不確実性に向き合う「エフェクチュエーション」という方法
経営や社会を独自の視点から観察し、組織や経営に関する基本概念の多くを生み出したのが、ピーター・ドラッカーである。ドラッカーは未来について重要かつ印象的なことを書いている。
われわれは未来についてふたつのことしか知らない。
一つは、未来は知り得ない、もうひとつは、
未来は今日存在するものとも、今日予測するものとも違う。
(『創造する経営者』1964年、上田惇生訳)
この『創造する経営者』は、経営に関する最も有名な書籍の一つなので、この一節を読んだ人はそれなりにいるであろう。未来に関する本質を鋭く表現した言葉に「さすがドラッカー」と感心した人も少なくないのではと思う。
実際、今世紀に入ってからも毎年のように、事前には到底予測不能な形で、大規模に災害や経済危機やテロや大地震やパンデミックが起きている。まさにドラッカーの書いていることは、実績上は全く疑いようががない。
しかし問題はここにある。このドラッカーが指摘し、実績上も疑いのないことを、正面から受け取っている人や組織が全くないことである。少なくとも私が知る限り、企業も政府も役所も、これを正面から受け取っていない。
企業、政府、役所が、今も基盤にしているのは、真逆な前提である。
「ある程度は、未来は知り得る。
だから既に知っている情報やデータを
的確に使えば予測や計画が可能である」
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