「モノクロのふたり」の3話で希釈されない濃厚さが面白い!!
好きなものが詰め込まれてた。
タイトル見て、
「対象的な性格の二人によるラブコメかな?ラブコメメインの話はそんなに…」
って思ってちょっと読み始め遅れましたごめんなさい!
ラブコメ要素はあるけど、主軸はラブコメ以外のところに置いている、自分にとってどストライクの作品でした。
あらすじ
3話で合計140ページの大ボリューム。
しかし、その間の展開は、花壱が若葉のアシスタントに入り二人で読み切りを仕上げた、言ってしまえばそれだけ。
なのに濃い。
140ページ使っても希釈されない、創作への思いの濃さ。
原液レベルの濃さなのにカルピス原液と違って爽やかで飲みやすい。
「創作」という分野を超えて、好きなものに一生懸命取り組んだことのある人の脳天に突き刺さる台詞が次々に出てくる。
台詞以外にも魅力盛りだくさんでまとめにくいけれど、3つの観点から魅力を語ります。
魅力
①台詞の熱さ、②キャラの関係性、③「背景」という要素の扱い の3要素が特に好き。
①台詞に込められた創作への思いの熱さ
好きな台詞を上げるとキリがないので3つだけ。
・「おかげで毎日が忙しくなったけれど やりたいことに一生懸命な今が一番楽しいの」
わかる!わーかーるー!!
なんで仕事しながら、育児の合間をぬって感想noteなんて書いてるかって楽しいから。
自分が感じた「面白い」や「感動」を言葉にして出力する作業がたまらなく楽しいから。
夢を追ってるわけじゃないから若葉とは違うかもしれないけど、本質は同じだと思ってる。
本当に好きなことは忙しい時にやってても楽しい。
人が何かを楽しんでいるところというのは、外から見ても楽しい。
若葉と花壱がハードなスケジュールの中漫画を仕上げるシーンをストレスフリーで楽しく読めるのは、この二人が好きなことを楽しんでやっていることが伝わってくるから。
・「そこまで一生懸命『読み解いて』くれて…こんなに素晴らしい背景を描いてくれたのが…本当に…嬉しくて…」
若葉が感動したのは、花壱の画力の高さではなく、自分の作品に込められたメッセージを汲み取ってくれたこと、それを本気の絵で表現してくれたこと。
「読者」なんて一生できないと思っていた漫画に熱心な読者が現れたこと。
台詞の一文字一文字から想いが伝わってくる。
創作者が作品を読み解かれることをこんなに喜ぶというのは、感想書きとしても嬉しい。
少なくとも自分は、万一作者が自分の感想を読んでくれた時に、「自分はこう読みました」「この描写に込められたメッセージが好きです」ということを余すことなく伝えたいと考えて感想を書いている。
もしそれがうまくいったときに、作者が遠い画面の向こうで若葉のように喜んでくれるとしたら、こんなに嬉しいことはない。
・「物作りにおいて一番嬉しい瞬間は 作品が完成した時でも 最高のアイディアを生み出した瞬間でもない 一番嬉しい瞬間は 自分の作品で誰かの心を動かした瞬間だ」
この台詞に一番濃さを感じた。
次項目の【キャラの関係性】にも通じるこの台詞は、
・花壱の少年時代の母の反応
・花壱の絵が若葉の夢を再スタートさせた時
・花壱の背景が若葉の創作意図を読み解いていた時
なんと3場面で強調されている。
この漫画がどういう作品なのか、全力で教えてくれている。
この特濃な感動シーンは、序盤ならではの見せ場ではなく、モノクロなふたりのテーマなのだ。
自分が感動した「作品が誰かの心を動かす」というシーンは、これからも読み続けることができるのだ。
自分にとっては、この漫画の続きを楽しみにするのにこれ以上の理由は必要ない。
でも他にもたくさん理由はあるからもう少し書くよ!
②キャラの関係性
人知れぬ努力、苦しみ、隠した強さ、葛藤、成長を、誰かが見ていてくれて、それを認めてくれるシーンというのは、ジャンルを問わず心に響く。
味方の強さを味方が信頼しているシーンや、師匠が弟子を認めるシーンなんて正にその象徴。
一例だと
【金色のガッシュ】
グスタフのバリーに対する「お前は 王をも殴れる男になったぞ」
【HUNTER×HUNTER】
地味だけど、クラピカがレオリオを評して「間にあの男がいるだけで随分気が楽だ」
【魔々勇々】
コルレオがマママに言った「あんたが俺の母親で良かった」
【ワンピース】
ドルトンを担ぎきれなかったウソップの「おれはこれから本気パワーを出すところだったんだからな!」に対するゾロの「…ああ わかってるよ…」
反射で思いついただけなので、あげればキリがない。
そんな中、
これは正にそんなシーン。
しかも一方からのメッセージではなく両側から。
・花壱が、若葉が漫画に込めたメッセージを全力で読み取いたこと(=初の読者になった。しかも熱心な。)を、絵に込めて伝える
・若葉が、花壱が読み取ってくれたことに対する感謝を(=作品で心が動いたことを)、言葉を尽くして伝える
互いが一番欲しかったものを意図せずに与え合うシーン。
世渡りに長け、人に本音を伝えなくてもうまく生きてこられた二人。
そんな二人が互いへの感謝と尊敬をそれぞれの言葉や表現で伝える姿があまりに尊い。
そして、個人的に、「ストーリーに大きな軸があり、その達成過程にラブコメがある」という厄介な自分のこだわりに完全合致する2人の関係性が尊い。
③背景って面白い
漫画が好きなのに、背景の重要性なんて今まで考えたことがなかった。
この漫画のおかげで、それが果たす役割や思い入れを知れた。
それは、漫画を読む楽しみが増えたということに他ならない。
難しい漫画だと思う。
だって、「背景大事ですよ、背景が違うとこんなに与える印象が違うんですよ」とハードルを上げた後に、「はい!これがその背景です!」と実際にその背景を見せるのだから。
でも、第3話の海は、間違いなくそのハードルを越えていた。
※ぼかしてるから本物は↓のリンク先へ!
眩しい。
絵のことなんて何も分からない自分でも、この海の眩しさがなければこのシーンの感動が表現できないことくらいは分かる。
読んでない人早くジャンプラに飛んで!
この先もこういう展開で進むのかは分からないけれど、このシーンと直前の若葉が花壱に感謝を伝えるシーンは、「この漫画は絶対にこの先も面白い!」と確信できるシーンだった。
まとめ
書ききれなかったけど、画像のとおり若葉はかわいいし花壱はかっこいい。
キャラ立ちばっちりのこの二人が、漫画を通じて互いの心や別の読者の心をどう動かすのか楽しみで仕方がない。
これが第3話まで無料!というかジャンプラなら基本初回は全話無料!
今(投稿日)に読み始めれば、なんと続きが次の日曜日に読める!すごい!
作品内では人物と背景を二人で分担してるのに実際は作者一人で描いているという偉業。
日曜日の楽しみが増えました。
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