松野 善雄

2014年から、和歌山の山里で田舎暮らしをしています。 自然環境の良い所でのんびり暮ら…

松野 善雄

2014年から、和歌山の山里で田舎暮らしをしています。 自然環境の良い所でのんびり暮らしたいと考えたのですが、 2018年に病院で思いもかけない「事件」に巻き込まれる事になりました。 その余りに常軌を逸した内容に、多くの皆さんに真実を知って頂きたいと思い、 ブログを始めました。

マガジン

  • 健康と文明病

    「文明病」が注目されるようになったのは早くも19世紀、ナポレオンに仕えた医師スタニスラ・タンシューが、当時の死亡記録を分析して、地方よりもパリのような都市部でがんが多発していることに気付いた事に始まると言います。当時はヨーロッパ全域で、がん患者が増えていたのです。そして20世紀初めには、「文明病」と言う考え方が世界中に広まって行きます。今回は、「健康と文明病」と題して、現代人の健康に深く関わる生活習慣病ついて考えてみたいと思います。

  • 遺伝子決定論は正しいか?

  • 医療現場で乱用される向精神薬

最近の記事

健康と文明病 ⑭(狩猟採集から文明へ)

文明誕生とユートピアの喪失  狩猟採集民は、ホモ・エレクトス以来約 200万年に亘って、構成員が互いに助け合い支え合って平等社会を築いて来ました。しかし、約11700年前の最終氷期の終了と同時に起きた急激な気温上昇の中で始まった農耕の開始、即ち農耕革命・新石器革命とそれに引き続いて起こった文明の誕生は、長く続いて来た狩猟採集民のユートピアを崩壊させる事になります。狩猟採集から農耕への生活様式の転換が、社会の在り方を根本的に変えてしまったのです。 図110)グリーンランド氷

    • 健康と文明病 ⑬(狩猟採集と人類社会)

      発汗による体温調節  では、我々の祖先はどのような狩猟法を編み出したのでしょうか。それが、獲物が疲労困憊して走れなくなるまで執拗に追い詰めると言う、人類の特性を活かした独自の「持久狩猟」だったのです。意外な事ですが、野生動物は人類の様に長時間走り続ける事が出来ません。我々は、身体から発生する熱の大部分を、発汗によって発散させています。しかし、イヌが口を開け長い舌を垂らしてハーハーと激しく呼吸している様子を見ても分かる様に、毛皮で覆われた四足動物は呼吸を利用して体温を発散させ

      • 健康と文明病 ⑫(酸素濃度の大変動と二足歩行)

        呼吸を制約する四足歩行  寄り道が多くなりましたが、今回は我々の二足歩行が如何に優れているか考えて見たいと思います。日々二足歩行していると、その優れた点を自覚せずに過ごしてしまいますが、実は四足動物は歩行や走行時の呼吸に大きな制約を受けているのです。 図91)サンショウウオ  意外な事ですが、現生の両生類とほとんどの爬虫類は、走りながら同時に呼吸する事が出来ません。トカゲやサンショウウオの様に、胴体の両側に脚を突き出して這いつくばる様に歩く動物では、一歩踏み出すたびに胴

        • 健康と文明病 ⑪(二足歩行の覇者)

           200万年間も二足歩行を続けて来た猿人が、約200万年前にヒトに進化したのは、サバンナの捕食者となって獲物を追い駆け出したからだと述べました。では、誕生したばかりの我々の祖先は、どのようにして自分達より足の速い四足獣の獲物を狩っていたのでしょうか。それが、獲物が疲労困憊して走れなくなるまで執拗に追い詰めると言う、人類の特性を活かした独自の持久狩猟だったのです。 図84)疾走するチーター  私達はサバンナを疾駆する四足動物のスピードに圧倒され、走る点では二足歩行は四足歩行

        健康と文明病 ⑭(狩猟採集から文明へ)

        マガジン

        • 健康と文明病
          12本
        • 遺伝子決定論は正しいか?
          7本
        • 医療現場で乱用される向精神薬
          3本

        記事

          健康と文明病 ⓾(猿人からヒトへ)

          猿人とヒトの骨格  話がだいぶ横道に逸れてしまいました。人類が誕生した約200万年前に話を戻す事にしましょう。これまで述べてきた様に、約200万年前、人類の祖先が狩猟の獲物を追ってサバンナに走り出した事が、二足歩行する類人猿に過ぎなかった猿人を真の人類に進化させた訳です。これによって、類人猿の特徴を色濃く残した骨格を持つアウストラロピテクスから、現代人とほとんど変わらない骨格のホモ・エレクトスが誕生したのです。次の図81)と図82)を見比べれば、この変化が如何に大きかったか

          健康と文明病 ⓾(猿人からヒトへ)

          健康と文明病 ⑨(後期旧石器革命と気候変動)

          中期旧石器時代から後期旧石器時代へ  中期旧石器時代には、定型化した剝片石器の大量生産が始まっただけではなく、打ち欠いた剥片を整形する事で、非常に多種類の石器が作り出される様になります。アシュール文化では10種類程度だった石器の型式が、ムスティエ文化では小さなハンドアックス・剥片石刃・スクレイパー・尖頭器・錐・彫器など細かい仕事をする様々な石器が作られ、そのタイプが40種類にもなったのです。  こうした傾向は、約5万年前に始まる後期旧石器時代にそのまま引き継がれ、石刃技法

          健康と文明病 ⑨(後期旧石器革命と気候変動)

          健康と文明病 ⑧(投石による狩猟)

          投石と狩猟  では、武器としてのハンドアックスはどの様に使われたのでしょうか。謎の多いハンドアックスですが、使用方法に関して一つの興味深い仮説が有ります。それはハンドアックスを、フリスビーの様に獲物に向かって投付ける石弾として使ったと言うのです。この投石仮説は、それほど突飛なものでは有りません。実際に、獣皮を張った標的に投げ付けて実験すると、相当の威力が有ると言います。  実は、人類は文明以後にも投石を戦争の武器として、長らく使って来た歴史を持っています。古代ギリシア・ロ

          健康と文明病 ⑧(投石による狩猟)

          健康と文明病 ⑦(狩猟と石器)

          狩猟用の武器  アシューリアン石器が、大型薄片を再加工する事で作られた、一種の大型の剥片石器だった点は示唆的です。最初の石器であるオルドワン石器も、剝片石器が主体でした。さらに、アシューリアン石器と入れ替わる様に登場するネアンデルタール人のムスティリアン石器も、ルヴァロワ技法で石核から剥離した一種の剝片石器です。つまり、石器製作の主流は、オルドワン石器の誕生時から一貫して剝片石器だったのです。 図54)ルヴァロワ技法で作られた尖頭器と石核( 25~5万年前イスラエル、タブ

          健康と文明病 ⑦(狩猟と石器)

          健康と文明病⑥(謎に満ちたハンドアックス)

          ハンドアックスの出現と技術革新  猿人からホモ属への進化を媒介したオルドワン石器は、獣皮や肉を切る剥片を得る事が主目的で、石器の形状を前もって意識して作られたものでは有りませんでした。その為、出来上がった石器は、専門家でないと自然石と判別が困難な代物だったのです。ところが、約200万年前にホモ・エレクトスが登場してしばらくすると、最初から完成時のデザインを意識して作られた、いかにも石器らしい石器が突然出現するのです。皆さんも写真で見た事が有ると思いますが、アーモンド型や楕円

          健康と文明病⑥(謎に満ちたハンドアックス)

          健康と文明病 ⑤(牙と石器)

           話が少し横道に逸れてしまいました。ここで、これまでの流れを振り返っておきましょう。約200万年前に登場したホモ・エレクトスが最初の真の人類で、脳が小さい以外はほとんど現生人類に変わらない姿をしていました。しかし、その約30万年前にはヒト属(ホモ属)のホモ・ハビリスが出現しており、さらにその30万年前には頑丈型猿人として知られるパラントロプス類も登場していました。このホモ・ハビリスがホモ・エレクトスに進化したと考えられる訳ですが、両者は身体の骨格が全く違っていたのです。ホモ・

          健康と文明病 ⑤(牙と石器)

          健康と文明病 ④(ネアンデルタール人と進化論)

          ネアンデルタール人と現世人類との共存  前回、頑丈型猿人とホモ属が230~100万年前にかけて、130万年間も共存していた事実を指摘しましたが、実は皆さんも良くご存じのネアンデルタール人でも、現生人類との間で同じ事が起こっているのです。これまで、ネアンデルタール人は知能が低く愚鈍な原始人類で、優秀な現世人類のホモ・サピエンスによって絶滅させられたと言う物語が、繰り返し語られてきました。多くの方が、その様に理解しているのではないでしょうか。しかし、前回の図22)を見直してもら

          健康と文明病 ④(ネアンデルタール人と進化論)

          健康と文明病 ③(人類誕生)

          人類誕生  現代的な全身骨格の完成から、ホモ・エレクトスこそが最初に出現した真の人類であり、約200万年前のその登場によって人類は誕生したと言う事が出来ます。しかし、最初のヒト属(ホモ属)は、それよりも約30万年も早い時期に出現しています。それが、約231~165万年前に生息していたホモ・ハビリスです。ホモ・エレクトスの出現が約200万年前ですから、両者の生息時期は35万年も重なっていた事になります。  ホモ・ハビリスとは「手先の器用な人」の意味で、タンザニアのオルドヴァ

          健康と文明病 ③(人類誕生)

          健康と文明病 ②(走る狩人)

           前回、炭水化物への過度の依存が文明病の原因であると述べましたが、もう一つ重要な要因があります。それは運動不足です。こう言うと、多くの方はそんなことはよく知っていると思われる事でしょう。実際、生活習慣病に対しては運動不足の解消が盛んに推奨されています。しかし、ここで社会常識となっている運動不足について敢えて取り上げようと考えたのは、運動が私たちが想像する以上に健康や幸福に決定的な役割を果たしているからです。じつは、運動は脳の働きにも重要な影響を与えており、認知症や精神疾患とも

          健康と文明病 ②(走る狩人)

          健康と文明病 ①(炭水化物への依存)

           私事ですが、この5月に狭心症で緊急入院し手術を行いました。現在、体質改善のために様々な取り組みをしている所です。今回は、「健康と文明病」と題して、現代人の健康に深く関わる生活習慣病ついて考えてみたいと思います。 文明病の登場  「文明病」が注目されるようになったのは早くも19世紀、ナポレオンに仕えた医師スタニスラ・タンシューが、当時の死亡記録を分析して、地方よりもパリのような都市部でがんが多発していることに気付いた事に始まると言います。当時はヨーロッパ全域で、がん患者が

          健康と文明病 ①(炭水化物への依存)

          緩和ケアの闇---「安楽死」殺人ビジネスの実態(書籍)

           現在、日本の緩和ケアの現場では、末期がん患者を「持続的深い鎮静・セデーション」処置に掛け、短期間で「安楽死」させて金儲けをする医療ビジネスが蔓延しています。 緩和ケア病棟では入院料の定額制がとられ、入院期間が1ヶ月超えると段階的に引き下げられて、1病床当たり年間で最高1,900万円の入院料が、最低では1,240万円と、660万円も減額されてしまうのです。金儲けに走る悪徳病院では、入院患者を次々と「安楽死」させて、高額の診療報酬を獲得しているのです。  そこでは患者は入院直

          緩和ケアの闇---「安楽死」殺人ビジネスの実態(書籍)

          気候変動と大量絶滅(遺伝子決定論は正しいか? ⑦)

          気候変動と大量絶滅  太古代(始生代:40~25億年前)はじめに100℃近い熱水の中で誕生した生命は、次の原生代(25~5.41億年前)には一転して2度に亘る全球凍結(スノーボールアース)に見舞われ、 絶滅の危機を乗り越える度に、真核生物そして多細胞生物を進化させてきました。硬い殻を持ち高い運動能力を獲得した多種多様な海洋動物が一斉に進化してきた顕生代(5.41億年前~現在)に入っても、 地球は劇的な気候変動に見舞われ続け、生物はその度に絶滅の危機に直面してきたのです。そして

          気候変動と大量絶滅(遺伝子決定論は正しいか? ⑦)