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FP1100 - 隠れた名機 カシオのPC

1982年も終わり近くだったと思います。PCは競うようにいろいろな会社からリリースされ、その善し悪しが良くわからなくなってきていました。共通するのはZ-80(4MHz)を使い画面は640✕200✕8色というところで、メモリはどこまでプログラムで使えるかは別にして64K以上は積むようになっていました。

こういう状況の中で電卓で一世を風靡したカシオからもPCが発売されました。見た目のスペックは標準的に見えますが、価格を抑えた上に数値演算をBCD(10進)で行う独自のBASICを搭載し、倍精度のみならず倍々精度で計算を行うという特徴があります。

FP-1000 - やや端折り気味

よく見るとPFが0からだったり、テンキーに000があるなど独特

大部分のBASICがマイクロソフト製となっている中で、計算機なんだから正確な計算が必要と考えたカシオの英断はすばらしいものだったと思います。面白いのがプログラム領域を分割し複数のプログラムを同時にメモリに置くことができて、必要であればそれらを相互に呼び出す機能もありました。まだ低価格帯PCにはディスクが普及していないので、それなりに便利なものでした。

メインボードは2枚に分かれている。ん?なんかいじってあるのかな?

開発したプログラムを使うためのRAM/ROMカートリッジなども使える、よく考えられた拡張スロットも用意されていましたし、BASICにはグラフを描くためのスケーリング機能ももっており、他のPCでは「できない」ことをこなせるようになっていました。

数値計算がBCDであることで計算に時間がかかることは当然で、それは諦めがついたのですが、FM-8などと同じようにグラフィック周りをメインCPUから切り離し、サブCPUに任せたまでは良かったのものの、このサブCPUが少しばかり力不足でグラフィック能力がかなり厳しいことでした。

FP-1100

FP-1100

CPU周り(NEC D780C-1はZ80互換)

この理由で画面周りの移植が大変だったのと、やはりパフォーマンスに問題があったので、既成のPCゲームの移植が進まずに、安いからと手を出した人にとっては悲しいことになりました。

FP-1100のサブCPU乗っ取りについて

ゲームを考えなければ、サブCPUの問題はデメリットにはならず、むしろメインCPUのアドレス空間にVRAMがないこととBASIC ROMを切り離すとフリーエリアを広く取ることが出来て、特に海外ではCP/Mを動かして正確な計算ができる(お金を扱う人には大切です)PCとして使われたようです。

カシオ FP1000/FP1100

細かいことを言えば、このBASICは変数名にカナが使えたりしたのですが、嬉しいかと言えば微妙でした。この後、PCはモバイル型が急速に発展するので、カシオの実力はそちらで活かされたようです。

4.デュアルCPUシステム搭載で、コンポーネントタイプのカシオのパーソナルコンピュータ。 : FP-1100(カシオ計算機:1982)5

“24桁・10進演算”が可能なカシオ独自のパソコン「FP-1100」

他にもいくつかの記事が見つかりましたが、どれも遅いという話ばかりですね。このBASICの仕様書が見つからないんで、情報をお持ちの方はコメントいただければ幸いです。

2023/1/6 追記

基板写真でサブCPUだと思っていた石がメインの方であったのをTwitterでご指摘を受け文面を修正しました。サブはμPD7801Gでしたね。良く確認していなくてスイマセン。ご指摘を感謝。

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