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FM-7 - 御三家の地位を獲得した富士通のヒット作品

満を持してFM-8をリリースした富士通でしたが、初めてのパソコンでもあり、SFCとの共同開発でいろいろと盛りだくさんにしすぎて、供給も十分ではなく、その話題性の割には十分に売れたとまでは言えませんでした。価格もややお高めでしたしね。

FM-8とバブコム80

やはりひとつの製品で、多様な要求を満足させるのは難しく、この時点で和製御三家と呼ばれていたNEC、シャープ、そして日立においても機能を追加した新機種を出すと同時に、今までのスペックを維持したまま価格を下げる形でのハイローミックス路線を打ち出していました。

富士通もビジネス向けとホームユースは別のマーケットだと考え、FM-8から拡張性を大幅に削り、細かな、しかしながら大幅なパフォーマンスを改善するチューニングを施したFM-7と、16ビットCPUである8088も搭載したFM-11という2機種を1982年11月に発売することになりました。今回はこのうちFM-7を取り上げます。

FM-7

価格はFM-8の218,000円から大幅に引き下げられ126,000円となり、CPUもクロックが倍近くに引き上げられました。かなり互換性の高い設計ではありましたが、小物入れにしかなっていなかったバブルメモリやシリアルポート、アナログ入力ポートが無くなりました。その代わりPSGが内蔵されグラフィックにもパレット機能が追加されました。

カラーパレットという仕組み

筐体のデザインも一新され格好良さは失われてしまったようにも思えますが、富士通らしいとも言えるシンプルなデザインです。実はビスを使わないという設計で、ここでもコストを抑えたのだそうです。

富士通のパソコン40年間ストーリー【3】「8ビット御三家」へと押し上げた「FM-7」

またイメージキャラクターとして「タモリ」さんを起用し(ちょうど「いいとも」が始まった頃です)、庶民性をアピールしました。

FM-7

速度も向上し価格も下がったのですから、売れない訳はありません。この年の春にはマイナーチェンジをしたベーシックマスターL3マーク2を発売していた日立から御三家の地位を奪い取ったといって構わないでしょう。

FM-8の後継機として登場し、価格も抑えヒットを飛ばした「富士通 FM-7」

FM-7とは

搭載しているBASICもF-BASIC Version3となり(Ver1と2はFM-8用)、追加されたハードウェアを使う命令が追加されました。CPUはメイン、サブともに6809なので、サブCPUに命令を渡すのも同じCPUだから簡単です。NECもシャープもZ-80なのですが、富士通のお陰で6809も勢力を伸ばした感じでした。

【第1回】6809の良さを素直に味わえた名機FM-7

FM-7/8 Subシステムメンテナンスコマンド

FM-7は、その後もマイナーチェンジをしたnew7とFDDを内蔵したFM-77へ進化を続けました。富士通は技術的な面での選択眼は良かったようで、ゲームを作るにはサブCPUに言うことを聞かせるのに少し苦労しましたが、大きめなメインメモリも持ちBASICにも妙な癖が少なく使いやすい機種だったなぁと思います。

【富士通】 FM-8(エフエム エイト)シリーズのスペック比較

番外編7:FM-8/7/77/77AVシリーズの微妙な非互換性

もちろんFM-7にもエミュレータがあります。XM-7が有名なようですが、こちらはWinodws向けなのでクロスプラットフォームのものも見つけました。軽く遊ぶにはFM-7はちょうど良い程度の仕様なので試しに入れてみて遊んでみたいなと思います。そろそろ仮想マシンとして動くパッケージになったりしないかな。そのほうが使いやすいんで。

FM-7エミュレータ XM7

陸奥

それなりにたくさん売れたので、もちろん中古マーケットにもそれなりに残っているようです。でもハードウェアのメンテも大変ですし、置くところに困りますよね。やはり実機を使うのが一番楽しいのですけどね。

レトロPC 富士通 FM-7を購入しました 開封・分解していきます

ヘッダ画像はアスキー1982年12月号のFM-7の広告たち

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