実写版は爽やかすぎて音楽しか聴いてられない【映画「バジーノイズ」】
映画『バジーノイズ』は、睦月潤の漫画を実写化した作品で、孤独なマンションの管理人であり作曲家でもある清澄と、彼の音楽に共感を覚える隣人の潮に焦点を当てている。傷心の潮が清澄の部屋に飛び込んだことで、二人の道は衝突し、お互いの過去と向き合い、より親密になっていく。JO1の河西拓実と桜田ひよりが主演を務め、河西の抑制された内向的な演技と、桜田の活発でありながらも問題を抱えたキャラクターの描写が、このドラマに深みを与えている。
原作は一巻だけ読んでいて知っていたが、続きを追う形で実写版見ると若気に至る生々しい要素は排除されて爽やかすぎる映像だった。
申し訳ないが話も単調で全部通しては観ていられなかった。
あらすじ・ストーリー概要
「バジーノイズ」は、都市の喧騒と人間関係の微妙な緊張感がテーマの映画です。物語は、都会で生活する若者たちの視点から、彼らが置かれている環境と内面に迫りつつ進みます。主人公は音楽とともに生きる青年で、日常のノイズや他人の影響を受けつつも、自分らしさを追い求めています。彼の生活の中に登場する仲間たちや恋人、そして敵対する者たちとの関わりが次第に緊迫感を増し、ドラマは予測不可能な展開を見せていきます。
映画の見どころ
サウンドデザインと音楽:タイトルにも反映されているように、「バジーノイズ」では大きな役割を果たします。 都市生活に溶け込む雑踏や静寂、音楽シーンに込められたメッセージは物語と調和し、観客に独特の臨場感を与えます。
人間のドラマの代わり:登場人物それぞれ異なるバックグラウンドを持ち、どこか不安定で悩みを抱えながらも、自分の居場所を求めています。を築く姿が丁寧に描かれており、感情の機微が繊細に表現されています。
ビジュアルエフェクトと映像美:モノクロや淡い色彩の映像を使い、シーンごとに異なる感情や心理状態を反映。 都会の風景が音楽と重なり、視覚と聴覚が融合した独特の世界観が生まれています。
感想
清澄の主人公像はZ世代が抱えていそうな極地的な現代オタクの男の子な感じがする。彼は外のノイズは全て排除し、ネットやリアルで自分を評価されることも一様に拒む。
上の部屋からその音楽を密かに好んでいた潮はフライパンで清澄の厚い窓ガラスを割ったことで外の世界に引っ張られていく。
自分の世界だけに籠りたい清澄から見れば、近くで窓ガラスを割ってくれるような異性がいてくれればいいなも現代のネット社会に疲弊する若者だからほしい存在に見える。恋愛物語としても無かった理想なのかもしれない。
原作はモノローグな単調な線から淡々と進んでいて読んでいられたが、実写化にすると映像の色使いがきれいすぎて途中から直視できなくなった。
話も潮が地雷系だったから成立している大胆さもあったのだが、実写はその辺りの地雷感は排除されていてキャラクターとしても物語の展開や抑揚としても物足りない。
原作の黒いところはカットして最大限爽やかにした形にしたというのが見える。どちらかというとバンドマンとその推し担という関係性の方に立っていた。Z世代の等身寄りの恋愛ものとして見てみたがその辺は原作で見る方がいいのだろう。
レビューを見ると役者目的でも見ていた新規の人は絶賛で原作ファンは不満という感じだから、実写化としてはある種成功といえる。これはこれで干渉しすぎない二人のクールな付き合い方も若い子から見れば普通なのかもしれない。
作品のおしゃれな雰囲気は崩さずに活かしきるリスペクトは見えたが、原作に見えない音楽の正解を聞くぐらいしかできなかった。
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