PC-6601とPC-6601SR - 実験的な役割を担ったホームPC
NECはPC-8801のリリースに合わせて、ホームPCに特化したPC-6001を発売しましたが、ホームPCにおいても高機能化の要望が高く後継機種であるPC-6001mkIIの発売後、これにFDDを内蔵したPC-6601を1983年11月21日に発売しました。
PC-6001 - パピコンって覚えています?
特徴的なのが当時の多くのPCが5インチFDを採用していたのに対し、PC-6601には3.5インチFDを採用したことです。FDD以外はほぼPC-6001mkIIと変わらないのですが、このFDにいくつかのソフトをバンドルするなど「新しいPCの売り方」を模索していたのかもしれません。わざわざPC-6001と別のシリーズにしたのも、その現れなのかもしれないです。
PC-6600シリーズ
FDDも5インチはペラペラしていていますし、ヘッドが当たる部分が開いたままになっているので、取り扱いに注意が必要なのに対し、3.5インチはジャケットも固くヘッドに当たる部分にシャッターも用意され取り出した状態では触ることもないので、これこそ家庭用に必要なものだと思ったのでしょう。
3.5インチディスクドライブを搭載し、華麗にデビューした「PC-6601」
そしてPC-6001は低価格が魅力であったために、機能を強化しても価格を維持する必要があり、新しい展開をするために、この中間的なシリーズを用意したような気がします。
PC-6601
PC-6601デモンストレーション
果たして、その狙いが当たったかどうかは良くわからないのですが、1年後の1984年11月20日には後継機種であるPC-6601SRが発売されます。愛称は「Mr.PC」キャッチフレーズは「六本木パソコン」です。大きな違いはその形状で、キーボードが本体と分離されたセパレート型で、有線以外にも赤外線通信で本体と接続することができます。またテレビ受信機も内蔵した専用ディスプレイが用意され、パソコンの画面をテレビ放送に重ねて表示する(スーパーインポーズ)することが出来ました。また画面もテキスト40✕20から80✕25に、グラフィックは320✕200✕4色または160✕200✕15色から、640✕200✕15色中4色または320✕200✕15色にほぼ倍の能力を持つようになりました。
PC-6000シリーズの頂点、六本木パソコンこと「NEC PC-6601SR」
PC-6601 Mr.PC
テレビ機能との連携についてはシャープのX1でも出来ていましたし、目新しいものではなかったのですが、この時代はパソコン通信の黎明期でもあり、別にゲームやプログラミングに興味が無くてもパソ通をやりたいというユーザには丁度よいPCだったようです。一緒に野球中継を見ながらスーパーインポーズでチャットするなんて言う当時としては先進的な使い方をしていた人もいましたね。そういう意味では六本木ではなくて青山の方が良かったような気もしますが、そもそもどうして六本木だったのかは未だに不明です。
いろいろな可能性を模索しつつも、他のPC系列も増えてきたこと、MSXなどとのホームPCの競争が厳しくなってきたこともあり、このシリーズはここで終わることとなります。
ヘッダ画像はASCII誌1984年12月号に記載されたPC-6601SR(とPC-6001SRmkII)の広告。
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