魔々勇々第5話「私の生きがいになってくれませんか?」感想(ジャンプ45号)

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あまりにインパクトがありすぎてサブタイトルを改変してしまった。
本当は「生きがいなんて無いのにね」が今回のサブタイトル。
まさかコルレオ過去一の勇者性をコミュニケーションスキルで見せてくるとは思わなかった第5話。

マママ関係を除いて、この記事で書いたまさに期待する要素を盛り込んでくれた。

エリシアの葛藤、窮地をコルレオの紋章の力で切り抜ける展開。
そして期待を遥かに超えるエリシアのヒロイン感。
これは看板漫画。
最初の3話にこのヒロイン出さなかったの凄いな。
女子の扱い、バトル描写、私の生きがいになってくれませんか?の3つをピックアップして感想いきます。

女子の扱いが勇者だったコルレオ

おいマママ、誰がモテないって?

2023年週刊少年ジャンプ42号

あなたが獣のような声を出して私を襲おうとしたからです!!!

「ぐァッ」程度で済んでよかった。
男子校卒業して大学で女子と初めて会話したときにテンパった結果こんなこと言われたら立ち直れないよ。
思春期に言われる台詞としてきつすぎる。
メンタルの立て直しの早さが勇者。

前回のテンパるコルレオは最高だったけど、コミュニケーションが取れない展開が続くのもストレスがたまるのですぐになじめてよかった。

俺は戦った事ないからすごく弱い。そっちは?

弱みの自己開示からの質問。
コミュニケーションスキルの成長力が完全に勇者。
「どうすればいいのかな…」
に対して、アドバイスするんじゃなくて自分も守れなかったという共感性の高いエビソードを出して「弱いから強くなりたいって思った」って100点だよ。
おかしいよ。女子に初めて相談されたら見栄張りながら偉そうにアドバイスするのが男子じゃないの?「話聞くよ」って言いながら食い気味に自分語りする失敗を経ずに包容力出せるのが勇者なの?
「母ちゃんもそう願ってんじゃねェかな」とか6歳上にどんな感情で言ってるんだ。
そりゃ突然敵も現れるよ。許せねえよ。

ご ごめんね私6つも歳下の子に

お姉さん属性と甘え上手の出し方がうますぎる。
青春漫画が得意な作者がバトル漫画描くとこうなるのか。
6歳差って大人になると強く意識しないけど、18から見た6個上か。
改めて林先生すげえな。
何かの扉が開いた少年たくさんいる絶対。

バトル描写

初の主人公のちゃんとしたバトル展開に、初連載と思えないくらい面白い要素が凝縮されていた。

パチン!!

突如間に腰掛けた謎の男に気付くことすらできていない不気味さがいい。
今の二人では勝負にならない敵。

ほのぼのしたトークとバトルの合間、静から動に移行するとき、普通はページをめくった瞬間に襲撃(せいぜい遠くから狙ってる感じのコマをはさんでから)ってなりそうなものだと思うけど、あえて1ページ使って、二人の間に完全な異物がいる状態を描くことによって不穏さ、格の違いを演出している。

2023年週刊少年ジャンプ45号
このコマの1ページの不気味さがいい

考えろ 状況!!

強さは変わっていなくても、経験から戦う以外の選択肢がないと決断できるようになっているコルレオ。
自分の武器は紋章術だけ、使えるようになる最善はエリシアに聞くこと、紋章術で少なくとも浮遊ができることは分かっている。
力技だけじゃない、他方で紋章術でしかできない撃破方法。
最初のバトルとして完璧な展開だったと思う。

「ありがとね」

2023年週刊少年ジャンプ45号
ここだけ見ると不穏だけど

逃げ続けた結果戦うことと向き合えず、敵が現れてもコルレオばかり見ていたエリシアが、初めて敵を視界に映しながら「ありがとね」ということで、戦うことを決意したという表現が巧みすぎる。
バトルをキャラの成長の媒介として使うという、個人的に一番好きな展開。

紋章術「剛豪力々」

エリシアが本当にただ弱かったらコルレオとの差別化もできないし、過酷な世界の勇者が能力なしではどんどん勇者の存在意義が薄れてしまうので、少なくとも戦える術があるのは良かった。
というかこっちの世界では最強レベルの強さでは。

魔々勇々と同様、紋章術の技名は音の繰り返し。
今後も技名をこのスタイルでいくとしたら楽しみだな。
西尾維新先生なら喜んで次々紋章術出しそう。

ストックというのが気になる。
MPみたいなものだということは分かるんだけど、紋章消えかけてるし、休めば回復するものなのか特別な補充手段が必要なのか。
エヴァンが言ってた「この世界の魔紋を利用したのか」って発言も地味に気になってたんだよな。
今まで使われなかったから常に魔王と勇者の手に常に表示されていただけで、使用した場合やなくした場合の対策もあるのかもしれない。

ん”ニュウ

どこの部位で受け止めたか音で表現するな。
紋章術は感情に呼応するんでしょ?
紋章のストック切れてなかったらコルレオこのラッキースケベで異世界飛んでってたよね。

私の生きがいになってくれませんか?

今週の圧倒的ハイライト。
台詞のパワーがすごい。完全にプロポーズ。
かわいい女の子がこのセリフを言うという時点でジャンル関係なく覇権漫画と言わざるを得ない。

真面目に考えると、当然ながらプロポーズとは意味合いが異なる。
母しか拠り所のなかった世界で最後に言われた言葉が「生きる甲斐が見つかりますように」
母の存在がなくなった今、すがるものはその言葉。

「仕事は辛いけど、週末の山登りが生きがいです!」みたいなライトな感じじゃない。
生きる意味そのものになってくださいという重いお願い。
空っぽの人生に意味をください。

生き延びることで精一杯の人生に楽しいことなんてなかった。
生きること自体が人生の目的だった。

でも人生はそんなにつまらないものじゃない。
「このために生きよう」と思える楽しいことや幸せがきっとある。

そんな母の想いを自分なりに受け止めたエリシアがたどり着いた答えが、コルレオにそれを委ねることだったのだろう。
母が全てだったエリシアは、未だ他者に生きる意味を見出す以外の生き方を知らない。
エリシアの本当の物語はここから始まる。

…と解釈した。
母の姿すら見せずに、モノローグだけでエリシアがいた世界の過酷さや母の想いが伝わる描写力に戦慄する。
マジで魔々勇々面白い。

「守る」ために強くなることを既に決めたコルレオ
「生きる意味」をこれから探すエリシア
ダブル勇者システム、いいんじゃないでしょうか。

目覚めたコルレオとエリシアの会話も気になるし他の勇者、魔王も気になる。
ジャンプ連載陣、今全体的に勢いがあると思うけど、その中でここまで楽しみできる漫画があるのは嬉しいなあ。

過去話感想
第1話 第2話 第3話 第4話

第4話感想の最後の「コルレオが自分の力で問題解決するシーンとエリシアとのいちゃいちゃに期待しながら来週を楽しみに待ちたいと思います。」が全て叶って至福の回でした。

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