三菱電気のMSX ML-8000/F110/F120/120D
三菱電機が発売したパソコンについては、MULTI16やMULTI8について書いてきましたが、なかなか素敵なスペックであるものの、一般向けの商品としての展開としては苦しいものがありました。パソコンは家電と違ってソフトの役割が大きいので、他社と同じようなものを用意しても一定のシェアを取るとはいかず、より売れている商品に人気が集中する傾向が強いです。
MULTI16 - 遂に三菱電機もパソコンを出した
MULTI8 - 何が取り柄なのかがわからなかった
同じように苦しんでいる日本のメーカーも多かったのか、MSXが登場したときにはそういったメーカーが「渡りに船」と合流したのも頷けます。三菱電機もさっそくML-8000をリリースしました。
MSX最初期組のうちの1台「三菱 ML-8000」
Mitsubishi ML-8000
MSXとしては標準的な作りで、メモリは32K、スロットはひとつです。ハンで押したようなMSXなので、特に取り上げられることもなく記事がほとんど見当たらないのですが、それなりには売れたようでオークションサイトではよく見かけます。まさか買ったのにそのまましまい込んだ人が多かった訳ではないでしょうが。
これで気を良くしたのか、翌年には「レタス」(Let us)という愛称を付けて F110、F120、F120Dの3つの機種をリリースします。
キャッチコピーは“青春はレタス。君たちのLet us!”、三菱電機の「ML-F110」
Mitsubishi ML-F110
Mitsubishi ML-F120
Mitsubishi ML-F120D
F110は16Kメモリで約5.5万円、F120が32Kメモリで約6.5万円、そしてF120Dは32KメモリでRGB出力を備えています(約7.5万円)。MSXは共通規格なので何らかの独自性を出さなくてはいけないよということで、カラバリを用意したり、F120とF120DにはC-BOLという簡易プログラミング言語や家計簿などの組み込みアプリを用意しました。このC-BOLがどのような言語だったのかは資料が見つからないのですが、これを使って別売のかわいいロボットを動かしたり写真を撮ったりすることが出来たようです。
Mitsubishi ML-ROBO
ラジオ・コントロールロボット ML-ROBO 取扱説明書
https://www.theoldrobots.com/images58/ROBO.pdf
MULTI8にもロボットアームがありましたし、三菱はロボットが大好きだったんですね。この後、MSX2時代にもなかなか個性のある製品をリリースし続けますが、PC互換機が普及し16ビットの時代になると、そちらに軸足を移していきました。そして結局、20世紀の終わりを待たずに(一部はもう少し粘ったようですが)パソコンからは撤退してしまうんですけどね。そうなると過去のオフィシャルな資料も消滅してしまったようで、その歴史が消え去ってしまうのは残念です。
ヘッダ画像は、月刊アスキー1984年7月号に記載された広告(部分)
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