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#13 短編空想怪談「サバイバルゲーム」

サバイバルゲームというのは一定の場所に集まり、10人~15人程で、1チームずつに別れ、
自分たちで持ち寄った銃や、もしくはサバイバルゲームを運営しているお店から銃をレンタルして、撃ち合うゲームだ。
装備が整ったら銃を撃っても良いエリア、ゲームフィールドへ。
ゲームのフィールドも様々で、外であったり室内だったり。
撃たれれば、「ヒット!」と叫び、フィールドから退場する。
これが主なサバイバルゲームのルール。

セクハラをしてくる上司や、LINEを教えてほしいとしつこく迫る同僚などで、イライラが貯まると私はよく遊びに来る。
とにかくストレスを解消するにはサバイバルゲームはピッタリだった。
一人でお店に赴き、薄い人間関係で、その日限りのチームワークで、怒られる事も無く、しつこく話しかけられる事もなく、
敵を倒せば知らない人から褒められる。それだけでサバイバルゲームは楽しい。

その日はいつも行っているゲームフィールドとは違う場所で、イベント戦がやっていたので、私は休日を利用してサバイバルゲームのイベントへ顔を出していた。
私は銃を持っていないので、お店から銃をレンタルしてフィールドへ。

ゲームを数回終わらせ、何ゲームか遊んだ後、ゲーム序盤で撃たれてすぐ退場した回があった。
大抵のフィールドには観戦出来るようにゲームフィールドの外にモニターがあり、そのモニターで中の様子が分かる。
そのゲームフィールドは広く6〜8個の監視カメラがフィールド内を写していて、早々に退場した私はそのモニターを見ていた。
お互いのチーム、フィールドの構造に慣れ、あちこちで激戦が繰り広げられている。

すると、一人のプレイヤーが目に止まった。
待ち伏せをしている人影だ。
「あー、この人には気をつけなきなきゃ」と思っていたら、その後ろから味方が近づいた。
「撃て!」と思うが撃たない。
それどころか素通りしている。
「あれ?この待ち伏せしてる人味方かな」と思うが敵チームの人も素通りしている。
監視カメラは画質が悪いので、何かが人に見えてるだけかと気にするのをやめて、次のゲームでそこに何があるのか確認してみる。

しかし、そこには人影になりそうな物は無い。
おかしいと思ってゲームを再開。
ゲーム中盤で撃たれフィールドの外へ、もう一度確認すると、別の場所へ移動している。
流石に誰だこれ?と驚いた。
さっきの角で待ち伏せをしている人影と全く同じなのだ、そしてやはり他のプレイヤーは素通りしていく。

気になって、その場に居合わせた人に聞くと、
「そこに影なんかないよ?」と言われた。
いや、確かに影は居る。
よく見ると、銃を構えるでもなく、座って待ち伏せをするでもなく、ただ立っている。


その後もその人影とのイタチごっこは続いた。カメラで確認するも、実際の場所に行くとそこには誰も居ない。
またカメラで確認すると場所が変わっている。
怖くなりその人影は無視する事にし、最後のゲームを行なった。
激しい激戦の末、私はゲーム終盤で退場。
最後の戦いを見るためモニターに目をやると、あの人影が増えている。
どのカメラにもあの人影がいる。

そうして、ゆっくり何かを見定めた様に同じ場所へその人影が移動し始め最終的に一人のプレイヤーに付きまとうようになった。
その本人は気付くような素振りを見せず、ゲームをしている。
なんだこれ!?と思っていたら、すぐにゲームは終了。

そのプレイヤーが戻ってくるとやはり、その人影は居なかった。

結局あの人影は何だったのか、分からないままイベントも終了し、その日は帰る事にした。

後日、そのサバイバルゲームのお店がイベント名前をTwitterのハッシュタグでツイートをしていたので、そのタグで私もツイートをした。
ついでにあの影も気になり私以外に同じモノを見た人が居ないか見たが、それらしい人は居なかった。
だが、最後のゲームであの人影に付きまとわれたプレイヤーの楽しげなツイートが有ったのでその人のホームへ行くと、最新のツイートが、

というツイートがあった。
命日の日付はあのイベントの日だった。
つまりイベントが終わったあと、そのイベントのツイートをしたその日の内に亡くなった。
しかも自らその命を捨てる形で。

「この人を殺したのはあの人影だ…」
そう確信せざるを得なかった。






その数ヶ月後、件のサバイバルゲームのお店は潰れてしまった。
あの人影との関係は不明のまま。

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