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「言語聴覚士 やめたい」と検索しても 

タイトルのように検索してみたとする。

昨今では企業サイトばかりが表示されるので、検索する側としては「そうじゃない」感がすごい。仕事の悩みを共感したいなと思っても、企業サイトばかりで正直うんざりしている。

Googleはいつから「検索する側の気持ち」を置き去りにするようになったのだろうか。


去年の秋辺りにGoogleは検索のアルゴリズムを大きく変更した。

それは「個人のサイト」を低評価し、企業サイトを優遇するようにしたのだ。その理由はかんたんで、企業サイトの方が信用できるからというもの。ネットでは数年前までアフィリエイトなどによる「拝金サイト」が問題視されていたからだ。

「ガンが治るサプリ」「ネットで数百万稼ぐ方法」などといったモラルもへったくれもない情報を、個人または悪徳企業が流しまくったことが問題視され、Googleから天罰が下った。

当然といえば当然である。

とおもいきや、現状でも企業というだけで中身は薄く、更新頻度も個人より遅れているような低レベルのページや、知恵袋のような情報として疑わしいようなサイトまでもが上位に表示されているのは疑問でしかない。すべてとは言わないが、節穴だらけだなと思う。

実はこれ、信用できる情報が増えたように見えて、実際はそんなことはない。個人サイトを冷遇したことで明らかにネットから作家性が失われている。個人がもつ独特な文面や色合い、そしてなにより『感情の共感』がそこにはない。

間違いなく、検索サイトから人の息吹が失われたといっていいだろう。


さて、タイトルにあった「言語聴覚士 やめたい」と検索してみる。

数年前までは個人のサイトが幾つか上位に表示されていた。個人だけに情報のばらつきはあれども、書き手のエピソードなど読み物として楽しかった。テレ東の「家、ついて行ってイイですか?」のブログ版のような気にすらなった。

しかし今はそうではない。転職サイトばかりが上に並ぶ。こういったサイトは正論しか述べず、大概が「環境を変えよう」とか「転職をおススメする」とかしか言わない。

果たしてそれが、検索ユーザーのニーズなのだろうか。

「仕事やめたい」と思っていても、実際に辞める人ばかりではないだろう。つらい気持ちを何となく共感したいだけかもしれないのに、そういった共感ニーズは一切満たされない。挙句、金に糸目をつけない企業広告が検索上位を陣取るものだから、狙ったキーワードを探すのにスクロールの手間がかかる。

もはや、これでは広告掲載エンジンでしかないのでは。

リンク先で「検索するひとの気持ちを考えていなそう」といわれても致し方ない。

過去には「おいしい ラーメン」と検索すれば、ニッチで味わい深く、マニアたちのブログを濃密に楽しめた。

平均値でしかものを語れない企業サイトにはない温かみが過去の検索にはあったのだ。


いまのネット検索には間違いなく、ひとの心は無視されている。

数々の情報に支えられてきたGoogleが、その情報に後ろ砂をかけるのは如何なものだろうか。検索するのは人であって、そこには『感情』があることに今一度立ち返ってほしいと思う。

これはリハビリ系(仕事)の悩みを綴り続ける、一個人の想いでもある。


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