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第40回全日本トライアスロン皆生大会【出場報告】

第40回全日本トライアスロン皆生大会
試合を振り返って
https://athkatsu.com/activity-report/14149/

トライアスロン発祥の地、鉄人皆生は特別な大会。22歳で皆生の存在を知り憧れた。23歳で初出場、24歳で年代別初入賞、25歳と3年連続出場。そしてコロナ禍が到来した。今年はそれ以来、3年ぶりの開催。

スタート前の会場

朝は3時起き。皆生の海を泳ぐつもり満々で気持ちを高め、いざ会場に向かい、バイクをセッティングすると… まさかのスイム中止⁉️マジかよーと落胆する想いと、変更になるのが1stラン6.9kmで、得意分野になったことで逆に高揚感が出た。そんなこともあるんだと思った。40年の歴史ある大会でスイム中止は今回で4回目らしい。雨も風も無い、夏の陽気なのに、波だけが高かった。神様は自分に何をせよ と言っているのか。必ず意味がある必然さを感じた。

荒波を確認。

スタート地点に並ぶ。

先頭に並ぶことができた。

スタートは朝8時00分から8時30分に変更。スタート前に福元テツローさんと握手。気合いが入った。テツローさんと同じスタート地点に立ててる嬉しさを感じながら、自分の精一杯を尽くそう!と心に決めた。八尾彰一さんからNoバトル宣言。

声を出さずに拳を天高く。気持ちを1つに。


毎年恒例。懸命尽くして天命を待つ。トップ選手はランニングも速い。だから、いけるところまで先頭集団に付いてみよう。皆生の海を背中に、選手に向けて号砲が鳴り響いた。

憧れの福元テツローさんと

スタートすると牽制し合う。先頭はどんなもんだろう?選手同士、体力温存したい気持ちがぶつかり合い、ペースが緩やか。

スタートダッシュ

このペースならいける!と思ったのも束の間。後方から物凄い勢いでペースアップする選手2名が現れ、先頭に立つ。ヤバい!速い!けど付いていこう!ギアチェンジしてペースを上げる。少しずつ後方の足音が遠くなると、先頭2名のペースが下がってくる。体力温存か?ペースが下がると、後方を走る集団に追い付かれる。一度下げたペースを上げるのは大変。後方の勢いは凄い。けど前に出たくない。前に出たら自分のペースでみんなが付いて来るはず。自分だけが体力削られる。それはヤバい。けど… 想いとは裏腹に。スタートしてから、まだ約2km。ペース維持をしたら、自分だけが前に出る形となった。単独走。

嘘やろ!ビビる自分と、このままいきたい!あわよくば、ランラップ1位も夢じゃない!?夢を描く。スタートして約3km、すでに暑い。苦しい。脱水。脚が止まり始める。ヤバい。この状況、一瞬でも気を抜けば、すぐ抜かされる。いけるところまで粘ろう。折り返し約3.50km11分42秒で通過。もう必死。ここまで来たら、勝ちたい。1stランだけでも良いから。体力が残らない閾値に到達したのを感じる。これ以上いけば、マジでヤバい。1stランだけで倒れてしまう。1stランで途中棄権?3年ぶりの皆生、まさかの時代。苦しい。暑い。極限域に到達すると、悪魔のささやきが聞こえる。もう止めても良いんだよ。1stラン10位とかでも良いじゃん。手を緩めたら?完走したいんでしょ。

約5km地点、一瞬立ち止まる。動けない。いや、動くんだ!気持ちが後ろ向きだったことに気付く。前を向け!前を!!あの先の角を曲がったらゴールだ!頑張れ。あそこまでイケ!後方とは相当距離が開いていた。けど不安と恐怖が自分を襲い、もっとペースを上げなきゃ!失速したら追い付かれる!焦りの気持ちは、自分を限界突破の次元まで導く。なんとしてでも!もうこれ以上いけば、体力が無い。1stランになるのは今年しかない!勝負するなら今この瞬間。諦めるな。折り返しで走るコースは多くの選手から声援を貰った。自分の走る姿でみんなに元気を届けたい!!気持ちが切り替わった。

再加速し、すべての筋肉を使い果たす勢いでラストスパート。ペースアップすると、あそこでゴールだからと思ってた曲がり角。実際は見通しが悪く、もう1km先だった。嘘だろ!もう体力無い。いや、やるんだ。魂で身体を動かす。心によるブレーキを突破する。再再ラストスパート。必死の次元を越え、決死の走り。魂の走り。自分の出番はここしかない!もう、これで終わっても良い。精根尽き果てるまでの走りは、復路3.4km11分33秒。念願の1stランラップ優勝🏆️自分の役割を果たせた。

勢いそのままに1stラン ゴール

ゴール直後はほとんど記憶が無い。給水係に仲間もパートナーも待ってくれていた。それも嬉しかった。内面は嬉しさで満ち溢れる。外面はすでに熱中症発症。水分が全く身体に入らない。めまいがする。頭痛がする。さて、この後のバイクはどうなることやら… コロナ禍の影響でボランティア数を減らす目的で140km→115kmに短縮された。115kmなら、世界選手権でスペインで走った距離とほぼ同じ。ただ練習量が少ない為、不安がいっぱい。トランジット(着替え)で100人くらい抜かれただろうか。

バイクはスタートしてから序盤は勢いに乗れずも、スタートから20km過ぎた辺りで感覚を思い出す。筋肉の使い方を思い出す。40km地点辺りから身体に馴染んでくる。体調も少しずつ戻ってきて、今日はイケるぞ!というモードチェンジ。下り坂の恐怖心は無くならず、前半戦は安全策。目の前で脱輪する選手や、沿道でパンク修理する選手や、救急車で運ばれる選手、トラブルがたくさんあるように見えた。1stランで、すでにフラフラな自分は、なんとか完走しよう…と落ち着いたペース配分。だったが、55km地点でふくらはぎを攣り、左膝が痛くなる。早っ!予想より早い痙攣だった。中山のエイドに向かうまでは峠越え。アップダウンの繰り返し。勢い付けて下って、勢いで登り切る。この辺りから段々、目の前の選手を抜かせるようになる。登りは自分の得意分野!踏み込んでいった。

バイクパート次第に慣れる

中山では初めて固形物を食べる。お昼ご飯かな。お米があったのがマジで美味しかった。感謝の気持ちを完走という形で体現したい。あと半分、帰り道。登り坂で踏み込んだ時でした。右のふともも前側を攣り、 裏側も攣り、踏み込めない。調子に乗ってアウターで登り坂に挑んでいたのが祟ったか。インナーの軽いギアでクルクル回して登る。全く前に進まない。タイム的に余裕はある。大丈夫。自分に言い聞かせながら。苦手な下り坂で勢いを出すには?考える。目の前の選手を追い駆けることにした。見通しの悪いカーブは全てでブレーキを掛けていたが、目の前の選手がそのままの勢いで曲がるのを見て、自分もイケるはずだ!と思い込み、ブレーキ掛けずに下る。今回はMAX62km/hのスピードが出ていた。もう恐怖しかない。けど、ここは乗り越えなきゃ。

アップダウンの連続が終わり、河川敷へ。もう間もなくゴールという場面。河川敷からUターンで短い登り坂、ギアが落とし切れておらず、重いギアのまま登った瞬間、次は右ふともも内側を攣る。痛い。けど前に進む。何人に再び抜かれただろうか。ゆっくりペースで前に進む。皆生のバイクが終わってしまう。寂しい気持ちも同時に感じながら。

河川敷では向かい風と戦う

2ndランニング。トランジットでみんなから「あれ?」皆生を観光してました!と言い訳。これが今の自分の実力。いざランスタートすると快調に走る。どんどん前に進み、5kmは楽々だった。けども動きが止まるのは突然に。次の1kmが遠い遠い。まずは水分補給を大切に。スポーツドリンク中心に身体に入れる。段々気持ち悪くなってくる。身体が受け付けない。思うように身体が動かず、苦しさからか、無意識に下を向いて走っていた。すると右頭から光を感じた。何だろう?見上げると、そこには福元テツローさんが笑顔で立っていた✨そんな奇跡ある⁉️内心、嬉しさが弾けた。足が痛いという雰囲気を一切魅せず、元気をくれた。1stランで渡した分、倍以上に増幅させて光を送ってくれた。次こそは光を送る側になりたい。がんばろ。

エイドが2km毎にある。次のエイドまで頑張ろう。次のエイドまで頑張ろう。動きにくくても立ち止まることなく、一歩でも前に進み続けていれば、必ずゴールに辿り着けるはず。スポーツドリンクは見ただけで吐きそう。お茶を飲む。水をかぶる。暑い。苦しい。痛い。折り返しまでは走り続けることができた。今年は42km→32kmに短縮。折り返しは約16km地点。折り返せば、すぐゴールが見える気がした。20kmまでは走り続けられた。でも、そこからが長旅でした。バイクで攣った右ふともも全域がランで再発。歩きたくはなかったので、自分の中の最大速度で。あと10km。普段なら長く感じる距離だが、あの速度でも短く感じた。もう今年の皆生が終わってしまう… そう想う度に、筋肉が悲鳴を上げる。ゴールが近付く度に身体の動きが悪くなる。

何人に抜かれただろうか。必死を越えた決死。力ある分すべてを使おう。痺れる痛み。ゴールが近付く。挑戦できた喜びと、開催してくださったことへの感謝、仲間やパートナーの声援への感謝。今日1日で人生が変わる。ゴールゲートが見える。入口前でチャンピオン井辺さんの声援。今回も辿り着けた。皆生のゴール。暑い日差し、足腰の痛みを耐え抜いた結晶❄️陸上競技場の景色、空気、雰囲気すべてを目に焼き付けながら、一歩、一歩を噛み締めながら。

皆生名物は同伴ゴール。みんな家族が居る。お子さんと一緒にゴールされる選手も居る。仲間が居る。皆生の鉄人となるスゴく大切で貴重な機会。速い、遅いは関係ない。チャレンジするかどうか。一生懸命頑張ったかどうか。陸上競技では足が遅い自分だけど、トライアスロンは自分を受け入れてくれる。弱い自分だけど、チャレンジする機会を与えてくれる。男を磨ける舞台を用意してくれる。「生きる」を体感することができる。

すべてを噛み締め、満喫した皆生。
#鉄人皆生2022 無事に完走できた。
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《結果》
1stラン(6.9km) 23分15秒 1位
バイク(115km) 5H15分27秒 360位
2ndラン(32km) 4H17分52秒 372位
【合計153.9km 9H33分19秒】
【総合順位 410位 / 930人中】

※ スイム3.0km → 1stラン6.9kmに変更
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最高の時間を有難うございました。

1年間の成長と頑張りを披露する場が皆生トライアスロン。来年は距離が元に戻ると思いますし、スイムがあるはず。ウルトラマン・トライアスロンも間近にあるだけに、来年の皆生ではすべての競技でハイパフォーマンスを発揮したい。

応援ありがとうございました。

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神戸の鉄人
松井一矢

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