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下界の紅葉を愛でる〜平林寺

9月に高山から始まった紅葉も、はや低山では終わりを迎えようとしています。今年の紅葉は比較的良かったのではないでしょうか。
私と言えば、今月初頭の御座山の紅葉黄葉の輝きが、余韻長く充足感をもたらして、敢えて混雑する低山に訪れようと思えずに今に至っていました。山では間もなく大好きな雪山シーズンの始まりです。
登山とは異なるもうひとつの趣味であるロードバイクで走るのも気持ちの良い季節で、五感で秋の空気を感じて楽しむ週末です。
11月19日も、荒川サイクリングロードをまったりと走って楽しんだ帰路、思い立って埼玉県新座市にある禅寺 平林寺(へいりんじ)に立ち寄りました。

受付を済ませて参道に踏み入れたとたん、予想外に早く進んだ紅葉が出迎えてくれました。

度々こちらで書いている通り、私は檜皮葺の建物が好きなのですが、こちらの山門は茅葺です。檜皮葺のような優美さは期待すべきもないのですが、瓦屋根や銅板葺と異なり、素朴で味わい深く、優しげな趣があります。
入り口に置かれている縁起によると、寺が元々あった岩槻から移築された地区350年の建造物とか。紅葉したオオモミジと調和します。

こちらの境内の楓は、オオモミジが一部あるほか、多くはイロハモミジですので、この写真のように見事な紅に染まります。
最近は大らかなハウチワカエデに惹かれている私ですが、やはり故郷である京都に多いイロハモミジの紅は格別です。

手入れもされているのでしょうけれど、枝の張り方が優美なのですよね。イロハモミジは。

そのシルエットだけでもしばし見惚れてしまいます。

葉の形も美しい。

山門、参集所、仏殿の辺り、平林寺境内林の南側の一部は紅葉が進んできますが、まだまだ始まったばかり。

奥の平林寺境内林の多くは、まだ青もみじが優勢です。
境内林の中の楓の小径は、これから見頃をを迎えることでしょう。
急速に失われてしまった武蔵野の姿、菱田春草さんの「落葉」に描かれたような優しげな趣に、僅かながら思いを馳せることができる場所です。現上皇、上皇后両陛下がご在位中に訪れられたことがあるとか。

こじんまりとした境内ですので、わざわざ遠方からお目当てに訪れる場所とは思いませんが、近隣にお住まいであれば一度訪れてみられては

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