キーボードのタイピング
今も昔もパソコンの主な入力装置はキーボードです。レトロ時代のPCたちはマウスも無かったので、キーボードが唯一の入力手段でしたし、今でもキーボードが使えないと自分の名前を入れたり検索文字列を指定するのも難しいので、タイピングの速度こそ要りませんが何だかんだ使いこなす必要があります。
私の場合はパソコンを使うようになるより早く、タイプライタという英文を打ち込む装置を使うようになっていたので、パソコンと出会ったときには、いわゆる「ブラインドタッチ」が出来るようになっていました。おかげでプログラムを入力するのもストレスが少なかったのですが、多くの人はパソコンではじめてキーボードを使うようになるので、プログラムを書く以前にまずキーで文字を打つという行為に慣れるのに四苦八苦していました。
キーボードはタイプライタで覚えた
レトロPCな時代はキーボードも機種によっては(特に低価格帯のいわゆる家庭向けパソコンでは)押したことが手の感覚でわからずに画面を見なければならないボタン型のものが使われていることもあり、ブラインドタッチ以前のものも多かったです。もちろんタイプライタでの入力を覚えるにはいわゆる「教則本」で決められたテキストをパチパチ打ってカラダで覚えたのですが、パソコンではいわゆる英文と異なり記号文字や機能キーをたくさん押すので、タイプライタの時と同じような速度で打ち込もうとすると小指が痙攣しそうになることが多かったのは確かです。
幸いにして私の最初のパソコンであるAPPLE][は、なかなか良いキーボードが使われていて、かなりの速度で入力しても困ることはなく、逆に時折使うタイプライターで同じように打つと、今度は活字を打つバーが絡まってしまうようになりました。これは今でも使われているキー配置がアルファベット順では無い大きな理由でもあるのですが、左右を交互にテンポよく入力するとバーが絡まりにくいようになっているのがタイプライターでパソコンと異なり機械的な制約があるからです。
そこでタイプライターの方は絡まりにくいゴルフボール型のものを使うようになったので、片側のキーを続けてどんどん打っても大丈夫になりストレスはかなり減ったので、当時は毎分200文字くらいの速度まで出ていた気がします。
その後、使うパソコンの種類も増えてキー配置もいろいろとなり、入力する文字もアルファベットだけではなく日本語を入力するようになると、カラダで覚えた感覚と離れていきどんどん入力速度は落ちていきました。特に日本語変換は致命的で、入力した結果を確認しつつという流れになるのでどうしても遅くなります。カナ入力であったり親指シフトも覚えましたが、変換操作というのは変わらないので、結局、どんなキーボードでも使えるローマ字入力に戻ってしまいました(好みとしては未だに親指シフトは大好きです)。
今は実にいろいろなキー配置やキータッチのキーボードがありますし、自分が最も使いやすいものを選べば良いのですが、自宅や職場などで複数のキーボードを使い分ける事態は避けられない(他の人のPCをメンテしたり借りることもある)ので、すべてを統一することは難しくどうしても一般的なものを選択するという力学が働きます。いくら自分で使いやすくても一般的なものとかけ離れてしまうと指先がバグってしまい1文字ずつ確認して打ち込む羽目に追い込まれます。
先日、多くのレトロPCのキーボードを打ってみたのですが、キー押し込む感覚だけでなく、その細かな形状や質感なども打ちやすさに大きく関わっていることを思い出しました。もちろん最低の打鍵感のものもあったのですが、隣のキーとの間隔や上下のキーの間の傾斜など、多くの人がキーに拘っている違いが想像以上にいろいろあることを再確認しました。
まあ今は何でもかんでも打ち込むのではなく、既にあるテキストをコピペする使い方がかなりの割合を占めるので、必ずしも高速にキーを叩く必要は無いのですが、若い人を見ているとPCを子供時代から使っている人の割合はむしろ減っていてスマホでしか文字を入力したことがない人も増えてきたようです。彼らは恐ろしい速度でフリック入力ができたりするのですが、キーボード入力をきちんと学び練習した経験がないようで、見様見真似であまり効率の良くない使い方をしている人も見かけます。特に日本語変換操作は怪しいですね。
ディスプレイがメガネやゴーグルに置き換わる時代になれば、キーボードも独自のコントローラやバーチャルなキーボードに置き換わるようにもなるかもしれませんが、結局のところコードを書いたり最初の設定を行うのはまだまだキーボードが欠かせないことにはなりそうです。ヒトにやさしいレイアウトや形状の研究もいろいろありますが、これだけ普及してしまうと標準を変えるのはかなり難しそうです。相変わらず小指(や薬指)が痙攣しそうになるのはいかんともしがたいのでしょうね。ひとつのキーボードがどんな機器にも使い回せるようになれば新しいレイアウトの挑戦はしたいのですが。
ヘッダ画像はマイコン博物館所蔵のレミントン・タイプライタ。
#キーボード #タイプライタ #レイアウト #タイピング #カナ入力 #日本語変換 #打鍵速度