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反論する時のコミュニケーションのコツ②
皆さん、こんにちは。長野県の回復期病院で理学療法士として働いている竹中寿史です。
今回は、前回記事の「反論する時のコミュニケーションのコツ」の続きです。
前回は、意見が対立した時は、まず自分の意見を伝える前に相手の意見の理解に徹することが必要と書きました。
なぜかというと、相手の意見を理解しないと、自分の意見を聞き入れてもらえないからと書きました。
その上で今回は、相手の意見の理解をした後に、自分の意見を伝える時のコツを書いていきます。
(前回記事はこちら)
よろしくお願いします!
「私は〜と思います」の型で伝える
相手の意見を理解して、相手が自分の意見を聞いてくれる状態になった時にどう伝えるか。
その時のポイントは2つあります。それは、
・Iメッセージで伝えること
・〜さんはどう思いますか?と質問を最後に加えること
の2つです。
1つ目は、Iメッセージで伝えることです。
Iメッセージとは、「私は〜と思います」という型で自分の意見を伝えることです。
Iメッセージで伝えることで、自分の意見はあくまで自分の考えです。そのため、必ずしも正しいというわけではありません。という意味で伝えられます。
反対に断定を使用すると、主張が強くなり、それがいかにも絶対正しいというニュアンスが生まれます。
そのため、意見が対立した時に自分の意見を断定口調でいうと、相手の意見を否定している印象を与えてしまいます。
例えば、こんな感じです。
A「スイカって美味しいよね。あのみずみずしさが夏にはぴったりでさ。」
B「いやいや、メロンの方が絶対美味しいって。メロンの甘さが一番だよ。」
これは、Bさんが断定の主張をしています。
これを聞いたAさんはどう思うでしょうか?
「スイカも美味しいのに、なんでいかにもそれは間違っているような言い方をされないといけないのか。」と感じると思います。
まあ、正直この程度の話の内容であればあまり気にも留めない人もいると思います。
しかし、普段の仕事で、患者さんの問題点や今後のリハビリの進め方で意見が対立した時には話が違います。
A「この患者さんはまずは筋力を上げることが先決だよ。」
B「いやいや、まず病棟でのADLの自立度を上げないといけないでしょ。」
このように断定口調でお互いが意見を言い合うと、議論にならずただの口論になります。
その結果、二人が納得する答えに辿りつかないのです。
だからこそ、意見が対立した時にこそ、Iメッセージを使うと良いです。
そうすることで、あくまで自分の意見はこうですよ。あなたの意見も尊重していますよ。というニュアンスが伝わるため、建設的な議論になるのです。
「〜さんはどう思いますか?」と余白を作る
伝え方のポイントの2つ目は、自分の意見を伝えた最後に「〜さんはどう思いますか?」と問いかけることです。
「どう思いますか?」と伝えることで、自分はあなたの意見を聞く姿勢がありますよというメッセージを伝えることが出来るからです。
相手の意見を受け入れる余白ですね。
この相手の意見を聞く姿勢がありますよと伝えることで、相手も自分の意見も聞いてくれるんだと安心します。
このようにお互いが自分の意見を理解しようとしてくれていると思うことで初めて、建設的な議論になるのです。
Iメッセージで伝えることと「〜さんはどう思いますか?」というように余白を作ることで先ほどの会話はこのように変わります。
A「この患者さんはまずは筋力を上げることが先決だと思うんですよね。」
B「なるほど。Aさんは筋力を上げることがまず大事だと思うんですね。
私は、まず病棟でのADLの自立度を上げることの方が優先度が高いと思うのですが、Aさんはどう思いますか?」
A「自立度を上げることは確かに大事ですね。でも、筋力を上げないと自立度も上がってこないんじゃないかと思うんですが、どうですか?」
B「そうですね。自立度を上げるには、筋力は上げないといけないと思います。その上で、病棟でのADL動作の訓練を行うことで筋力も一緒についてくると思います。その結果、能力が上がると私は思うんですよね。」
A「なるほど。それなら、ADL訓練を行っていくことに今は優先度を高くした方がいいかもしれませんね。ありがとうございます。」
何度も言っていますが、仕事上でこれだけが正しいなんていう絶対解はありません。
そのため、意見が対立した時こそ、相手の意見を理解し、尊重すること。そして、自分の意見を真摯に伝えることが大事です。
まとめ
・まず相手の意見の理解に徹すること
・「私は〜だと思う」とIメッセージで伝えること
・〜さんはどう思いますか?と問いかけること
この3つのポイントを使うことで意見が対立しても建設的なコミュニケーションになると思っています。
ぜひ皆さんも実践してみていただけると嬉しいです。
今回もここまで読んで下さってありがとうございました。少しでも日々の仕事や生活に役に立てば幸いです。
ではまた!