Kazutoshi

1960年生まれの還暦男。 中学生の時にローリング・ストーンズに出会い、ブルース、レゲ…

Kazutoshi

1960年生まれの還暦男。 中学生の時にローリング・ストーンズに出会い、ブルース、レゲエ、ソウルと黒人音楽を聴いた20代を東京で過ごす。 1990年に仕事で海外での生活になり多忙で音楽と向かい合う事が出来なくなりましたが、3年くらい前からまた音楽と向かい合う事を再開。

マガジン

  • Jazz

    私の場合、Jazzは音よりも五木寛之、植草甚一、村上春樹、中上健二の本からのイメージが先行していた。70年代後半からのクロスオーバー、80年のマイルスの活動再開はリアルタイムで聴いていて、黒人音楽好きだったのでJAZZの名盤、入門盤は20代の頃にも購入していたけど、昨年からApple Musicで聴きまくっている。

最近の記事

村上春樹 夏帆

図書館で新潮の創刊120周年記念特大号が貸し出し可になっていたので借りる。 春のみみずく朗読会で村上春樹が朗読した新作の短編『夏帆』を読む。 村上春樹らしい書き出しと登場人物で、本人が本人の短編をパロっているようなことを思いながら読み進める。エンディングを読んで、これも村上春樹らしいエンディング。 そのうち、『新潮創刊120周年記念特大号の夏帆は本人の短編をパロった作品です』と村上ラジオあたりで言いそうだな。村上春樹は主人公の男性も女性の80年代のバブルの頃の話を意識して書

    • 村上春樹 中国行きのスローボート

      久しぶりに新宿の紀伊国屋書店に行く。 村上春樹の本が2冊、壁に備え付けられた本棚に並んでいた。一冊は新作の『デヴィッド・ストーン・マーティンの素晴らしい世界』・・・ジャズ・レコードのジャケット・デザイナーの作品を紹介した本・・・で、もう一冊は『中国行きのスローボート』。 今更、何故棚に並んでいるのかと思い、棚に貼られたPOPを読むと、1983年に村上春樹の最初の短編集として発売された『中国行きのスローボート』の単行本は廃版になっていて、今回、再発したとの説明。 家に帰って

      • 南博 白鍵と黒鍵の間に

        久しぶりにDISK UNIONへ行き、書籍のコーナーを覗いていて購入。帯には、現在、ロードショーで公開されている映画の原作との事。 ジャズピアニストの南博氏の名前は聞いた事があるが著作を読んだことも無く、映画になっている事は知らなかった。文庫本のカバーに南氏が私と同じ1960年生まれで、80年代バブル世代の銀座青春クロニクルの説明があり、山下洋輔氏の世代では無く、同じ世代の人の著作なので購入して一機に読み終える。 私は残念ながら日本の80年代のバブルを甘受出来ていた仕事につ

        • 文學界3月号

          普段行く、家の近くの図書館の雑誌コーナーに雑誌『文學界』は無く、聖跡桜ヶ丘へ買い物のついでに寄った図書館へでは購読されていて、バックナンバーも見つける。 特集『滝口悠生の日常』とあるが新作の小説の掲載は無く、『楽器』の舞台になった秋津を散歩しながらインタビューの様な記事がある。東京近郊のの駅の描写。文章を書いたのは滝口悠生さんでは無く、辻本力さんと言う人らしいが描写が似ている。 二つ目の特集記事は滝口悠生さんと『長い一日』、『ラーメンカレー』に出てくる窓目均さんの対談。作

        村上春樹 夏帆

        マガジン

        • Jazz
          15本

        記事

          滝口悠生 長い一日

          滝口悠生氏の本を図書館で探して読む。滝口悠生氏の作品は私小説なのかな。こちらの本の方が、『ラーメンカレー』より発刊が早いので、私の読んだ順番が逆なのだけど、一人称語りの主人公の若い作家の名前が『滝口』である事がでてくるし、友人の『窓目』の話も登場する。奥付を見ると、『本』の2018年4月号から2020年12月号が初出。最後は2020年12月号だけどコロナ禍の前の話で、コロナ禍の話は出てこない。携帯電話が普及してからの生活が変わった様に、コロナ禍の後だと主人公の生活への考え方は

          滝口悠生 長い一日

          滝口悠生 ラーメンカレー

          水平線を読んだ後、グーグルで作者の作品を検索していて、新作のラーメンカレーの最初のローマのフィウミチーノ飛行場から、ペルージャーへの描写の箇所が良かったので、久しぶりに単行本を購入して一気に読む。ドイツ駐在時にローマからレンタカーでイタリアの客先を回る事が年に何回かあり、イタリアの道路、田舎の何も無い小さな街の描写が懐かしかった。  夏に同僚と二人でイタリアの田舎街に何回か仕事で出張しており、仕事の前日にその街に入り、街の中心部の広場に一軒しかレストランが無く、そこはおばあ

          滝口悠生 ラーメンカレー

          滝口悠生 水平線

          終戦記念日を挟んだお盆休みに読む。 物語が一人称の主人公の語り。だけど主人公が各章で変わり複層している。この辺りはポール・オースターの影響を受けていると思う。 2020年の夏に東京オリンピックが開催されている中で父島を旅行している記述がSFの多次元の手法かと思ったが、後書きで小説が新潮に連載された年を見ると、最初の章は2020年の開催が延期になる前に書かれたからか?と思った。 滝口悠生氏の小説は、ジミー・ヘンドリクス・エクスペリエンスのタイトルに惹かれて読み始めたけど、この小

          滝口悠生 水平線

          上田岳弘 旅のない

          上田岳弘氏の作品を読み始めた切っ掛けは、日経新聞の記事で作者が芥川賞作家兼IT企業の経営者と知った事なので、小説なのかエッセイなのか分からずに読み始める。 群像に2020年、2021年に掲載された短編集で、2020年に新型コロナが始まって、私たちの生活が変わっていく中の生活を表現した小説。たった3年前の出来事なのだ、コロナ前の生活にほぼ戻った今読むと、3年前が懐かしい。 上田岳弘氏の作品に好感を持ってしまうのは、高校生、大学生時代に表現することへの青臭い憧れを持ったまま大

          上田岳弘 旅のない

          上田岳弘 キュー

          前半は村上春樹。都会で知的な職業についている三十代の主人公が、パラレルワールドに巻き込まれる。独身だけど女友達も居て、それなりに満足しているが、高校時代の変わった女性が忘れられず、未だにこだわりを持っている。満州国の名前が出てくる事から『ねじまき鳥クリニクル』、また戦後のフィクサーの話から『羊をめぐる冒険』を思い出す。 後半はSFの雰囲気が強い。作品中に、カート ボネガットの『猫のゆりかご』のアイス ナインの話が出てくるが、作品の世界観、未来感と、それに向かうドタバタ劇を読

          上田岳弘 キュー

          上田岳弘 ニムロッド

          先週、日経新聞でChatGPTの事を書いている芥川賞作家の記事があり、上田岳弘氏の名前を始めて知って、2019年芥川賞受賞作のニムロッドを読んだ。 村上春樹氏が30年遅く生まれた時代を過ごしていたら、こんな小説を書いたのだろうと思う。私は村上春樹氏より10年遅く、上田岳弘氏より20年早い時代を生きてきた人なので。

          上田岳弘 ニムロッド

          滝口悠生 寝相

          滝口悠生のデビュー作で、2011年、2012年、2013年に新潮に掲載された中篇をまとめた本。 ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンスで読み始めた最近の作家だけど、気がつくと、四冊目? 独特の文体と描写が気に入った作家だけど、題材は私小説なのかな。芥川賞作家で、私が最初に読んだのが芥川受賞作の『死んでいない者』で無く、その前の『ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス』だったので、村上龍のフォロワー的なイメージで読んできたけど、全く違う事に気がついてきた。

          滝口悠生 寝相

          『街とその不確かな壁』第一部

          『街とその不確かな壁』の第一部を読み終える。 ネタばれで第一部の内容を簡単に書くと、17歳の私と16歳の彼女の恋愛と失恋(彼女が消えた)物語。 本好きな高校生の純愛の交際の描写と、彼女が語り私が記録していく壁の中の世界の話が、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』の様に交互の章で語られる。最後の結末の意外さと不透明さが初期の村上春樹の作品で独特の余韻と読者の想像を残していた。こんな感じで久しぶりの初期の村上春樹の作品を堪能出来たが第一部を読み終えた感想。 今回は

          『街とその不確かな壁』第一部

          もうすこし考えると、ここまでは『ハードボイルド』に比べて、素直な小説の様に読めてしまったし、二部の展開を期待して、今日は終わり。

          もうすこし考えると、ここまでは『ハードボイルド』に比べて、素直な小説の様に読めてしまったし、二部の展開を期待して、今日は終わり。

          『街とその不確かな壁』の一部を読み終える。読み進めていた時に予想していたストーリーとは違った結論だけど、春樹イコール主人公で考えると、結局、今の春樹はどちらを選んだ人なんだろう。 壁の内側に留まった人の様に思えるし。後書きからは、最初は、この一部で小説は完結していたらしい。

          『街とその不確かな壁』の一部を読み終える。読み進めていた時に予想していたストーリーとは違った結論だけど、春樹イコール主人公で考えると、結局、今の春樹はどちらを選んだ人なんだろう。 壁の内側に留まった人の様に思えるし。後書きからは、最初は、この一部で小説は完結していたらしい。

          『街とその不確かな壁』を読みながら、大学一年生の夏休みで全ては終わった。後は、余生を生きている。

          『街とその不確かな壁』を読みながら、大学一年生の夏休みで全ては終わった。後は、余生を生きている。

          ピアニストを笑え

          山下洋輔氏の名前は、中学生から高校生の頃の筒井康隆ブームの頃に読んだエッセイからフリー・ジャズのピアニストとして名前を知り、この本も当時読んだが実際の山下洋輔氏の音は聴いた事が無かった。 在宅勤務で時間が出来た3年前からYouTubeで色々、ジャズを聴いていて、山下洋輔氏の音に接することが出来て、70年代に日本のフリージャズが海外でどのような評価を受けていたかを考えながら読み直してみると面白い。 昔は、音よりも単に海外を演奏旅行することに憧れて読んでいたのだけど。

          ピアニストを笑え