髙木 一史

サイボウズの労務担当 |書籍『拝啓人事部長殿』https://www.amazon.co.jp/dp/490904437X

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    日経COMEMOは、様々な分野から厳選した新しい時代のリーダーたちが、社会に思うこと、専門領域の知見などを投稿するサービスです。 【noteで投稿されている方へ】 #COMEMOがついた投稿を日々COMEMOスタッフが巡回し、COMEMOマガジンや日経電子版でご紹介させていただきます。「書けば、つながる」をスローガンに、より多くのビジネスパーソンが発信し、つながり、ビジネスシーンを活性化する世界を創っていきたいと思います。 https://bit.ly/2EbuxaF

最近の記事

本を出して、議論して、もっと人事の仕事と向き合うことにしました

「読者が選ぶビジネス書グランプリ2023」のマネジメント部門に『拝啓 人事部長殿』をエントリーしました。 この賞は一般読者の投票で決まるものです(メールアドレスがあれば誰でも投票可能です)。多くのベストセラー作品に囲まれて、果たしてエントリーする意味があるのかとも思いましたが、「日本企業が抱える『閉塞感』をなくしたい」という理想をもっと世の中に広げていきたい、という思いから参加しています。共感いただける方は投票いただけると幸いです。 読者の熱量に圧倒された半年間昨年6月に

    • 「日本は解雇規制が厳しいからダメ」は本当か?

      時折、「日本は解雇規制が厳しいから、雇用の流動性が低くてダメなんだ。もっと法律の規制緩和が必要だ!」という言説を耳にすることがある。 しかし、以下の記事でも書かれているとおり、こうした意見には、幾つかの観点が混在しており、誤解が生じているような印象を受ける。 今回は、「日本は解雇規制が厳しいからダメなんだ!」という意見について思うことを書いてみたい。 解雇とは何か「解雇」とは簡単に言えば「使用者による労働契約の解約」で、大きく分けて3つの種類がある。 ①整理解雇  経

      • 組織内の問題を可視化することの難しさ

        昨今、企業の中で問題だと思うことをオープンに共有・報告できるように、風土改革に取り組む企業が出始めている。 以前、「心理的安全性」というテーマで記事を書いた際も、同様の問題意識を扱ったことがあるが、組織の中で安心して発信できない理由には、さまざまな要素が複雑に絡み合っているため、リーダーのコミットメントをはじめ、あらゆる視点でのサポートが必要になる。 参考記事:「心理的安全性」という夢物語を追って ぼくの所属しているサイボウズでも、組織の中にある問題を可視化していく、と

        • 6月17日、本を出版します──「トヨタを3年でやめた」人事のその後

          6月17日(金)に『拝啓 人事部長殿』という本を出版することになりました。そこで今日は、出版に至るまでの経緯と、この本に込めた想いをお伝えできればと思います。 https://www.amazon.co.jp/dp/490904437X 「僕はなぜトヨタの人事を3年で辞めたのか」。話題になったnoteのその後以前、ぼくは1本の記事を公開しました。 日本企業が抱える「閉塞感」をなくしたい。 そんな分不相応な理想を掲げながら、「閉塞感」を「1人の人間として重視されている感

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        記事

          社内副業(兼務)運用の試行錯誤

          昨今、社内で複数の仕事を同時に経験する「社内副業(兼務)制度」を導入する企業が増えている。 ぼくの所属するサイボウズでも現在、全社で約3割の人が兼務している。 兼務は、うまく活用できれば、リソース確保の機会が増えたり、チーム間の知識・情報の共有がスムーズになったり、メンバーにモチベーション高く働いてもらったり、とたくさんのメリットがある。 参考記事:3年間、3部署を兼務して分かったこと ただ、こうした兼務の活用が進んでくることによって、社内では(元々想定されていたもの

          社内副業(兼務)運用の試行錯誤

          社内読書会のススメ

          昨今、新型コロナの感染拡大でリモートワークが普及する中、オンラインでの読書会がグローバルに広がっているという。 また、会社員が読書をスキルアップに生かすため、様々な読書支援サービスが登場するなど、「ビジネス読書」を巡る取り組みも始まっている。 ぼくが働いているサイボウズでも、書籍を活用した学びは推奨されている。 新型コロナ禍に入る前から、社内での勉強会自体は活発に行われており、そのなかの1つとして、ABD(「アクティブ・ブック・ダイアローグ」の略称で「一冊の本を参加者全

          社内読書会のススメ

          「週休3日制」いろいろ

          先日、日立製作所が「週休3日制」の導入を発表した。 元々、同社ではフレックスタイム制を導入しており、そこで1日の最低勤務時間(3.75H)を定めていたが、今回、この制限を廃止することによって、総労働時間は変えずに、週休3日という働き方を選択できるようにするという(例:10H/日×4日)。 2021年6月に閣議決定された政府の「経済財政運営と改革の基本方針2021(骨太の方針)」にも「選択的週休3日制」という言葉が盛り込まれるなど、最近何かと話題になることが多いが、実は一口

          「週休3日制」いろいろ

          異動範囲を労働条件として明示することに意味はあるか?

          厚生労働省が、入社後に異動の可能性がある範囲を、労働者に事前に明示することを義務づける検討を始めた。 労働条件を明示する際、最初の勤務地、職務だけでなく、将来的に異動可能性のある範囲まで示すことで、コミュニケーションの齟齬を未然に防ぎ、勤務地限定、職務限定といった多様な働き方を後押しする狙いがあるという。 ただ、今回の明示義務化について、「会社の定める場所」という曖昧な表現も許容されているため、本質的にはこれまでどおりの運用と変わらず、何の意味もないのではないかという声や

          異動範囲を労働条件として明示することに意味はあるか?

          テレワーク、強制転勤廃止は「知識創造」という日本企業の強みを奪うか?

          昨今、新型コロナ禍の影響もあり、テレワークの普及や、強制転勤の廃止など、世の中の働き方が大きく変化している。 一方で、こうした働き方の変化は、特に人材の育成面(知識の共有や、新しい知識の創造)において、これまで日本企業が培ってきた強みを奪うのではないか、という議論もある。 テレワークに関して言えば、これまで同じ場所で密に集まって働いていたからこそ伝承できていた知識、あるいは、生まれていたアイディア、イノベーションが失われてしまうのではないか、という声も聞かれる。 また強

          テレワーク、強制転勤廃止は「知識創造」という日本企業の強みを奪うか?

          「個人パーパス」という綺麗ごとの先に

          今回は、日経朝刊の投稿募集企画で、「#あなたの個人パーパスは」というテーマが取り上げられていたので、それに関連する意見を投稿したい。 「個人パーパス」はちょっと重いパーパスとは「存在意義」という意味の言葉だ。 会社がある特定の目的を達成するために集まった集団である以上、それを「パーパス」と呼んでいるかどうかは別として、その組織の存在意義は大抵の場合、言語化されている。 参考記事:パーパスだとか、カルチャーだとか 最近では、こうした会社のパーパスだけでなく、そこに個人の

          「個人パーパス」という綺麗ごとの先に

          マイノリティのために働き方の選択肢を増やす意味

          昨今、様々な企業で多様な働き方を可能にする制度が導入されるようになってきた。 その背景として、個人の就業観の変化や、少子高齢化・グローバル化が進む社会環境下で多様な人材に活躍してもらう必要性が出てきたこと、また情報技術といったテクノロジーの進化によって、今までできなかった働き方が可能になったことが挙げられる。 かくいうサイボウズも、働き方の選択肢を増やしてきた企業の1つであり、現在、社内には多様な働き方の人たちが存在している。 無期雇用社員(正社員)のなかにも、週4勤務

          マイノリティのために働き方の選択肢を増やす意味

          「管理職」にも、チームワークを

          会社が人の集まった組織である以上、多かれ少なかれ、そこで働く人たちのマネジメントが必要になる。そして、多くの企業では「管理職」と呼ばれる人たちが、各職場の人材マネジメントを担当している。 この人材マネジャー、いわゆる「管理職」の人たちは、社内で人事制度が機能していくうえでも、非常に大きな役割を果たす。 上記の記事では、会社に在宅勤務制度が導入されても、現場のマネジャー(上司)のマネジメントスタイルの違いによって、テレワークができる職場とできない職場がある、という実態につい

          「管理職」にも、チームワークを

          「全社員ジョブ型」に問われる覚悟

          昨今、「ジョブ型」の人事制度を標榜する企業が出始めている。 その背景には、グローバル化やデジタル化が進む現代社会において、企業競争力を高めていくために、年功色の払拭や、専門性の向上、会社間の人材の流動性を高めていく等の狙いがあるという。 今回は「ジョブ型」「メンバーシップ型」という言葉の生みの親である濱口桂一郎氏の『ジョブ型雇用社会とは何か』を中心に、幾つかの参考文献を踏まえながら、会社が「全社員ジョブ型」に変えていくことで、個人や会社、社会にとって、どのような覚悟が必要

          「全社員ジョブ型」に問われる覚悟

          パーパスだとか、カルチャーだとか

          昨今、企業の向かう方向性や大切にしている価値観を再定義、言語化しようとする動きが出始めている。 もちろん、その理由は企業によってさまざまだと思うが、上記の記事では、多様な人たちが活躍できる組織にするためには、理念をしっかり言語化していくことが必要だと語られている。 似たような環境で育ち、似たような言葉を使い、似たような働き方をする人達で阿吽の呼吸をとる。 そんなやり方が難しくなってきた今の時代だからこそ、自分たちはどんな方向を目指しているのか、そして、どんな価値観を大事

          パーパスだとか、カルチャーだとか

          情報技術で「正社員改革」に福音を

          昨今、改めて日本の「正社員」のあり方について、見直していくべきだという声があがっている。 日本社会における「正社員」は、諸外国における「正規雇用」と比べても変わった特徴を持っており、その特徴が日本社会特有の問題を引き起こしているとされる。 今回は日本と諸外国との違いや、自社の事例も踏まえながら、日本の「正社員」が孕む問題と、その処方箋について考えてみたい。 「正社員」とは何か雇用形態の分類に「正規雇用」「非正規雇用」という言葉がある。 国際的に標準的な定義として、「正

          情報技術で「正社員改革」に福音を

          「心理的安全性」という夢物語を追って

          昨今、改めて「気兼ねなく意見を述べることができる」組織風土を構築していくことの重要性が注目されている。 今年の4月に品質不正問題が発覚した三菱電機の調査報告書には、「長く続く不正で、発覚すると大変な問題になるため、怖くて言えなかった」「下手につっこむと生産が成り立たないかもしれないため、具体的な内容は確認しなかった」といった言葉が並んでいた。 「気兼ねなく意見を述べることができる」組織体制を作っていくことは、会社のガバナンスを強化するという観点からも必要不可欠になっている

          「心理的安全性」という夢物語を追って