SHARPのPCたちの系譜
レトロPCシリーズもかなり記事が多くなってきて、そろそろどの機種を書いたのか、書いていないのか、ちょっと怪しくなってきました。読まれる方も「この機種の記事はあるのかな?」と(ググれば出てくる気もしますが)探すのに苦労するかもしれないので、この辺りでまとめ記事を書いてみることにしました。まずはシャープのPCたちです。ポケコンやワープロは別扱いにしておきます。
1978年5月 MZ-40K(マイコン博士)
シャープはまだパソコンという姿が世に登場する以前に、マイコン学習キットという形で参入を果たしました。
1978年12月 MZ-80K
そして、その年の暮にMZ-80Kを発売します。CPUはZ-80(2MHz)でRAMは標準で20K。最大で48Kまで拡張できました。お値段は約20万円。このシリーズは後継のMZ-80K2(1980年)が出るまで現役でした。
MZ-80K - 日本初になり損ねたパソコン
1979年 MZ-80C
MZ-80Kは一部に組み立てが必要なキットとして売られていたが、晴れて買ってくるだけで使えるパソコンとなった。キーボードは少しだけ良くなった。CPUは変わらずメモリは最初から48Kまで増設されていたが、お値段は約27万円。
MZ-80K その後の発展 - MZ-80CとMZ-1200
1980年 MZ-80K2
見た目と仕様は、ほぼMZ-80Kのままだが、組み立てキットではなく完成品として販売。RAMも最初から32Kを搭載し、お値段は据え置き。
1981年 MZ-80B
MZ-80初の大幅リニューアル。CPUはZ-80A(4MHz)となり倍速化。RAMは64K搭載。テキストの80カラム表示も可能となり、オブションでグラフィックRAM(320✕200✕2ページ)も利用できるようになった。お値段は約28万円。
MZ-80B - それはビッグなのかビジネスなのか
1981年 PC-3100/3200
MZシリーズを出していた部品事業部ではなく情報システム事業部から発売されたのがPC-3000シリーズ。CPUはZ-80A、RAMは32Kが標準でしたが最大で112Kまで拡張できました。10進BASICを(ROMで!)搭載していたのが特徴で、5インチFDも接続できました。価格はディスプレイ込みではあったものの、25万円と39万円からと少しお高め。
PC-3100S/3200S - こんなSHARPのパソコンがありました
1981年 MZ-80K2E
MZ-80K2と同じ仕様のまま設計を見直して大幅な値下げ。お値段は約15万円になりました。
1982年 MZ-80B2
MZ-80Bをお値段そのままで標準でグラフィックRAMを1ページ分だけ搭載。
1982年 MZ-80A
1982年7月 MZ-1200
輸出向けでMZ-80K互換。CPUはZ-80Aだけどクロックは3.6MHzくらい。当然カナに関する機能はなくなっている。後に国内向けで発売したのがMZ-1200(カナはちゃんと復活)。RAMは24K。キーボードは普通の形になった。MZ-1200の値段は約15万円。
1982年11月15日 MZ-700
MZ-80K系列ではあるが、内蔵モニタをやめて外付けを使うようになった。CPUはZ-80A(約3.6MHz)でRAMは64K搭載。カラー表示もできるようになった。カセットだけではなくプロッタを内蔵できるのが特徴。お値段は内蔵する装置によって約8万~13万円。この頃から殆どの機種で5インチFDの接続オプションも提供されるようになった。
MZ-700 - 不可能は無いと言われたMZ-80Kの後継機
1982年7月 MZ-2000
MZ-80Bの後継として登場。CPUはZ-80A互換(4MHz)、RAMは64K。カラー表示(8色)はオプション。グラフィックもオプションだが320✕200✕8色(またはモノクロ3ページ)。お値段は約22万円。
1982年 MZ-3500
PC-3100シリーズの後継機。事業部の統合によりMZシリーズの仲間入りとなった。CPUはZ-80AだがサブとしてもうひとつのZ-80Aを搭載。RAMは標準で128K、最大で256K。オプションで640✕400のグラフィック表示も可能。5インチFDを内蔵している。お値段はFD1基で32万。2基で41万。
1982年11月 X1(CZ-800C D)
今度はテレビ事業部から「パソコンテレビ」と銘打ったシリーズが登場。画面表示を専用テレビでスーパーインポーズ出来るのが特徴。CPUはZ-80A(4MHz)、グラフィックはオプションだがテキストフォントが自由に定義できた。お値段は16万弱。
1983年7月17日 MZ-2200
MZ-2000と完全な互換性を持った後継機。今までの一体型デザインからコンポ型になった。グラフィックメモリを標準で搭載になったにも関わらずお値段は約13万円(但しカセットやディスプレイが別途必要になった)。
8ビット時代を駆け抜けたクリーンコンピュータ - MZ-2000/2200/2500
1983年 MZ-5500
CPUが8086になりMS-DOSも発売。RAMは128K(または256K)で512Kまで拡張可。グラフィック能力はMZ-3500と同じ640✕400✕8色。お値段はFDなしの約22万からメモリが256KでFD2台付きで約39万。
1983年10月 X1C (CZ-801C) X1D (CZ-802C)
X1の後継として登場。X1Cはプロッタも内蔵可能となりグラフィクメモリも内蔵。価格は約12万円とお手頃に。X1Dは3インチFDを1基搭載。お値段は約20万円。
マイコン博物館の展示物たち その2 SHARP MZシリーズ
1984年6月1日 MZ-1500
MZ-80K系列の最後の機種。クイックディスク搭載(片面で64K)。CPUはZ-80A(約3.6MHz)。RAMは64K。グラフィックメモリも24Kある。お値段は約9万。
1984年7月 X1Cs(CZ-803C) X1Ck(CZ-804C)
X1Cのマイナーチェンジ(プロッタは廃止)。お値段は約12万のまま。これに漢字ROMを追加したのが X1Ck。コチラは約14万。
1984年10月 X1turbo model10 20 30 (CZ-850C 851C 852C)
X1シリーズに640✕400✕8色のグラフィックを追加した新シリーズ。40✕25の漢字表示も可能に。5インチFDなしの約17万~FD2台の約28万まで。
マイコン博物館の展示物たち その11 - MZ以降のシャープPCたち
1984年 MZ-6500
MZ-5500の後継機。8086のクロックが8MHzになった。FD2基で65万、片方をHDD(10MB)に置き換えたものが約100万!なお、この機種の輸出モデルとして MZ-5600があり、さらに後継機としてMZ-6500Cがあったようなのだが、詳細は不明。さらにCPUが80286になった(FDDも3.5インチになった)MZ-6550も同じシリーズ(MZとは思えない筐体)。
1985年 MZ-800
海外向けのMZ-700の後継機。CP/Mで使うことが多かった模様。テキスト画面はなくPCGを使ってすべてグラフィックで表現していたようだ。CPUはZ-80A(約3.6MHz)、RAMは64K(VRAMは16~32K)、グラフィックは320✕200✕4色または640✕200✕2色(VRAMを増設すると色が増やせる)。
1985年10月 MZ-2500
MZ-2000 2200の後継機で「スーパーMZ」というニックネームを持つ。マイクロソフトBASICも用意された。CPUはZ-80B(6MHz)、RAMは最大256Kまで増設できるようになった。グラフィックは最大で320✕200✕256色または640✕400✕16色。もちろんPCGも標準でゲームなどで活躍。漢字のテキスト表示も可能になり8ビット機であるにもかかわらず日本語表示の充分なパフォーマンスがあった。FD1基のMZ-2511が約17万、2機のMZ-2521が約20万。
1985年7月 X1turbo model40 (CZ-862C)
X1turbo model30 のテレビまわりの機能を無くしてビジネス向けとしてリニューアルした。約26万。
1985年7月 X1F
X1turboに合わせBASICなどを刷新。カセットの代わりに5インチFDを搭載した機種も登場。カセットのモデル(CZ-811C)で約9万。FD1基(CZ-812C)で約14万。本体にはさらにもう1基内蔵できた。
1985年11月 X1turbo II (CZ-856C)
X1turbo model30の仕様のままの廉価版。約18万円。
SHARP X1 - AVパソコンとしての出発
1986年7月 X1G (CZ-820C CZ-822C)
縦置き可能なデザインとなったのが特徴。スペックとしてはほぼそのまま。カセットモデルが約7万、5インチFD2基が約12万。お値段も熟れてゲーム機としての色が濃くなった。
1986年10月 MZ-2531
SuperMZ V2とも呼ばれた。MZ-2521に辞書ROMや増設メモリを標準とした(約20万円)。
1986年10月 MZ-2520
MZ-2521 からカセットおよび旧機種の互換モードを無くし、辞書ROMを追加した廉価版(約16万)。
1986年11月 X1turboIII (CZ-870C)
X1turbo II のFDDを2HD対応にし、第2水準までの漢字ROMも標準搭載。約17万。
1986年12月 X1turboZ (CZ-880C)
パレットが使えるようになり4096色表示が可能となった。FM音源も搭載しマウスが標準でついてくるなど他社に引けを取らないAVパソコンとして再出発した新シリーズ。お値段は約22万。
1987年3月 X68000
X1と同じテレビ事業部からCPUに68000(10MHz)を採用し、ホビーパソコンとして初めて16ビットの世界に足を踏み入れた革新的な機種。メモリも標準で1M搭載し最大で12Mまで拡張可能だった。グラフィックも1024✕1024の中から最大で768✕512の領域を表示でき、6万色以上の表現も可能だった。ゲームで便利なスプライトも搭載し、もちろんFM音源も内蔵。5インチFDを2基搭載し、トラックボール型のマウスも付属していた。
1987年 MZ-2861
CPUに80286(8MHz)を採用し、プロテクトモードを活用できる設計されていた。RAMは標準で768K搭載し最大で2Mまで拡張可。グラフィックは640✕400で最大6万色以上が使えるようになった(パレットボードはオプション)。3,5インチFDを2基搭載、FM音源も搭載。MZ-2500互換モードを持ち、そのためにZ-80B(6MHz)も持っていた。売りだったのは同社のワープロ専用機である書院を同梱しワープロとしてすぐに使える環境を用意していたことと、使い物になったかどうかは別にしてPC-9801エミュレータも内蔵していた。MS-DOSも添付されていた。お値段は約33万。
1987年12月 X1twin (CZ-830C)
X1との互換性を持たせたままPCエンジンとしても使えるというハイブリッド機。5インチFD1基を持ちお値段は約10万円。X1はこれで打ち止め。
1987年12月 X1turboZ II(CZ-881C)
X1turboZに拡張RAMを64K追加。約18万円。
1988年 X68000ACE
X68000シリーズは基本的なアーキテクチャを変更しないことを売りにしていて、マイナーな変化しかしなかったが、ここでHD(20MB)内蔵モデルも追加。お値段は少し下がって約32万(HD内臓で約40万)。
1988年12月 X1turboZ III(CZ-888C)
X1シリーズすべての最終形。いくつかの拡張機能を廃止してコストダウンを図った。約17万円。
1988年 MZ-8000シリーズ
型番としてはMZを名乗っているものの、PCとしてはAT互換機。AX286やAX386といった名称の方が一般的。デスクトップ型もノート型も多くのモデルが発売された。時代はDOS3.2やWindows2.11という時代。
1989年3月 X68000EXPERT PRO
メモリを標準で2Mに増やしたEXPERTと横置きの筐体になったPROモデルを追加。EXPERTはHD無しで約36万。HD(40MB)内臓で約47万)。ORIはHDD無しが約30万でHD(40MB)付きが約41万。
1990年3月 X68000EXPERT II
細かな改造を加えたモデルでHD無しが約34万。HD(40MB)内臓が約45万。
1990年4月 X68000PRO II
EXPERT IIに少し遅れてPROもIIになった。お値段は約29万と約40万。
1990年6月 X68000SUPER-HD
SCSIインターフェイスを搭載しHDが約80Mになったモデル。約50万。
1991年1月 X68000SUPER
SCSIを内蔵したHD無しモデルも追加。約35万。
1991年5月 X68000 XVI
16MHzモードが追加されたとともに筐体のデザインが少し変わった。HD無しが約37万。HD(約80MB)が約52万。
1992年2月 X68000 CompactXVI
FDが3.5インチに変更され筐体がコンパクトになった。HD無しモデルのみで約30万。
1993年3月 X68030
CPUが68030(25MHz)に変更され、RAMも標準で4Mとなった。HD無しが約40万で、HD(80MB)内臓が約49万。
1993年5月 X68030 Compact
FDが2HDに対応したX68000最終モデル。HD無しが約39万で、HD(80MB)内臓が約48万。
MZ-80Kの発売から15年ほどで、8ビットから32ビットまでの時代を駆け抜けたシャープのパソコンたちでした。本当はそれぞれに写真とかも貼り付けたかったのですが、利用可能な画像を探すのがそれなりに骨です。過不足や誤りにお気づきの方は是非ともコメントにてお知らせいただければ幸いです。
ヘッダ画像は、以下のものを使わせて頂きました。https://www.cleanpng.com/png-sharp-corporation-sharp-aquos-logo-2471414/