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「Eエンドのその後」を踏まえて振り返る救いの結末【アニメ「NieR:Automata Ver1.1a」第2クール】
アニメ版ニーアオートマタの2期までの放送が終わった。
1期から原作を補完するようなオリジナル展開の多いアニメ版になっていたが、2期もその流れは序盤から続いていた。
正直ゲームの原作を知っている者でも時系列があちこちに散らばるから途中難解なシーズンだったとも思う。
1期の終了後には補完展開から踏まえてアニメでは最終的に「Eエンドのその後」までをオリジナルとして描くのではと考察したが、2期終了後を踏まえて振り返りたい。(おかげさまでよく読まれました。)
あらすじ
「第243次降下作戦」が決行され、新たに<ヨルハ>部隊の<2B>と<9S>が地球へと派遣される。両名は機械生命体の基幹ユニット<アダム>及び<イヴ>の撃破に成功。これを敵の殲滅、及び永きに亘る戦争終結への好機と捉えた<人類軍>は、機械生命体に対し総攻撃をかける決断を下す。
1期ではBエンドによるアダムとイブの話までが描かれたがこちらも原作とは生き残る存在が逆になり、ゲームにはないアダム視点による話で補完が行われた。
彼らは神話から付随する「原罪を背負う象徴」の話だったわけだが、終盤の9sの祖先「9号」の登場により、
2期では2bと9sが同じ原罪を背負う話を対比的に描かれていく展開に繋がっていった。
序盤から9sは2bが処刑型モデルのアンドロイドだと判明し始末される。
そもそもは祖先から続く9号モデルは好奇心が旺盛なため知ってはいけない秘密にまでアクセスしてしまうため、2号はその記憶を消すために作られたのが彼らの原罪関係の始まりだった。
9sはヨルハ計画の秘密にアクセスしてしまい2bに記憶を消されるというのが原作ではあるがアニメではこの辺の殺される背景は結構雑で、初見では難しかったと思う。
ヨルハ計画の秘密は月面人類会議の存在は偽装で人類は既に滅亡しており、地球奪還の戦いは実は誰のためでもない無駄なものだったという設定もあるのだが流石にこの辺も明かされなかった。
そこから時系列が飛んでエイリアンの襲撃によるアンドロイドとの戦いの展開になる。それは人類会議側の偽装であり各アンドロイドがブラックボックスに触れてしまったことでウィルス汚染される。
バンカーは破壊されるが、9sと2bだけは生き残った。
9sはその偽装工作の違和感に気づいて汚染されることもなかったが、2bは汚染されてしまいそのまま亡くなってしまった。
2bからは2号であるa2に支援が委譲されていたのだが、9sはそこは見ておらずアンドロイドを破壊する旅とそれを追いかけるa2の話で交差していく。
ゲーム上ではそこからCエンドとDエンドの話に向かって平行していくのだが、今クールでは真珠湾降下作戦から始まるa2の過去からレジスタンスの話の補完も多かった。
終わってみれば本題にはあまり繋がらない話で無駄だったという人もいたが、
ゲシュタルト計画から散らばった人間の魂からその後どういう社会が継承されていったのかという話を見る視点では大切なエピソードだったと思う。
A2から担う過去のアンドロイドや生き残ったレジスタンスの関係性、独自に村を作ったパスカルの話、そして終盤に繋がるポットの自我の芽生えは彼らが築く新たな社会性の願いの話に繋がっている。この辺はアニメ版の良さだった。
復讐に憑かれた9sはエイリアンを破壊しながら拠点の白い塔まで行きつき2bの虚像などと戦って回っていく。
最終的に彼と後を追ったA2は相打ちにして亡くなるがA2視点に重きを置いた戦いにしたのは良かった。
最後は彼らの悲劇を目の当たりにしたポッドにも思考が芽生え、地球上のアンドロイド機能を破壊するプログラムを拒否するEエンドに向かうが「その先」も期待通り描かれた。
ゲームのような方舟の迎えはなく9sと2bは再び記憶を呼び覚まし目覚める。細かい裏設定では9sが目覚め2bを生き返らせる話らしいがその辺も垣間見えた。
エイリアンもヨルハ計画も何もなくなった世界で9sと2bは祖先から続く原罪の輪廻を乗り越えることを受け入れ終わっていく。真実を見せないための目隠しがここでようやく彼女に外れて終わる演出も綺麗だった。
ちなみに最後のa2の前に現れた女性はアコールという死の記憶を集める武器商人らしい。
この辺はレプリカントをちゃんとやっている人でもつかみにくい複雑な存在らしいのでここで私が書くのは割愛する。
9sと2bの気になるその後やちりばめられた補完シーンについても、詳しくは設定集や朗読劇で見てくれということだろう。
最後までファン寄りの作品ではあったが、原作の補完的な役割としては期待通りの終わりで良かったと思う。