ダイの大冒険=人生のバイブル【鷹嶺ルイ同時視聴③】
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鷹嶺ルイさんによるダイの大冒険同時視聴を終えての感想第3弾です。
アニメ第14話〜20話(フレイザード撃破)までの話しかしません。
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正直、前回のポップが良すぎてさすがに次からは多少失速すると思ってましたすみません。
加速すると思わなかった…
今回はクロコダイン、フレイザード、ヒュンケルが特に熱かったのでこの3人メインで。
いくらなんでも名言が多すぎる。
20話まで見た自分と見る前の自分で人生の厚みがまるで違う。
この世には二種類の人間がいる。
ダイ大を履修していない人間と、履修した人間だ。
クロコダインーーー!!!!
言ってることは全部かっこいいし、登場シーン熱すぎるし、ダイを肩に乗せたりうまそうに酒のんだりするのはかわいいしで、全方位隙なし。
「ヒュンケルよ、俺は男の価値というのはどれだけ過去へのこだわりを捨てられるかで決まると思っている。たとえ生き恥を晒し万人に蔑まれようとも、己の信ずる道を歩めるならそれでいいじゃないか」
か、かっこよすぎる…
少年漫画の「あれだけ悪事を働いた人間がどの面下げて正義の味方ぶってるの?」というツッコミに30年前に答え出てた。
ベジータ、飛影、かっちゃんに「でもキミ昔さあ…」とか俺がニヤニヤしながらチクチク言ってる間、彼らは万人に蔑まれる覚悟で己の信じる道を歩んでた。
俺恥ずかしいよ…
クロコダインがヒュンケルにこれを言ったのがまた熱い。
ヒュンケルは、クロコダインの一度誇りを捨ててまで汚い手で勝利を得ようとしてしまった過去も、それにこだわらずダイを助けにきた姿も知っているから。
男の価値を示して言うこの台詞、もはや展開に感動するって次元を超えて人生の指針にしたい。
他者からどんな言葉を浴びせられても、それが自分の信じた道ならば足下が揺らぐことはない。
信じ抜くのは難しいけれど、揺らぎそうになったらクロコダインを思い出せばいいのだ。
「痛恨撃とは、名前が物騒でいかんのう。獣王会心撃とでも改名したらどうじゃ」
「そいつぁいいな、ありがとよ、じいさん」
痛恨が会心に改名するのさすがに熱すぎる。
ルイ姉と完全に感想がかぶってしまうんだけど、ドラクエやってて本当に良かった。ドラクエをやってからダイの大冒険を見られて本当に良かった。
豪快に笑って嬉しそうに受け入れるクロコダインを見て何故か涙が出てくる。
「助けに来た」とは言えても「お前の仲間になる」とは言えないクロコダインが、技名で仲間になったことを示すのが粋。
熱いだけじゃなくて、「ダイの大冒険ってすげえ…」って心から思えるシーンだった。
メガンテもそうだったけど、「ドラゴンクエストという偉大な作品のエッセンスを、最も面白い形で漫画という媒体に出力しよう」という真摯な思いが伝わってくる。
フレイザード
単純に悪役としてのカリスマがあって良かったんだけど、単なる悪党じゃなくて手柄にこだわる理由の切れ味が半端じゃなかった。油断してた。
「俺の人格には歴史がねえ。ハドラー様が俺を作ってからまだ1年足らずしかたってねえ。だから俺は手柄が欲しいんだ、たとえ100年生きようと1000年生きようと手に入らねえくらいの手柄がな!
同情なんていらねえよ!勝利の瞬間の快感が!仲間の羨望の眼差しが!!この俺を満たしてくれるんだ!」
テンプレ悪役だけどそれがいい!くらいに思って見てたフレイザードが、突然言葉の空裂斬放ってきてぶっ刺さってしまった。
「手柄」の部分を、当時なら「出世」に、今なら「承認」に置き換えると、自分に自信のない人間全員吐血必至の破壊力。
少なくとも俺はコアが真っ二つにされて立ち上がれなくなった。
フレイザードは単に積み上げた歴史がないだけだが、「よって立つものがないから、自分で自分を認められないから、他者に羨まれる何かが欲しい。」という渇望を笑える者がどれだけいるだろうか。
「オイオイ、手柄手柄って分かりやすいほど短絡的な奴だなあ」とか思って見てたらこれだよ。
今より読者の年齢層が低かったはずの週刊少年ジャンプでなんつー台詞吐いてくれてんだこの男は。
結局、他者からの評価を求めても、それに伴う中身が自分になければ虚しいだけなんだよな。
クロコダインの、自分の信ずる道を歩めればそれでいいって台詞も同じことを逆の方向から言ってるようなもんだし、大事なことを色んな角度で教えてくれる作品だぜ…
ヒュンケル(とその背中を押す人達)
ヒュンケルの誠実に改心してるところが本当に好き。
「フン、別にお前の為じゃない」みたいに捻くれず、自分の過ちを認めて命を賭してダイ達のために行動する姿がかっこいい。
「俺の命全てを振り絞ってもいい。我が師アバンよ、この不出来な弟子に最後の力を!」という言葉にそれが集約されてる。
ちゃんと己の信ずる道進みすぎやろ…
そして、それを認めて背中を押すクロコダインとレオナが熱い。
グランドクルス!!
うわあああああ!!!
なんなんだよ!ドラクエ6一番好きなくせになんで俺はダイ大未履修だったんだよ!!!火炎切りもギガスラッシュ(多分)もグランドクロスもダイ大かよ!!!
これ当時読んでたらドラクエ6やってるとき鼻血止まらなかったよ!!!
…と思ったけど、まあ今これだけ興奮できてるしむしろ大人になってからアニメ見られて良かったなと冷静になって思う。
「あなたには残された人生の全てをアバンの使徒として生きることを命じます。
友情と正義と愛のために、己の命を賭けて戦いなさい。
そして、無闇に自分を卑下したり、過去に囚われ歩みを止めたりすることを禁じます」
「レオナ、頼む、なんかいい感じのこと言ってくれ!この不器用な男を肯定してくれ!」
と思ってたらこれ。
なんかいい感じってレベルじゃない。
この王女、人生2周目でしょ。
過ちを後悔して真っ当な道を歩きたい、だけどその資格が自分にはない、と思っている人にこれ以上ふさわしい言葉は存在しないんじゃないか。
クロコダインの言う「己の信ずる道を」はできてたけど、「過去へのこだわりを捨て」の部分ができていなかったヒュンケルに前を向かせたのはこの言葉だと思う。
その他
・マトリフ師匠とポップの師弟関係てえてえ。アバンにマトリフと同じ指導されたらポップはシュン…ってなっちゃうからね。世捨て人のマトリフだからこそポップの負けん気を引き出せたってのがいい。
・ハドラー様格下以外と対戦するとすぐ動揺するじゃん。でも、魔法と体術両刀派なのに魔法が効かないという状況で、片方の心臓犠牲にして勝ちに行く判断力とかやっぱり好き。ここぞというタイミングで全戦力投入する指揮官としての有能さも。
・「斬った。手応え、あり。」の納刀からつながる次話の「今すべてを斬る」のサブタイトル。ダイの主人公力が留まることを知らない。紋章なしの地力をとんでもないスピードで伸ばしつつ。怒り以外でも紋章が発動するようになるという成長の仕方、完全に勇者。
・普通、人たらしって主人公に付与される属性だと思うんだけどマァムがその役割を担ってることでダイの勇者としてのかっこよさが引き立ってる気がする。フレイザードにまで同情するマァムの包容力、守備範囲が広すぎる。
同時視聴感想
とにかくまずはこの1:50:45〜をみてほしい。
クロコダインとヒュンケル(特にクロコダイン)の救援に盛り上がる姿から摂取できる栄養素で、一ヶ月は絶食しても生きていけると思う。
かつての敵がダブルで登場するこの回を神回と喜ぶ様に古参のダイ大ファンも後方腕組みせざるを得ないかと。
加えて、ドラクエ要素を生かした演出に涙が出るほど興奮したり、ダイの道を切り開く姿と時折見せる少年っぽさのギャップを熱く語ったりと、今回の同時視聴もオタクが好きな作品を心ゆくまで語り合う時の至福が凝縮されておりました。