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最初で最後になったAmazonオリジナル邦アニメ【無限の住人-immortal 】

過去、別のアニメ作では打ち切りになって終わったが、再びAmazonオリジナルにてリメイク。

全24話ながら完結までなんとかまとめてはいたが、それだけしか評価されない惜しい作品になって終わった。

あらすじ
武士というものがまだ存在していた江戸の世──。百人斬りと呼ばれた【不死身】の男がいた。その男の名は「万次」。万次は、父母を殺され復讐を誓う少女「凜」と出会う。凜は万次に、復讐の旅の用心棒になってくれないかと言う。初めは断る万次だが、凜に亡くした妹の面影を見た。

原作ファンからは酷評気味だがアニメ全体としてはそこまで酷くはなかった。

序盤の幕末編から所々繋がりが曖昧ではあるものの原作から全体的にトーンを落とした雰囲気にしたことで、凜は大人びたキャラ設定になっておりコメディ要素や万次に甘えるシーンなどは一切排除されている。

線の細い作画にも合うシリアスで落ち着いた作風もよくあっていて大人としては見やすいアニメになってた。

原作ではダラけて離脱した不死解明編もかなり整理されていたのも個人的にはよかった。

エピソードの質の差はあれど中盤ぐらいまでのまとめとしてはそれなりに仕上がっていた思う。

ただ一方かなり説明不足が続き原作を読まないと繋がり事態はよく分からなくなってくる部分も多かった。

12話から加賀編に入るが心形唐流の話から駆け足すぎて味気ない。

凜がなぜ旅路に出ているのかも唐突でよく分からなくなるが、天津景久と出会ってから彼の思想もあまり描かれないまま1話のみで旅路が終わる。

彼がある種作品の思想を担っていただけにこの辺から作品の全体の話としては薄くなってくる。

天津と門下生との対立軸もよく見えず勘違いと逆恨みだけで襲撃しに来ているだけの話だった。

不死解明編後からはいきなり逸刀流は江戸から追い出されることを命じられ、六鬼団が登場してからはキャラクター背景も特にないまま組織されてから最後の戦いに入るまで早かった。

尸良の登場ももう少し演出されてよかったがあっけなく1話で退場し盛り上がりにかける。

勢力背景の説明もナレーションだけで済まされるためにキャラの思入れは愚か、どこまで彼らが追い込まれ不条理な状況にいるのかがいまいち見えず謎のまま通り過ぎていくだけだった。

最終話はおそらくなんとか切り詰めるためにセリフを省いた無音演出にした工夫は正しかった。

凜が大人演出された意味も最後にきちんと回収していくのもうまかったと思う。

万次は最後百姓として隠れながら生きているが警護の依頼を凜の娘にされ再び旅立って終わっていく。ここもいつの間にか数十年後になっていて最後まで駆け足に驚かせるアニメになった。

駆け足になったのは24話完結をおそらく設定したAmazon側の要求が全てなのだろう。

期日も厳しかったのか戦闘シーンの作画も黒画面カットが違和感に思うほど多く、構成や制作サイドの限界も垣間見える。

地上波作ではカットされた生々しいシーンもネット配信の強みを活かした忠実な表現にはなっていたのは良かったが、アクションが少ない分結局ドラマだけがメインの渋すぎるアニメになってしまったのも否めない。

中盤からは理解しにくいエピソードが続き離脱者が多かったのもうなずける。

これ以降Amazonオリジナルでの邦アニメがエピソード形式で制作されたのは4年経ってもこれが最初で最後のままになった。

アニメ業界自体も今だに海外配信されても安く買い叩かれると聞くが、オリジナル作品がそもそも奮ってなかったこの時期のAmazonもじっくり完結を見据えたオファーにならなかったのがこの結果なのかもしれない。

そもそもアニメの表現の幅や市場自体まだ国内でも大きく外資配給による独占配信で作るメリットを映画やドラマほど感じないが、それは制作会社もおそらく同じでアメコミアニメがシーズン形式で増えているAmazon側ももう配給する気はないのかもしれない。

ネトフリぐらいの予算と徹底した会員数の独占を図る規模じゃないとむしろ制作も受けてくれないのだろう。

おじさんになった自分としては最近のアニメはカロリーが高くこういう大人テイストの作品が増えてほしいのはあるが、その要望自体も今は特別な価値になってきている致し方なさも感じる。


過去のアニメは打ち切られ映画化も微妙で、メディア化には中々恵まれない作品ではあるが忠実な作風表現で原作に手が伸びる人が増えた意味では成功だったともいえる。

終盤の畳み方が盛り上げられればもう少し評価されただろうが大人の事情の苦悩がにじみでる惜しい作品になった。






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