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【感想】アムロがククルスドアンの島に行くのは運命だったか 【映画「機動戦士ガンダム ククルスドアンの島」】

映画「機動戦士ガンダム ククルスドアンの島」を観に行きました。

あらすじ
ジャブローでの防衛戦を耐えきった地球連邦軍は勢いのままにジオン地球進攻軍本拠地のオデッサを攻略すべく大反攻作戦に打って出た。アムロ達の乗るホワイトベースは作戦前の最後の補給を受ける為にベルファストへ向け航行。そんな中ホワイトベースにある任務が言い渡される。無人島、通称「帰らずの島」の残敵掃討任務。残置諜者の捜索に乗り出すアムロ達であったが、そこで見たのは、いるはずのない子供たちと一機のザクであった。戦闘の中でガンダムを失ったアムロは、ククルス・ドアンと名乗る男と出会う。島の秘密を暴き、アムロは再びガンダムを見つけて無事脱出できるのか…?



映画版ではストーリーは大筋変わって無いですが、まずドアンと一緒にいる孤児となった子供たちの数がめちゃくちゃ増えていました。小さい子たちからアムロと同い年の少年まで10数人ほど。
アムロはドアンの島のいる調査中仲間たちの通信を切り、一人で調査を続ける中ドアンの乗るザクと対峙して敗れ、同じ時間帯に島のスコールによって退散した仲間やホワイトベースとはいったん離れることになります。
ドアンは倒れたアムロを助け子供たちのいる家まで連れていくところから始まります。

アムロがドアンの島に出会うのは運命であったか

一人の兵士であるアムロは戦争で親を殺された子供たちから恨まれる対象になり最初は当然受け入れてもらえないですが、時間を共にするようになってから徐々に受け入れられるようになっていきます。
そもそもアムロも戦争に参加することによって心の拠り所であった母親からは拒絶され、尊敬していた父親もガンダムの製作に携わってから見る影のない人となってしまい、ある意味親を失った被害者でもありました。
そしてこの時は戦争に対する己の在り方にも揺らいでいた。ブライトにぶたれたのも丁度この前でした。
そういう意味ではドアンや子供たちとの生活に触れて自ずと馴染んでいったのも頷けます。
劇中でもその辺の時系列やアムロの心境を回想として序盤に出していたのも分かりやすかった。

また劇中ではドアンと子供たちとの生活がよく描かれていました。
無人島でひっそりこもりながら、畑で野菜を作り、ヤギを飼育して牛乳をしぼり、井戸の水を繋げて水を汲み、自足自給の生活をしている姿は、戦争中の俗世間に嫌気が差し自分の正義や幸福を優先したドアンの姿をよく表されていた。
アムロもその生活を共にし生きる活力を徐々に取り戻し始めるところは今の人々の動きにも通じる描写で非常に良いシーンでした。

結局最後はホワイトベースによるアムロの救出と島に眠るジオン軍の武器が眠っていたため、ドアンは戦いに再度巻き込まれセリフの通り「過去からは逃れられない」複雑さも抱えている。最後はアニメの名シーンの通り「あなたに戦いの臭いがあるから巻き込まれるのだ」とアムロはドアンのザクを海に投げ捨てることにより物語は終わる。
それ以前にもドアンは島にジオン軍の武器が眠っていることを知っており、いざジオンに使用されることがあっても不発で終わるよう昼夜作業をしていた。
過去を割り切りたくても中々割り切れない人間の複雑な部分、そしてそんなドアンを見て最後はガンダムも全て捨てて終わるアムロはここが一つきっかけだったのかもしれないとも思わせる拡充スト―リーだった。


また複雑さで言えば子供たちの中にいたアムロの同い年のマルコスの存在を新しく登場していたが、彼の存在もよかった。
マルコスはアムロの姿を見て自分がガンダムを操縦し皆を守りたいとドアンに懇願する。ガンダムでは感情で動いて裏切られたり死んでいく人物はたくさん出てくる。
ドアンは力のあることが強さとは限らないとマルコスを突き放すが、そういった一時の感情だと見抜いていたのだろう。現にドアンがかつて所属していたジオン軍のチームも登場するが、ドアンが統率して初めて成り立っていたチームだったと見て取れるほどの人物達であった。
アムロも言わばそういう存在で、戦争かでの多感な時期の少年は複雑な感情を持ってしまう存在であるのもマルコスの存在によってまた理解できる。
物語の後半はアムロとマルコスが一番子供たちの中では共鳴していた。
続編はマルコスの今後も描かれるかもしれないと勝手に思っていたが私が閃光のハサウェイとごっちゃになって勝手に3部作であると勘違いしておりこれで終わりだった。これで終わりなら大人視聴者としては正直気になるドアンの過去ももう少し詳しく描いてほしかったが。

原作ファンの人だとまた感じ方は違うだろうが、ストーリーの拡充や登場人物を見ても全体的にはいいリメイク映画だった。予習が無くても時系列も思い出しやすい編集でとても見やすくなっている。アニメでのこの回は最も作画崩壊していた回だったと言われていたそうだが、違和感も感じることなくアニメを一周した自分も現代版のザクを見て初めてカッコいいと思った。アニメのサントラも劇場で聞けたので非常に満足でした。


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