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松の冬支度
冬型の気圧配置が強まって、山では猛吹雪で、下界でも強めの寒風が吹いていた11月19日の土曜日。山には向かわずに大人しく下界におりました。noteの日付が前後しますが、そんな週末のお話です。
午前中はゆるゆると珈琲と読書で自宅に籠り、午後からのそのそとお出かけ。お目当ては国立のギャラリーで開催されている「ジパン具」という日本画の小規模展覧会でしたが、せっかくなのでと二つ手前の国分寺で電車を降りて、岩崎さん家の庭園に向かいました。殿ヶ谷戸(とのがやと)庭園です。
受付で150円を払ってお庭に。
広々としたお庭では、ちょうど庭師の方々が松に雪吊しを設られているところでした。
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雪吊しとこも巻きは、松の木の冬支度。寒風吹く日にその姿を目にして、季節の移ろいを感じられて心地よく、しばし職人さんの姿を眺めていました。
東京で、松の枝が折れるほどの大雪が降ることは滅多にありませんので、雪吊しは多分に装飾的ではあります。しかし、元々は実用の為に考えられたものでありながら、その姿は美しく、考えだされた先人の感性に敬服をいたします。
現代は装飾的であっても、その季節を感じる姿が美しければ、是非とも今後も残して頂きたいですよね。茶室では、木枯らし1号の頃に風炉から炉に火元が移るのも、そういった合理性と美の共演の名残りでしょうか。
そう言えば、細川さん家のお庭、目白台にある肥後細川庭園の雪吊しも美しい。
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一方のこも巻き。こちらも元々は、松の木を枯らす害虫であるマツカレハの幼虫を寒い時期に暖かなコモの中に集めておいて、春先にこもごと燃やして駆除するという、これまた合理的な処置のものでありました。ただ、最近の研究では、マツカレハの天敵、松にとっては益虫も一緒に燃やしてしまう、むしろそちらの方が多く死んでしまい逆効果と判明しているようです。確かに、松林の美しい、且つ手入れの行き届いた京都御苑や皇居前広場では最近はこも巻きを見ません。
いくら風物詩でも、その目的が逆効果なのであれば、やめた方が良さそうですよね。まだ、検証途上なのでしょうか?
さて、そんなことを考えつつ逍遥した殿ヶ谷戸庭園では、イロハモミジはまだまだ紅葉には至らず青々としており、藤袴は盛り過ぎ、石蕗がちょうど見頃となっておりました。
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殿ヶ谷戸庭園から国立へ向かう道すがらでは、ヒメジョオンでしょうか、おそらく花期の終盤の生命力を溢れさせていました。
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気候の変動が大きく四季が失われつつあると言われつつも、やはり日本の季節の移ろいは美しいですね。見過ごすことなくその変化を感じ、楽しみたいと思います。