になったものの、手下の不手際によって足を洗うことになった安藤。そして彼は、闇金業者からノウハウを学び、自らも闇金業者に転身する。しかし彼は、借金の回収に苦戦し、トラブルに巻き込まれていく。

一作目は推し活消費とアイドル側の芸能事務所による搾取についてそれぞれの苦境について並行して描かれる。

話の設定的には流石に古さも感じるが平成のオタク文化から一般化した今の推し活の背景に、沼にハマる人ほどどれだけストレスを消費に昇華させているかは答え合わせとして小さな世界で見えてくるだろう。

今では課金やサブスクもその類に入ってくるが、手軽さがすぎてSNSなどの見えない繋がりのままカジュアルに沼に入る人は増えてるしこのドラマもあまり笑えない話。劇中の彼は同じアイドルオタクのヒエラルキーを意識したことがあだになった。

どんなに推し活で消費しても当人とファンの上下関係は変わることもなければ、ファンとの横の関係性も生まれにくい苦しさがこの小さい設定の中でも見える。

事務所に経済搾取だけされていたアイドルは自ら闇営業を企画し際どい撮影オフ会開くことでファンから稼いでいたが、事務所に結局バレて解雇処分に。法外な違約金請求により一文無しにされた彼女の話は3にも持ち越される。


闇金ドッグス2 (2016) 結婚詐欺

あらすじ
元やくざと元ホストが営む闇金の優良顧客が、追加融資を申し込む。2人は一括で返済することを条件に申し込みを承諾するが、男は資金繰りに失敗して失踪してしまう。やがて彼らは、男が入れ揚げていたスナックのママを訪れるが、彼女はとんでもない曲者だった。

ここからは元ホストの男が安藤の部下につき、女性側の債務者の話も増えるかっこうに。シリーズ通しても良いキャラクターだったが彼役が不祥事を起こして打ち切りも決まったらしいのは残念だった。

2ではスナックのママと常連サラリーマンで描かれる結婚詐欺と保険金殺人の話になる。

ママは母子家庭の経済状況や娘の将来の不安をちらつかせ、惚れている常連に結婚をしてあげなければ生きられないぐらいまで弱く見せる。

婚約の誘いも了承したうえで、売掛の高い保険に同じ名義で契約させあとは男の信用経済の限界が見えるまでむしり取るだけむしり取る。最後は寝ている間に薬物を過剰摂取させ殺害の証拠も偽装する。

ドラマ上都合がよすぎるという批判もあったが最後のオチを除いて流れ的にはこういうものなんだろう。渦中の某○○ファン事件と照らし合わせてもやり口に遜色ない。

最近はここから進化したSNS型のロマンス詐欺が主流だが繋がった後に聞く手口は似ている。ここに今は投資の誘導も入ってきたりするから、実際に会わなくてもいい故の複雑さが加わった。

ドラマで騙されていた男はママの仕掛けによって共通敵や不都合を特別な形で共有させられたことで、より独占欲も上手くちらつかされた。

後半は騙された男とファイナンス側の利害の一致でママの娘を狙って結婚詐欺でやり返し勧善懲悪の流れで終わっていく。


闇金ドッグス3 芸能事務所とヤ〇ザ

あらすじ
闇金会社で働く元ホストは、女性専用の金融システムを作る。そんな彼の顧客には、夢を諦めきれない元アイドルや、芸能プロダクションに所属する娘の成功に執念を燃やすステージママなどがいた。そして彼は、男の武器を駆使して順調に実績を上げていく。

1から地下アイドルを搾取していた芸能事務所はそのまま大きくなり、ターゲットは子役の母親に変わっていく。

子供の仕事が大きくなればなるほど母親に責任の大きさを過大に認識させて給与をレッスン料などに回させて依存させていく。

ここでも違約金はやりすぎだったが、気づいたときには契約書で細かく八方ふさがりにしてるのは抜かりがなかった。悪徳社長のキャラ付けも上手い。

後半からは事務所の社員が闇金を借りていたことでヤ〇ザに因縁をつけられ商談で絡まれていく。売れないタレントを裏ビデオの世界に売って斡旋していく繋がりを作るのが彼らの目的だった。

芸能事務所の話に並行して1で騙されていたアイドルとファイナンスの元ホストが出会い悪徳社長とは対照的に投資という形で彼はプロデュースしていく。こっちの話は正直面白くなかった。

結局彼らの活動は芸能事務所にバレたことで再び因縁がつき、債務者だった子役の母親繋がりでお決まりの金融屋総出で勧善懲悪の流れに。

金をちょろまかし続けたことをファイナンスに掴まれた芸能事務所は、止めに元ホストの繋がりにより稼ぎ頭だった子役を移籍させることでヤ〇ザに斡旋され骨抜きにされて終わる。

シリーズを通して安藤からは誰も逃げられない意味ではダークヒーローもの感も強い。

移籍先の事務所もヤ〇ザがバックにいる大手事務所で黙らせる。名前が「太陽芸能」だったのも、それ系で有名な某事務所を彷彿とさせる名前で洒落が強かった。

ここ数年で表やニュースに出てきた平成から続く闇の構造を小さな設定で答え合わせとして見る分にはそこそこ面白く見れるシリーズだと思う。

ウシジマくんと比べると劣るが今では進化した現代の闇の基本を押さえる教科書としては十分だろう。

当時ではリアルタイムな生々しさがあってここにきて評価する人が増えているのは分かる。ウシジマくんよりは話も設定もライトなので見やすさはある。

この後のシリーズは全く初見なためどこまで質が続くのかはよく分からないが、最近の変な邦画を見るよりは短時間で軽く見れて味もあると思う。

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