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生き物たちの暮す森|No.002「最初は苦労の連続」
奈良公園の主役といえばもちろん「鹿」ですが夜の主役は「ムササビ」たちだということをご存知でしょうか。
奈良公園や原始林には、沢山のムササビたちが暮らしており、夜の林や森の中はムササビたちの楽園です。
日没後、参道や遊歩道を歩けば、あちらこちらで鳴き声が聴こえたり、頭上で存在を感じることができます。
普段は意識して観ないと、なかなか気付かないかもしれませんが、奈良公園や原始林の遊歩道にある木には、大小様々な樹洞(木のうろ)があり、その大半がムササビ達の巣なんです。
場所によっては、僕が勝手にムササビのタワーマンションと呼ぶくらい穴だらけの木があったり、ムササビロードと呼んでいる場所もいくつかあります。
現在はある程度の知識も付き、簡単に出会えるようになったムササビですが、朝から鹿ばかり撮っていた当初の僕にとって、夜間にムササビを探して撮るのは本当に苦労の連続でした。
まずどこにいるかもわからないし、痕跡にも気づけない、巣も見つけられないし、姿を見つけても暗くてピントが合わない、動きが早過ぎてブレるし、、、こんなの無理無理って思っていました。
それでも1枚、たった1枚でも良いから、きちんとした夜のムササビを撮りたかった僕は、半分諦めムードでムササビの動きをよく観察することにした。
すると、活動を始める時間帯、巣や痕跡、よく着地する木、着地してからの動き、飛びたつ前に「グルルルルルッ」と頻繁に鳴いて仲間同士で合図をするなど色んなことがわかっていった。
探し始めてから夜を徘徊すること3ヶ月。
ようやくムササビの色んな姿を撮影できるようになっていった。
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ムササビのおかげで色々と苦労や経験をしたことを今でも鮮明に覚えている。そのことが他の生き物や夜撮影の基礎となり、次に繋がっていったことが一番大きな収穫だったのかもしれない。