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生き物たちの暮す森|No.003「糞虫観察」

年間数トンもの大量の糞をする奈良の鹿たち。

そんな大量の糞を食べて、お掃除してくれる糞虫が奈良公園や春日山原始林にたくさん生息している。

糞虫に出会うには、立派に溜まった糞の塊の下をほじくるか、森の中の落ち葉をザァーっとどかしてみるか、糞の香り(臭い)がする所に辿りつければ見つかります。

奈良公園や原始林には2cmほどの瑠璃色に輝く糞虫がいます。
それが今回の主役、通称:ルリセンチコガネ!
※正式名称は「オオセンチコガネ」といいます。

オオセンチコガネ(通称:ルリセンチコガネ)

オオセンチコガネは地域ごとに体の色が違い、赤紫色や緑色のものが多いようですが、奈良公園では圧倒的に瑠璃色のオオセンチコガネが沢山生息しています。瑠璃色のオオセンチコガネは,奈良県の他、周辺の和歌山県や三重県でも生息しているのだとか。

奈良公園には60種ほどの糞虫が生息しているといわれており、糞虫たちは鹿の糞を食べながら分解し、さらにそれを小さな微生物が分解して土や芝の肥料となる。その結果、新たに生えた芝をまた鹿が食べるというサイクルが行われているわけです。

森へ行くとオオセンチコガネが自分の体と同じくらいの大きさの鹿の糞を巣へと引きずって持ち帰る場面や、ブーンと羽音を立てて飛びながら、右へ左へと旋回し、糞を求めて僕の横を通り過ぎていく姿をよく見かけます。

また、夢中になって鹿の糞を食べている様子を撮影し観察してみると、糞の中身はほんとに芝で詰まっているんだと確認できました。

オオセンチコガネは動物の糞の中でも鹿の糞を好むと言われているのですが、奈良の鹿の糞だからこそ、この綺麗な瑠璃色に輝くに違いない!と思う反面、全国的に野生の鹿が増えている現状で、なぜ奈良のオオセンチコガネだけがこんなに青いのか…
他に鹿で有名な宮島や屋久島、北海道などにいるオオセンチコガネは何色なのか気になるところ。

オオセンチコガネ(通称:ルリセンチコガネ)

まぁ今回は、奈良の鹿は神の使いとして、秘められたパワーが糞にも宿っているんだと思っておくことにします。笑

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