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焼きラーメンはクリエイティブディレクションである。

こんにちは。

都内のSNS系の広告代理店でプランナーをしているオカモトカズマと申します。

さっそくですが、貴方は「焼きラーメン」をご存知ですか?

知らない方の為にご説明すると、福岡県福岡市の屋台が発祥とされている麺料理でラーメンの麺にスープやソースを加えて炒めた料理の総称です。

焼きそばとラーメンの中間のような食べ物で生麺の食感とソースの味わいが絶妙にマッチしており、僕はとても好きです。

※最近はコンビニ商品としても見かけることもあります。

先日、こんなツイートを気まぐれにしたのですが、

そもそも焼きラーメンってどうやって生まれたんだろう?とふと疑問に思い少し調べてみると

「暑い時期にラーメンのスープを飲めないお客さんの為に考案された料理」だそうです。

そのことを知ってから、「焼きラーメン」って「クリエイティブディレクション」の産物なのでは?という思いが強くなり、このnoteを書いてみました。

ちょうど最近、書籍を読んだり、講座に通って「クリエイティブディレクション」について勉強していたところなので、自分なりのアウトプットとしてまとめてみた次第です。

※勉強中な為、理解が至らぬ点もあるかもしれませんがその点ご容赦いただければと思います。

クリエイティブディレクションとは?

そもそも「クリエイティブディレクション」とは何なのでしょうか?

元々は広告の世界で使用される言葉で、広告制作に関わるコピーライターやデザイナー、プランナーなど全ての人の指揮をすること、つまり制作物の方向性を指し示し、ビジョンを明確にしたりすることでクライアントの課題を解決することとされています。

そして、「クリエイティブディレクション」を行う人のことを「クリエイティブディレクター」と言います。

※「クリエイティブディレクション」ならびに「クリエイティブディレクター」については下記の記事などを参照いただけると幸いです。

しかし、現在「クリエイティブディレクション」と「クリエイティブディレクター」は広告の領域だけにとどまらず、ビジネス・政治・アートなど、より幅広い領域においての必要性が求められ、その価値はどんどん高まっています。

電通のエクゼィティブ・クリエイティブ・ディレクター 古川裕也氏は自身の著書「すべての仕事はクリエイティブディレクションである。」において「クリエイティブディレクションとは課題を解決するためのアイデアを考えカタチにする技術」と述べられています。

クリエイティブディレクションの価値

クリエティブディレクションの価値とは「意味を生み出して、価値を想像することで」です。

「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」の著書・山口周氏は「千利休は世界で初めてのクリエティブディレクターである」という意見を述べられています。

それは利休が茶器や道具を作ることではなく、様式や世界観を定義することで「侘び茶」というものを完成させたからです。道具は職人に指示して作らせ、利休は「侘び茶」とはこういうものである と設定し、全体を指示しながら「侘び茶」を完成させたのです。

つまり利休はコンセプトを定めることで「侘び茶」という新しい価値を生み出した、という点においてクリエティブディレクターといえるのです。

焼きラーメンはなぜクリエイティブディレクションであるか?

僕がなぜ「焼きラーメン」をクリエイティブディレクションの産物であるか、思ったのかという点に話を戻します。

それは、「焼きラーメン」が新たな「価値」を生み出し「課題」を解決していると思ったからです。

順に説明していきます。

「クリエティブディレクション」の過程おいては

「課題」「ミッション」「コアアイデア」「ゴールイメージ」が必要となります。

※この部分は人によってはもっと細かく細分化されていたり、名称も異なる場合がありますが、今回はわかりやすくする為に簡略化しています。

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「課題」とはその名の通り、解決すべき事柄です。それは裏を返せば、課題を解決した時に何を成し遂げたいのか(欲望)、ということです。

「ミッション」とは対象となる企業や商品の存在意義であり、本質的な価値はなんなのか考えることにより、課題にどう応えるかということを設定することです。

「コアアイデア」とはブランドの価値を定義するもの、簡単に言えば価値を伝えやすくするために何をするか、というアイデアです。

「ゴールイメージ」とは最終的なアウトプットのイメージです。それは、製品やモノなどの形あるもののことを指すだけでなく、それを体験したり接触した人(生活者)がどのような気持ちになるか、どのような価値を感じて貰えるかを想像して定義する、ということです。

※その他にもアウトプットの品質を高める「アウトプットのクオリティ管理」という項目もあります。今回はわかりやすくする為に省いています。

実際の事例を見ていきましょう。

この動画はP&Gのブランディングと認知を目的として、2018年の冬季オリンピックの際に制作されたCMです。

「オリンピック出場選手とその家族の強いつながりを感じることで、改めて自分の家族やお母さんの大切さに気付いてほしい」という願いを込め作られたこの動画は大きな反響を呼びました。(ちなみに、この動画のクリエイティブディレクターを担当されたのは、先述の古川裕也さんです。

この動画の「課題」「ミッション」「コアアイデア」「ゴールイメージ」は以下となります。

企画書フォーマット

オリンピック選手の活躍の裏にはお母さんのサポートがあることを描きつつ、ママの公式スポンサーとしてのP&Gのブランディングになっているのが素晴らしいですね。


この方式に当てはめて、「焼きラーメン」について考えてみましょう。

※以下の内容はあくまで僕個人の考えと一部 想像によるものなので、その点ご承知ください。

「課題」とは先述の通り、「暑い夏場にラーメンのスープが飲めなくて、ラーメンを食べられない人がいる」ということでしょう。

これは裏返せば、「夏場に暑いスープが飲めない人にもラーメンを食べて欲しい」という願いや想いがあるということです。

「ミッション」とはラーメンは「麺」「スープ」「具」で構成されている料理。ひいては、上記の構成要素により美味しさを与える、という点ではないでしょうか。

「コアアイデア」はラーメンの構成要素のそれぞれを具材として考える。つまり、それらの具材を使用して新しい料理を作る

「ゴールイメージ」はラーメンの構成要素を使った新しい料理と味の体験を与える。

ということではないかと思いました。

まとめると以下の内容になります。

企画書フォーマット

「ラーメンのスープが暑くて、ラーメンが食べられない」という「課題」に対して、ラーメンは「麺とスープと具で構成される料理である」という意味を見出し、「スープを使ってラーメンを焼きそばのように焼く料理・焼きラーメン」というまったく新しい価値を生み出しているのです。

「ラーメンのスープが暑くて夏場に飲めない」という課題に対して、「スープを冷まそう」とか「屋台にエアコンを付ける」という解決方法もあったかもしれません。しかしそうではなく、ラーメンの価値とは何かを考え、独自の解釈を加えることで新しい料理(価値)を生み出していることが、僕はとてもクリエイティブディレクションだな、と感じたのです。

※福岡のラーメンは脂が溶け込んだ豚骨ラーメンが多いと思うので、スープを冷ますと脂が固まり かなり悲惨なことになるので、スープを冷ますという方法はほぼ難しいと思うのですが、例えとして書いております。

「焼きラーメン」の話はたまたま思いついた例えですが、このように広告領域以外においても「クリエイティブディレクション」は重要な能力であるということが伝えたいことでした。

そして、千利休の例えのように広告業界以外においても「クリエイティブでイレクター」は存在し、むしろこれからは多くの領域において「クリエイティブディレクター」が求められています。

それは、大量生産大量消費が求められた時代とは違い、より価値のあるもの、より意味のあるものや、持続可能性であることや、企業や商品・サービスの存在の意義が求められている時代だからです。

特に、資源に乏しく、人口も減少傾向にある日本においては、実際のプロダクトを造ることや生産力ではなく、意味を作り出すこと、つまり「クリエイティブディレクション」とそこから生まれる「アイデア」で勝負していくことがこれからますます求められていくと思います。

そのような時代において、適切でより精度の高い解決策を生み出す「クリエイティブ・ディレクション」ができるよう、これからも精進していきます。

「焼きラーメン」まじで美味しいので食べたことない方はぜひ食べてみてください。

いつかまた福岡の屋台で食べたい。

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オカモトカズマ
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