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《築地明石町》 鏑木清方
今少し
身構える気配
時に向かって
日本画を見ていると
描かれた当時の人たちと
絵の捉え方が違っている気がします。
例えば、
着物を日常的に着ている人は殆どいませんから、
柄や着こなし方など、
当時の人の見方とは、ずれがあるように思います。
日本画の顔に陰影が少ないのは、
もしかしたら白粉(おしろい)に
関係があるのかなという想像はしますが、
当時の白粉の普及具合がわからないため、
あくまでも空想に過ぎません。
もちろん、今とでは化粧のやり方も全く別物だと思います。
背景にサラリと描かれることがある家屋にしても
現代の個人の家で
屋根を入母屋、壁を漆喰にして建てる人がいれば
「うわ、費用を掛けているな」と思いますが、
当時であれば普通の家屋に過ぎないのかも知れません。
だいたい、私の周辺で、
入母屋の新築なんて何年も見ていません。
ただ、この描かれている人物についての、
「画面の外の何を見て、どんな心情なんだろうか?」
という心映えの想像は
今も、昔もそんなに変わらないのだと思います。
だから、絵の良さが伝わってくるのではないでしょうか。
【美術詞】短い言葉でアートを表現