アンサートーカー考察1(効果、能力定義)

ガッシュ2の感想を見ると、清麿が今もアンサートーカーの能力を持っているか気にする人が多いので考察。長くなるので記事を分割。1で能力を定義し、2でガッシュ2に当てはめて考察する。

2はこちら


アンサートーカーとは


「答えを出す者」と書いて「アンサー・トーカー」と読む。
理屈で考えて答えを出すのではなく、問いに対する答えが瞬時に浮かぶ能力。戦闘時の行動、機械操作、目的に応じた指導、文献解読など、適用範囲は多岐に渡る。

作中の説明


「動きを予測、予知するのではなく、「どうすればよけられるか?」「どうすれば攻撃を当てられるか?」の答えが瞬時に出せる」(ゼオン)
「数学ならば、数十ケタの計算はもちろん、超難問の公式や未解明の定理なども、答えがすぐに「頭に浮かぶ」。その力はあらゆる分野にて発揮される。医学ならば病を治す術を見つけ、初めて見る機械やコンピュータも、完璧に使いこなす。天気図を見れば、天気予報もできる。」(ナレーション)


能力所持者


1  デュフォー


      先天的に能力所持。その能力ゆえに、幼少時、母から研究期間に自身を1万ドルで売られ、青年になるまで研究施設で過ごす。

2  清麿


      死の危機に瀕したことで発現。脳への負荷から一度失い、本当のピンチにしか発動しないようになった。その後、デュフォーから、安定させ、自由に引き出せるようになるための訓練を受け、クリアとの決戦時は実際に自由に引き出した。

番外 アポロ


     アンサートーカーとは異なるが、敵の動きを読み、察知する能力を持つ。この能力でデュフォーの動きを予測してロップルに攻撃させたが、デュフォーはゼオンの技に頼らず回避。戦闘においては、「予測」ではなく「答え」を出せるアンサートーカーのほうが上位能力であることが分かる。

作中の活用場面


1  初出


      アポロ戦のデュフォー(77話)。上記の回避場面のほか、ロップス最強技のディノ・リグノオンによる巨大岩石の嵐を、ザケル一発でそらす弱所を見抜く。

2  2回目


      ファウード編における清麿(254話以降)。リオウの激烈な攻撃を受けて一度心臓が止まり、その後復活したことで発現。他の仲間メンバーが苦戦したロデュウ、ジェデュンを戦略の上で圧倒。使ったことのない技の性能も把握して使いこなす。
        続くゼオン戦も、技を避ける答え、技を当てる答えを出し続け、デュフォーが参戦するまではガッシュとゼオンの実力の上での格差を埋める指示を出し、ゼオンにテオザケルを当てた。

3 その他、アンサートーカーで何らかの答えを出した場面(バトル場面は多すぎるので一部割愛)


・治らないとされていた病につき、近場の動植物から作れる治療薬の調合、投与(275話、デュフォー)
・未解明の古代文字解読(277話、清麿)
・クリアに勝つためのガッシュ達の指導方法(293話、デュフォー)
・清麿の家の場所(293話、デュフォー)
・クリアの回復の程度や隠された力(304話、デュフォー)
    ただし、本体を見ていないため、正確な回復度は分からない。完全体の力が分からない点については、実物を見ていないからなのか、アンサートーカーでも答えが出せないのかは不明。
・クリアの遠距離攻撃の性質(305話、清麿)

発現時の外見


    目がぐるぐるの渦巻き状態になる。が、アンサートーカーを所持していない他のキャラもなるし、逆に清麿の初発現時はぐるぐるになっていないなど、外見だけで100%発現を見極められるわけではない。

能力の考察


要素を挙げた上で最後に能力を定義してみる。

・推理との違い


    活用場面から分かるように、答えに至るための知識を本人が必ずしも持っている必要はない点で、推理とは異なる。デュフォー視点で、清麿の家は推理ではさすがに分からないはず。
    ここが単に賢い人との一番の違い。賢い人は、少ない情報を組み合わせて答えを出せる(アンサートーカー前の清麿がこれ)が、アンサートーカーは、問いさえあれば本人の持つ情報がゼロでも答えが出せる。ただし、以下で述べるとおり制限はある。

・答えに至る過程は分からない


   デュフォーがゼオンに、「その答えを出した過程がわからん。何があった?」と言っている。あくまで結論が分かるだけで、なぜ?という点を明らかにすることや、人の心情を読むといったことには使えないようだ。あらゆる問題に答える能力じゃないの?というツッコミは野暮というものだろう。

・回答精度のばらつき


    正確な答えのためには、問いの対象を見る必要がある。見なくていいなら、天気など天気図を見なくても分かるはず。クリアの回復状況も、クリアを直接見ていないデュフォーは正確にはわからなかった。

・「答え」ではあっても「最適解」ではない。


    デュフォーが「オレが奴よりも優れた答えを出し続ければ勝負はつく」と話していることから、複数の答えがある場面(戦闘時の攻撃を避ける、当てる方法など)で、ベストな答えが出せるとは限らない。

・意識外からの攻撃にも発動する


    チェリッシュの狙撃をデュフォーが察知したシーンなどは、問いも何もない気がするが、デュフォーレベルになると、「攻撃を回避するには」との問いを常に意識の片隅に置く、という使い方もできるのかもしれない。

・不可能な問いに答えは出せない


    デュフォーといえども、北極に置き去りにされ、施設ごと爆破されそうになった際の脱出手段の答えは出せなかった。

・未来予知はできない。


   バトル中、あたかも予知しているかのような動きも見せるが、予知とは明確に異なる。現在情報から導かれる相手の次の行動に対する自分の適切な行動が、答えとして頭に浮かぶに過ぎない。
予知であるならば、クリア戦の清麿は、「金色の本の能力が発動して勝つ」という答えが出せるはずである。

・人間界以外の情報は回答範囲に入らない


    クリア戦の金色の本もそうだし、魔界の状況等をアンサートーカーで明らかにした描写は見当たらない。あくまで人間界に存在する情報を前提に、人間界の中でできる範囲の答えを出している。

・結論


   以上から無理矢理定義すると、
①問いを設定した場合に発動
②「人間界」に「現在」存在する情報から答えが導ける場合に、答えが瞬時に浮かぶ
③「答え」だけが分かり、理由や過程は分からない
④答えの精度は、問いに関する実物を見ないと下がる
⑤物理的、論理的に無理なものは無理
⑥人間界以外からの新要素は織り込めない
⑦⑥がある以上、描写されていないだけで、例外は存在し得る。つまり、不確定な要素により回答が変わる可能性はある。

と整理できる。
清麿がゼオンにテオザケルを当てたシーンを例にとると、
①ゼオンに攻撃を当てるには?(問いの設定)
②ゼオンの「現在の」能力、体勢、位置から、瞬間移動して清麿の背後に来ることが導かれる→「ガッシュに清麿の方を向かせてテオザケルをすれば当たる」という回答が瞬時に浮かぶ(清麿はゼオンの能力を知らなくていい。頭に浮かぶのは「俺に向いてテオザケル」のみ)
③ゼオンに会ったことがない段階でバトル展開を考えても精度は低く
④地球の反対側にいるのに、今すぐ当てるには?と考えても答えは出ない(不可能だから)
⑤例えば突然魔本が現れて「戦闘中止」と言い出すような事象は、実際に起きるか否かを問わず、回答の前提にはならない。

余談

「予知」「めっちゃ賢い」「結果オーライになる」という能力は良くみるが、「答えが見える」という能力は、自分が知る限り他の作品では見たことがない。答えが出る以上、裏をかかれるといったことはありえず、ともすればバトルの緊張感を失わせかねない、作者視点では扱いの難しい能力である。それを元から知力を武器にしていた清麿の覚醒能力として設定し、最後まで作品の緊張感を失わせなかった作者の手腕は恐ろしい。ガッシュという作品の偉大な点の一つといえる。
チート能力なのは間違いない一方、「答えが出ない」という結論も瞬時に出てしまう。ただし、上述したとおり、「答えが出ない」という答えが出たとしても、未知の要因により答えが変わることもあるため、能力使用者にはどんなときにも知恵を駆使して困難に立ち向かう精神力が求められる。
賢いだけでなく、勝ち目が見えなくても仲間のために戦い続けることができる強い心を持った、清麿のために生まれたといっても過言ではない能力である。


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