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はじめてのハードディスク

そろそろハードディスクの話に進むかなぁと思いつつ、自分にとってのはじめてのハードディスクの記憶を遡ってみました。APPLE][を手に入れた時に同時にDISK][も買ってしまった話は既にチラホラ書いた気がするのですが、そのお店ではAPPLE][向けのハードディスクも売っており、まだパソコンにはカセットテープでデータを読み書きしていた時代、フロッピーを持っているだけでも申し訳なかったのですが、実はもうハードディスクも使うようなことはしていたのです。

磁気ディスクというのは大型機では一般的なもので、パソコンに(無理やり)繋いだハードディスクは、おおよそミニコン向けなどに売られていたものを転用していたのですが、その速度(と容量)は圧倒的で、APPLE][で言えば、10KBASICをテープで読み込むのに100秒掛かるとすると、フロッピーではおよそ10秒、ハードディスクであればほぼ一瞬で1秒で済むという感じでした(数字は正確ではありません)。

本体のサイズはAPPLE][よりも大きく重く、電源を入れて8インチはあるだろうディスクが回り始めるには10秒ほどかかり、まるで飛行機のエンジンが掛かるときのような音がしました。本体に接続するインターフェース・カードもギリギリ本体の蓋が出来るくらいのとても大きいものでした。容量は今から考えれば「タッタの」10MBですが、当時のフロッピーが1枚でおよそ100K程度(片面)ですから、およそ100倍の容量があったわけです。

繋がるのは良いのですがファイルを読み書きするにはDOSから扱えるようにしなければなりません。このハードディスクの場合は、あたかも多くのフロッピーを切り替えながら使うように見せる方法を採っていました。DOSにおいてフロッピーを識別するために使われていたボリューム番号を使って、この数字を指定することでハードディスクの領域を分割して使っていました。本体のメモリはDOSを動かした時点で10Kほど減っていたので、これ以上のメモリを使うわけにはいきません。そこでハードディスク側のファームウエアでこれを実現していたのが凄いところでした。

もちろんひとつのファイルでフロッピーの容量を超えるようなことは出来ませんし、内容を一覧するにもボリューム番号をFOR文で増やしながら"CATALOG"を実行するような"EXECファイル"を実行していました。

AppleDOSが扱うファイルたち

結局、APPLE][シリーズでハードディスクがサポートされたのは、ProDOSの時代になってからで、公式なハードディスクが登場したのはおそらくMacでも使えた20SCまで待つ(もう1986年のことです)必要がありました。

Hard Disk 20SC

まあお値段がお値段(100万以上)だったので、自分でハードディスクを買って使うようになったのはPC9801VM2時代なのですが、その時代になれば少しは小さな筐体になっていたとはいえ、まだ本体の2台のドライブよりも大きなもので、お値段も本体と比較できるくらいはしました。もっとも容量の方は、この時とあまり変わっていなかったのですが。

フロッピーの時代は、使うソフトに併せて異なるOSやドライバを入れた「起動ディスク」を使えばいろいろな使い方が出来たのですが、ハードディスクは基本的に交換できないものなので、複数の領域を設定してOSや設定を変えたり、一度起動してから目的に合わせて設定ファイルを書き換えて再起動するなど、新しい工夫が必要になるとともに、アプリに合わせてOSを用意するのではなく、ひとつのシステムでいろいろな使い方をするようになりOSの寡占化が進んだように思います。

ヘッダ画像は、月刊アスキー1979年12月号に記載された広告

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